教育プロジェクト医学科

マイコースプログラム

京都大学医学部では、理念にある「病気など医学事象の背後にあるものを見抜き、自分の頭で考え、新たな知を創出できる人間」を育むため、4回生の秋学期にマイコースプログラムを実施する。この期間はすべての科目講義や試験を実施せず、学生は自分の適性に合った研究活動に専念する。

マイコースプログラムは、4回生の秋学期に行う集中的な研究活動のみを指すのではなく、入学後から始まるラボ・ローテーション(研究室巡り)から卒業後の臨床研修や大学院進学までを通じた、一人一人の学生にあった学習活動(マイコース)であり、本学の基本理念である「自学自習」の精神に基づいた自己研鑽を期待するものである。

マイコースプログラム

実施期間

4回生9月の第1週から8週間 (夏休み期間を含めるとおよそ3ヶ月)

実施期間
  1. 本プログラムは4回生全員に対する必須科目である。
  2. 対象学生は協力大学院・連携大学院も含めた本学の教室に配属し、その助言・指導のもとに一定のテーマで研究に専念従事する。
  3. 本学の教室からの紹介・推薦により、海外研究機関での研究活動も奨励している。
  4. 教室配属による研究活動以外については、カリキュラム企画委員会の審査の上で承認することがある。
  5. 本プログラム終了後、学生は活動報告書を作成し、カリキュラム企画委員会は最終的な修了認定を行う。

MD研究者育成プログラムとMD-PhDコース

近年、医学部出身の基礎医学研究者が減少し、我が国の基礎医学研究の将来が危ぶまれています。
そこで京都大学医学部では、基礎医学研究に興味を持つ学生に入学直後から研究に親しみ、従事する機会を提供する選択制カリキュラムとして MD研究者育成プログラムを運営しています。また、このプログラムと密接に連関した2通りのMD-PhDコース(学部挿入型と卒後進学型)を用意しています。以下にその概略を説明します。

研究室紹介

1回生の前期・火曜4、5限に、1研究室20分程度の研究室紹介(研究内容やラボの様子など)を行います。京都大学医学部でどのような研究が行われているのかを知り、ラボ・ローテーションで回りたい研究室を考える機会になります。各研究室のホームページを閲覧することも強くお薦めします。

希望調査

医学部教務課・学部教務掛でプログラム参加登録を行い、ラボ・ローテーションを希望する研究室の教員との面接等により1期目のローテーション先を決定します。研究室選択の際、最初から選択肢の幅を狭めすぎずに、様々な研究分野に興味を持ち検討することも大切です。

基礎分子生物学実習

ラボ・ローテーション開始前に分子生物学実験の基本的な手技を5日間の実習で集中的に体験・習得します。

ラボ・ローテーション

1回生の後期 (10月)から研究室での活動を開始します。ラボ・ローテーション期間(2回生後期まで)は6ヶ月ごとに研究室を変更することができますし、同じ研究室での活動を継続することも可能です。放課後や長期休暇が主な研究活動時間ですが、2回生から4回生までは火曜日の午後には通常授業はありませんのでラボでの活動に充てることができます。

ラボ配属

3回生からは1つのラボで、より本格的に研究に従事します。4回生時のマイコース期間(9月から11月中旬)は他の講義や実習がないので研究活動に集中できます。また、この期間に海外留学も可能です。5回生からは臨床実習が始まりますが、イレクティブ(選択)実習期間には研究室(海外も含む)での活動が可能です。

学部挿入型MD-PhDコース

4回生修了後に医学部を休学して大学院博士課程に進学するコースです。博士号取得後に5回生に復学して医学部を卒業、医師免許を取得します。

卒後進学型MD-PhDコース

医学部を卒業、医師免許を取得後2年以内に基礎系の大学院博士課程に進学するコースです。修業年限の特例措置による学位申請が可能ですが、このコースに進むためにはMD研究者育成プログラムを修了し、進学審査にパスすることが必要です。

基礎医学研究者養成イニシアチブ

MD研究者育成プログラムを運営する、京都大学・東京大学・名古屋大学・大阪大学がプログラム登録学生の相互交流を深め、基礎医学研究者の養成を促進することを目的として開始した、共同事業です。2022年度の時点で、以下のような活動を行なっています。

