先天異常学(先天異常標本解析センター)医学・医科学専攻

教授 萩原 正敏

新生児の約3%が先天異常をもっており、本人や家族にとっては勿論、人類にとっても大きな問題です。多くの先天異常は遺伝と環境の複合的な関わりによって起こりますが、原因や発症の仕組みが解明されたものはその一部にすぎません。先天異常は、基礎医学(発生学、形態学、分子生物学など)と臨床医学(産婦人科学、小児科学、形成外科など)、疫学などの知識を結集して行うべき学際的な研究分野です。世界でもユニークな当センターでは、先天異常の病因や病理発生メカニズムの解明とその予防を目指した総合的な研究を推進しています。

研究・教育について

本センターは解剖学教室系に属することから、医学部における肉眼解剖学教育を担当しています。また、医学研究科においては先天異常学分野での修士・博士課程の学生の受け入れも行っています。当センターは、44,000例を超えるヒト胚子標本のコレクションを有しており、これは質・量ともに世界で比類がないものです。その大多数は受精後受精後3~8週のいわゆる「器官形成期」の標本であり、重要な発生段階に相当します。また、その中には様々な発生異常をもつ症例が高頻度に含まれており、先天異常の初期病理発生過程の研究、遺伝疫学的方法による各種先天異常の病因解明、さらに実験的研究による先天異常の発生メカニズムの研究を推進しています。当センターはヒト発生学および先天異常研究の世界的な中心の一つとなっており、学内および学外の多くの研究者と様々な共同研究を行っています。

r-023-1 受精後4〜8週のヒト胚子の発育過程(コンピュータグラフィックス画像)

r-023-2 妊娠6、7、8週胚子のMR画像

研究業績

  1. 塩田浩平編『ト発生の三次元アトラス』日本医事新報社、1-29頁) 2011年07月
  2. The Human Embryo. Edited by Yamada S, Takakuwa T. InTech, March, 2012
  3. Sakai T, Hirata S, Fuwa K, Sugama K, Kusunoki K, Makishima H, Eguchi T, Yamada S, Ogihara N, Takeshita H. Fetal brain development in chimpazees versus humans. Current Biology 2012, 22(18): R791-92.
  4. Kameda T, Yamada S, Uwabe C, Suganuma N. Digitization of clinical and epidemiological data from the Kyoto Collection of Human Embryos: maternal risk factors and embryonic malformations. CongenitAnom Kyoto, 2012 Mar;52(1):48-54.
  5. Yamada S, Lee ES, Samtani RR, Lockett E, Uwabe C, Shiota K, Anderson SA, Lo CW. Developmental atlas of the early first trimester human embryo. DevDyn, 2010 Jun;239(6):1585-95.

研究室

センター長・教授:萩原 正敏
教授:山田 重人

TEL:075-753-4345
FAX:075-753-4621
e-mail:info@cac.med.kyoto-u.ac.jp

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