附属教育研究施設Related Centers and Facilities

医学図書館

医学図書館は、昭和40年、文部省からの交付金のほか、China MedicalBoard of New York、藤原記念財団、ロックフェラー財団から寄附を得て、医学部の各教室図書室の図書と雑誌を集中化することを目的として建設されました。平成15年には、人間健康科学系図書室を分室とし、医療専門職全体への支援を行う体制が整いました。図書や雑誌はもちろん電子ジャーナル ・データベースなどの電子資料の提供、文献の取り寄せなど他機関との協力、情報の活用法の講習会・授業等を通じて、学習・教育・研究・医療の支援を行っています。

動物実験施設

本施設は昭和47年5月に医学部(現 医学研究科・医学部)における動物実験に関する共同利用研究施設として設置され、医学に関する動物実験、実験動物の生産、飼育管理及び実験動物の開発、教育及び研究を行っています。
現在の施設建物は2代目にあたり、旧棟の増築・改修工事を経て平成15年7月から再稼働しています。
施設建物は、

  1. 広く (充分な飼育実験スペース)
  2. 美しく (より美しく衛生的で安全性に優れ、従事者と環境に配慮した悪臭のない)
  3. 使いやすい (機能性、防犯対策、低ランニングコストを重視)

を掲げて設計施工され、最新の設備と機能を備えた施設となっています。
附属動物実験施設が大いに活用され、動物実験を通じて得られた研究の成果が医学生物学の発展と病気の治療法や予防法の開発改良に貢献することを期待しています。
なお、平成14年度から本施設が中核組織となりナショナルバイオリソースプロジェクト「ラット」が実施されています。

先天異常標本解析センター

本センターは昭和50年4月に「ヒトの胎児医学と先天異常の予防」に関する研究を目的として設置され、昭和36年以来収集されてきたヒト胚子および胎児の標本とその記録が保存され、これまでに集められた標本数は44,000例に上っています。器官形成期に当たる受精後8週までの損傷のない胚子約1,000例は、全身の連続組織標本として保存されており、そのうち特に上質のもの474例はヒト胚子の国際登録に含まれ、その例数は米国カーネギー発生研究所の617例に次ぐものとなっています。本センターのヒト胚子コレクションは質・量ともに世界最大規模のものであり、国内外の関連分野の研究者の利用に供されています。

また本センターでは、現在、先天異常の初期病理発生過程の研究、遺伝疫学的方法による各種先天異常の病因解明、さらに実験的研究による先天異常の発生メカニズムや予防に関する研究を推進しています。本センターはヒト発生学および先天異常研究の世界的な中心の一つとなっています。

本センターの標本を使用した器官形成期から出生までの各発生段階の胎児のMR画像のデータベース化、さらにMR断層画像、連続切片像から、各発生段階の胎児の形成および主要臓器の三次元立体画像を作成・データベース化する「ヒト胚の三次元データベース構築」事業が科学技術振興機構バイオインフォマティクス推進事業に採択され、平成17年9月から平成22年8月まで実施されました。得られた画像データベースを用いたヒト発生の画像解析は、現在も続けられています。

総合解剖センター

本センターは昭和57年に開学当初から解剖学、病理学、法医学の建物において分散実施されていた人体解剖を軸とした形態学の講義、実習、日常解剖業務及び研究を総合的に実施するために建設されたものです。センター内には、各解剖室、標本保管庫、電子顕微鏡室に実験室、標本作製室を備え、かつ西ウイングには肉眼解剖実習室、講堂、組織学実習室、視聴覚学習室が配置されています。形態学の実習にはWhole slide image(WSI)を用いた学生教育も行っています。京都大学学術情報メディアセンターの医学部サテライト演習室も付設されています。また、平成15年からは学内外の医学生物系研究者や大学院生を対象に、免疫染色などの形態研究支援を行っています。

脳機能総合研究センター

306チャンネルMEG及び7T MRI

本センターは、京都大学で行われてきた世界的な脳科学研究を総合的に発展させることを目的として平成12年4月に設置されました。脳機能イメージング研究を始めとする脳機能の非侵襲的研究と、心理学・神経生理学的研究との統合を図りつつ、7 Tesla MRIを始めとする機器の共同利用の積極的な推進を通じて効率の高い研究を目指しています。

神経生理や脳機能画像のような個別の方法論に囚われることなく、研究目的に応じた適切な非侵襲的計測手法を採用し、正常脳の機能解明、種々の精神・神経疾患の病態解明研究、及びこれらの研究に資する方法論の開発を行っています。

ヒト及びモデル動物の脳を対象とした研究を通じて、ヒトならではの脳機能と脳を蝕むさまざまな精神・神経疾患の病態生理の解明を通じて、精神・神経疾患の診断や治療に貢献していきます。

