オーガナイザー:今中 雄一(医療経済学分野 教授)
概要
人を対象とした医学研究は、研究課題を設定し、研究デザインを組み、人に由来するデータの収集計画を立て実際に収集・管理し、適切な手法で解析し、過去の知見や理論を十分に踏まえて考察することにより、新たな知見やエビデンスを創出するものである。
本コースは、人を対象とする研究を遂行するのに必要な知識を学び批判的吟味を行う力も養い、自らの研究について多視点からクリティークを受ける場を設ける。対象は、個々の専門的な臨床的課題からポピュレーションや制度政策の課題まで、健康・医療の問題を幅広く取り扱う。
コースの前半は、研究デザイン、データや統計解析、研究結果からエビデンスの創出にとどまらず、研究倫理、関連法律、臨床開発、知的財産権など、研究遂行と成果の社会実装に必要な内容と、健康・医療に係わる研究の実例について学ぶ、
コースの後半は、学生一人ひとりが自らの研究課題を発表し、研究の考え方や手法について、他研究室の教員からの意見・指導も受け、参加者全員で建設的に批評しながら磨きをかける。
内容
- 社会健康医学系専攻(SPH)及び附属病院先端医療研究開発機構(iACT)の経験豊富な教員のレクチャー(毎月のコース・ミーティング)、二日間程度の集中討議(年1回・2日間)、参加学生全員の研究発表からなる。2022年度の予定は、詳細確定次第適時、コース登録者へのメールまたは大学院教育コースのホームページ(http://www.med.kyoto-u.ac.jp/edcourse/)等で通知する。
- 研究の課題名と内容(数行)を記載し、事前に申し込むこと。研究内容が当コースのカバーする領域にあるかどうか(受講に適しているかどうか)を確認し、受講可能かを判断する。内容については暫定的なものでもよい。
- 修士は受講はできるが、成績はつかない。
- 前半はアクティヴラーニング、後半は受講者の研究発表・議論とする。
- 前半のコース・ミーティングについて、各講師は事前に30~45分程度の講義録画とスライドをアップする。受講生は事前に視聴し、当日、講師は30分区切りで質疑応答や追加コメントを行う
- 集中討議と後半のコース・ミーティングは、公式に博士論文研究の中間発表会として位置づけられている
コース・ミーティング
- 日時:月原則1回 原則第2火曜日(5限) 午後5:00~6:30 全11回(9月以降は午後5:00~7:00)
- 形式:受講生は各回の講義を事前に視聴し、当日は、講師は30分区切りで質疑等に応える。
- 場所:解剖棟 基礎講堂3
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確定次第、コース登録者へのメールまたは大学院教育コースのホームページに掲載( https://www.med.kyoto-u.ac.jp/edcourse/ )等で通知する。
予定は変更がありうる。
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回 | 日付 | 講師 | タイトル |
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第1回 | 5月9日(第2火曜) | 今中 雄一 教授(医療経済学) | オリエンテーション及び 「医療の質と経済性の可視化と向上(仮)」 |
寺西 豊 特任教授(「医学領域」産学連携推進機構) | 「臨床研究の資金調達とスタートアップ企業 ~イノベーション創出とその育成~(仮)」 | ||
西野良 准教授(先端医療研究開発機構) | 「アカデミアにおける臨床開発にかかる規制」 | ||
第2回 | 5月23日(第4火曜) | 近藤 尚己 教授(社会疫学) | 「健康の社会的決定要因を踏まえた医療と研究」 |
山本 洋介 教授(医療疫学) | 「健康関連QOL:医療・社会への活用の実際」 | ||
中山 健夫 教授(健康情報学) | 「研究公正(research integrity)を考える(仮)」 | ||
第3回 | 6月13日(第2火曜) | 西浦 博 教授(環境衛生学) | 「新型コロナウィルス感染症に対するワクチン効果の疫学」 |
多田 春江 准教授(先端医療研究開発機構) | 「臨床研究における品質マネジメント(仮)」 | ||
田近 亜蘭 准教授(健康増進行動学) | 「How to think logically through random errors and systematic errors」 | ||
第4回 | 7月11日(第2火曜) | 早乙女 周子 特定教授(知的財産経営学) | 「医学研究における知財の考え方」 |
坂本 龍太 准教授 東南アジア地域研究所 環境共生部門(フィールド医学) |
「目の前の一人からはじまる研究」 | ||