ゲノム医学センター

医学研究科内に設置する独立した支援・研究センターとして、応用展開を目指すゲノム医学研究の拠点として、医学・健康科学的応用展開を見据え、全ゲノム情報を基盤とした、先端的ゲノム医学研究の推進、並びにこれらの研究から得られた成果に基づいた、新たなゲノム・遺伝子研究に対する全学的支援を行うことを目的に、平成16年4月に設置されました。
本センターの理念は、

  • 医学に特化した遺伝子研究の推進により、医学的応用展開を図る
  • 医学的応用展開を見据えたゲノム医学研究の拠点として機能する
  • 先端的研究の成果に基づく新たなゲノム・遺伝子研究の全学的支援体制を構築する

で、多くの疾患の発症機構や罹患の個人差などについての遺伝的基盤が明らかにされ、個人差を踏まえた最も効果的な新規医療開発と、全学の研究者に対する支援業務を行い、本学におけるゲノム医学研究の発展に寄与しています。

医学教育・国際化推進センター

本センターは、平成16年5月に、京都大学の卒前卒後の医学教育を充実させるために、設立されました。このセンターでは、教育のシステム改革や内容の充実を横断的に推進することにより医学研究科の各セクションの教育活動をサポートすることをめざしています。

卒前教育においては、特に、充実した臨床実習の枠組みを学外の医療機関とともに構築し、カリキュラムの改変を継続的におこなっています。また、授業評価を推進するとともに、e-ラーニングのシステムを取り入れたe-キャンパスの構築にも力を注いでいます。

専門教育だけでなく、教養教育における医学英語の開発や、医療人としての素養としての蘇生教育についても積極的に取り組んでいます。平成17年度からは、「新しい蘇生教育の広域展開」で、現代的教育ニーズ取組プログラムが採択され、医療人のためだけでなく、広く蘇生教育を展開しております。

医学研究支援センター

本センターは、これまで各講座で個別に管理されてきた大型研究設備を、組織的に集中管理することで活用効率の向上を図るとともに、個々の研究者や大学院生に高度かつ継続的な技術支援を行うため、平成23年11月に設立されました。医学研究支援センター運営委員会の管理下で、遺伝情報解析室、ドラッグディスカバリーセンター、質量分析室、蛍光生体イメージング室、マウス行動解析室、小動物MRI室、合成展開支援室、サンディエゴ研究施設の8つの共同利用施設を運営しています。

がん免疫総合研究センター

本センターは、令和2年4月にがん免疫研究・治療における諸課題を世界に先駆けて解決し、がん医療の飛躍的向上に貢献するために設置しました。 国内外のがん免疫研究者が分野横断的に集結し、医学部附属病院などの医療機関との連携のもと、基礎から臨床応用まで一気通貫の研究体制を整備します。初代センター長には、PD-1発見の功績により平成30年ノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶 佑高等研究院特別教授が就任しました。日本初のがん免疫研究の拠点として、国内外の基礎・臨床にまたがる「がん免疫」研究者のみならず、「がん」と「免疫」領域以外にも、がん免疫治療効果の制御に関連する、様々な分野の研究者が結集し、現在のがん免疫研究・治療における諸課題を世界に先駆けて解決すること、次世代がん免疫研究・治療を発展させることを目的としています。

医療DX教育研究センター

医療・医学の発展による医療情報のデジタル化に伴い、AI・ビッグデータは保健医療分野においても革命を起こし、医療のDX(デジタルトランスフォーメーション)化に向けて、世界で熾烈な研究開発競争が行われています。
このような背景から、令和4年4月に「医療DX教育研究センター」が医学研究科に設立されました。当センターは、医学研究科4専攻(医学専攻、医科学専攻、⼈間健康科学系専攻、社会健康医学系専攻)の協働と、⼈⽂社会学域(法学)・データ科学教育拠点(教育院)との先端的融合により、分子レベルから細胞、臓器、人体、そして社会レベルまで様々なスケールの医学の知とデータサイエンスを結集し、医療DX研究を牽引しつつ、さらに法制・倫理の観点も加えて医療DXに関する研究を推進し、社会に通用する世界トップレベルの医療DX人材の育成を目的としています。

ヘルスセキュリティセンター

本センターは、医学・医療の枠を超えた学際性に基づくエビデンスと理論を生み、高度専門人材を育成、効果的な施策・戦略の実装へとつなげ、自然災害や感染症流行などのあらゆる災害への対応力・復興力・準備力(オールハザードアプローチ)を強化する国際的ネットワークのハブ拠点として、令和6年4月1日に設置されました。 危機時も平時も、人々があんしんして健康に生きることのできる、危機に強靭で持続可能な「健康危機に強い社会づくり」に貢献するために、人々の健康を守る「ヘルスセキュリティ」領域の科学技術、実践技術を確立させるとともに、専門家不足の現状を一変させ、領域の継続的な発展を支える人材の育成と社会への輩出を行います。