川上 浩司 教授(薬剤疫学) | 「医療リアルワールドデータを用いた臨床疫学研究」 | ||
第5回 | 8月8日(第2火曜) | 佐藤俊哉 教授(医療統計学) | 「統計よりも重要なこと」 |
岩隈 美穂 准教授(医学コミュニケーション学) | 「混合研究法:質的研究についての基礎と量的研究との素敵なマリアージュ」 | ||
西村 勉 特定准教授(先端医療研究開発機構) | 「国際開発」 | ||
集中討議 | 8月25日(金) 8月26日(土) |
研究発表(10人程度) | 各発表者に指定討論者としてのアドバイザー2名(内、一人は教授か准教授) |
第6回 | 9月12日(第2火曜) | 研究発表(2~3人) | 同上 (1人40分(発表時間15分/学生指定発言5分/指定発言2名7分x2/自由討議5分)) |
第7回 | 10月10日(第2火曜) | 研究発表(2~3人) | 同上 |
第8回 | 11月14日(第2火曜) | 研究発表(2~3人) | 同上 |
第9回 | 12月12日(第2火曜) | 研究発表(2~3人) | 同上 |
第10回 | 1月16日(第2火曜) | 研究発表(2~3人) | 同上 |
第11回 | 2月13日(第2火曜) | 研究発表(2~3人) | 同上 |
集中討議
- 日時:8月25日(金)・8月26日(土)
参加学生の研究発表と討論(討論も含め1人30〜45分程度)
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8月25日 | 8月26日 | |
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午前 | (発表する大学院生の人数により午前開始の可能性もあり) | 研究発表討議 |
午後 | 研究発表討議 特別講演 |
発表する大学院生の人数により終了時間調整 |
夜 | 研究活動情報交換会 |
到達目標
- 個人を対象とした研究のみではなく、集団を対象とした研究についても理解する。
- 介入研究や観察研究など、医学研究のデザインを理解し、精緻なプロトコールをつくることができる。
- 他者と協力して医学研究の運営ができる。
- 医学研究で得られたデータの解析計画を立て、実際に解析ができる。
- 医学研究の論文が書ける。
- 人が行った医学研究について批判的に吟味できる。
- 大学院生どうしのネットワークを醸成する。
評価
(1) 1年目(もしくは①を取得していない2年生以上)
① 演習:コースミーティング全15回分(集中討議は4回分相当)の6割以上の出席必須
(2) 2年目以上(ただし①の演習を既に受講していないと履修登録できない)
② 実習: 自らの研究発表を行う(これは博士課程の中間発表の位置づけとなる)
(3)
・ 基本的に演習は1年目に受講する。
構成
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分野名等 | 教授 | 准教授 | 講師 | 助教 |
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医療疫学 | 山本洋介 | |||
薬剤疫学・臨床研究管理学 | 川上浩司 | 竹内正人 | 吉田都美(特定) |
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ゲノム情報疫学 | 松田文彦 | |||
医療経済学 | ◎今中雄一 | 佐々木典子(特定) 國澤進 |
大坪徹也(特定) | 後藤悦(特定) 愼重虎 |
医療倫理学・遺伝医療学 | 小杉眞司 和田敬仁(特定) |
山田崇弘(特定) | ||
健康情報学 | 中山健夫 高橋裕子(特任) |
高橋由光 | ||
医学コミュニケーション学 | 岩隈美穂 | |||
知的財産経営学 | 早乙女周子(特定) | |||
環境衛生学 | 西浦博 | 原田浩二 | 小林鉄郎 鈴木絢子(特定) 茅野大志(特定) 林克磨(特定) |
|
健康増進・行動学 | 古川壽亮 | 田近亜蘭 | ||
予防医療学 | 石見拓 | 降旗隆二 | 中神由香子 | |
産業厚生医学 | 阪上優 | 岡林里枝 松崎慶一 小林大介 |
||
社会疫学 | 近藤尚己 | |||
環境生態学 | 山崎渉 | |||
人間生態学(フィールド医学) | 奥宮清人(連携) 松林公蔵(名誉) |
坂本龍太 藤沢道子(連携) 和田泰三(連携) |
- ◎:オーガナイザー
AC(アシスタント・コーディネータ)
- 百々 治(医療経済学) <matsumura.osamu.56k(at)st.kyoto-u.ac.jp>
- 濵井 康貴(予防医療学) <hamai.yasutaka.82d(at)st.kyoto-u.ac.jp>