杉浦地域医療研究センター

京都大学大学院医学研究科におけるiPS細胞による再生医療研究や移植医療などの高度先進医療が、今までの医療におけるパラダイムを変えようとしていますが、一方では少子高齢社会や医療崩壊など多くの問題を抱えている現実の医療の中で、大多数の患者が恩恵を蒙っているのは地域医療です。
しかしながら現在の地域医療には、独居老人や老々介護などの介護力の不足問題、緊急時の対応の不備、医療従事者間での情報の共有のあり方など多くの問題点が山積し、それらは少子・高齢社会の進行とともにますます大きな社会問題となってきています。
このような中で、健康で文化的な地域社会作りを目指すという人間健康科学系専攻の理念と、薬剤師として地域医療の担い手となり、地域の人々に貢献したいという杉浦広一氏(スギホールディングス株式会社代表取締役会長)、杉浦昭子氏(同代表取締役副社長)両氏の理念が合致し、「杉浦地域医療研究センター」が建設され、両氏により寄贈されました。
この建物(2階建鉄骨造、延床面積約500平方メートル)には、屋外研修室1室、研修室2室、地域医療研究室1室に加え、2階には最新の映像・音響装置を備えた「杉浦ホール」(約100人収容可能)があり、正面からは「大文字」が一望できます。
平成21年4月からは、人間健康科学系専攻に博士課程「近未来型人間健康科学融合ユニット」が設置され、その中に在宅医療システム研究などを進めるための「近未来システム・技術創造部門」が設けられました。それらの研究を進める上で「杉浦地域医療研究センター」が、地域医療に関係する研究者や医療従事者に幅広く教育・研究できる場として多いに活用されるものと思われます。そして、それらの研究を通じて、わが国の地域医療研究が進展し、少子高齢化が進む中で国民が安心して暮らせる社会を作り上げる大きな力になることが期待されます。

予約について

学科外の附属病院を含む他部局から杉浦ホールの予約・利用を希望される場合は、原則、本専攻教員を通じて予約をお願いします。なお、本学科に窓口となる教員がいない場合は委員会宛(060-942hs-sugiura@mail2.adm.kyoto-u.ac.jp)にお問い合わせください。

アクセス

マップ

交通案内
  • 京阪電車、神宮丸太町駅(5号出入り口)から東へ徒歩5分
  • JR京都駅・近鉄京都駅から市バス206系統(東山通高野北大路ターミナル行) → 「熊野神社前」下車
  • 京都市営地下鉄丸太町駅から市バス65系統(岩倉行)、93・204系統(錦林車庫行)、202系統(九条車庫行) → 「丸太町京阪前」下車
  • 阪急電車河原町駅から市バス31系統(岩倉行)、201系統(百万遍行)、203系統(錦林車庫行) → 「熊野神社前」下車

住所・電話番号

〒606-8507 京都市左京区聖護院川原町53

TEL:
075-751-3901
FAX:
075-751-3909

活動報告

高井リサーチセンター

高井リサーチセンター(略称 TRC)は、高井保治氏(株式会社フジタカ代表取締役社長)が本学の教育研究環境の充実と産学連携推進に寄与するために寄附されたのを受けて平成20年3月に完成致しました。既設の人間健康科学系校舎と別館(現在の教員棟)とを継ぐ形で増築された新棟の一角を占めており、産学連携推進のための高井コーナー、講演施設である高井ホール、および、ウェットな実験も可能な二つの研究室から成っています。
1階入口ホール入ってすぐの高井コーナーは常時開放されており、各研究室の研究内容紹介誌などが用意されています。また、企業など外部協同研究機関との打ち合せや簡単な懇親会に利用できます。
高井コーナー隣の高井ホールでは、最大で50名程度まで収容してスクール形式の講演会が行なえるようAV機器や机等が整備され、外部協同研究機関との合同勉強会や本専攻内における各種催しに利用されています。
3階と4階の二つの研究室(TRC研究室I、II)では、産学連携研究プロジェクトを推進します。

  1. 進行中のプロジェクト

    • UC-MSC 由来三次元神経導管を用いた末梢神経再生医療応用 (青山教授)
    • ファージディスプレイ法を利用した分子多様性の制御とその応用 (野中教授)
    • 難治性血液腫瘍疾患に対する新規治療法の開発 (松尾准教授)
  2. 研究成果報告書

    担当:高井リサーチセンター運営委員会