4大学合同ラボツアー

各大学の基礎系研究室を訪問し、実験施設・機器の見学をしたり、先端的な研究内容に関するセミナーを聴講します。

国内短期研究留学

夏休みや春休み等の長期休暇中に他大学の基礎系ラボに滞在し実際に研究活動に参加します。京大生であれば、マイコース実習期間やイレクティブ実習期間をこれに充てることができます。

全国リトリート

上記の4大学を含めた、全国のプログラム登録学生が集まり、各自の研究内容に関するポスター発表・口頭発表を行ないますが、学生同士の交流を促進して親睦を深めることも重要な目的です。

担当教員

大学院教育コース 陣上 久人 ( jingami@mfour.med.kyoto-u.ac.jp )

医学教育・国際化推進センター 山田 正之 ( yamada.masayuki.2w@kyoto-u.ac.jp )



特色入試入学者(MD研究者育成プログラム学生)学生座談会のページへ


博士課程教育リーディングプログラム
「充実した健康長寿社会を築く総合医療開発リーダー育成プログラム」

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大学院教育コース

医学研究科(4年一貫制-博士課程)は、従来、生理系、病理系、内科系、外科系、分子医学系、脳統御医科学系の6専攻に分類された研究分野の研究室に学生を配属させ、そこで指導教員によるマンツーマンの個人指導により教育を行ってきましたが、平成17年度からは、従来の研究分野における教育に加えて、医学・生命科学分野における科学技術の顕著な進展に伴う医学研究の個別専門領域の境界を越えた集学的研究の拡大に対応するために設定した12の大学院教育コースにおいて、最新の医学に関する幅広い知識を体系的に、集中的に教育する「大学院教育コース」による教育を開始しました。
平成17・18年度は、文部科学省「魅力ある大学院教育」イニシアティブ経費の支援を受け実施しました。
また、平成19年度からは、これまでの「大学院教育コース」の実施過程で必要性が明らかになった共通教育プログラム(共通導入コース、共通発展コース)を新たに加え、12の大学院教育コースと統合することにより、包括的総合的医学研究知識と技術を習得し、自主性と独自性を備えた医学研究者の育成を目指します。なお、平成21年度より11の大学院教育コースで運営しています。

採択課題名共通・分野別教育統合による医学研究者養成

総括コーディネーター医学研究科教授 伊佐 正、 陣上 久人

多様な新ニーズに対応する
「がん専門医療人材(がんプロフェッショナル)」養成プラン

わが国は世界に類を見ない超高齢化社会を迎えるとともに生産人口の減少、少子化と社会構造が大きく変わりつつある。一方、科学技術の進歩もめざましく、医療の分野でも新技術が次々生み出されている。わが国が今後も健全な社会を維持するためにも国民の健康長寿は必須であり、中でもわが国の死因の第一位であるがん医療に関して、平成29年度より、文部科学省「多様な新ニーズに対応する「がん専門医療人材(がんプロフェッショナル)」養成プラン」が設けられました。

京都大学、三重大学、滋賀医科大学、大阪医科大学、京都薬科大学の5大学では、連携事業として、「高度ながん医療を先導するがん医療人養成」を立ち上げ、プレシジョンメディシンを実現する「ゲノム医療」、これまで対策が不十分であった「希少がんや小児がん」、そして「様々なライフステージとニーズに合わせたがん医療」に対応できる医療人の育成をすることを目的とし、「がん医療の一層の推進」に貢献したいと考えています。

採択課題名「高度ながん医療を先導するがん医療人養成」

事業推進責任者医学研究科教授・武藤 学

連携機関三重大学、滋賀医科大学、大阪医科大学、京都薬科大学

プロジェクトの実施期間平成29年度~平成33年度

臨床研究者養成コース(MCRコース)

臨床統計家育成コース

京都大学における履修証明プログラム

「医師のための臨床研究遠隔学習プログラム―MCR コース extension」

「現場で働く指導医のための医学教育学プログラム─基礎編─」

発達症への介入による国民的健康課題の解決

平成30年度より京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 リハビリテーション科学コース 作業療法学講座では、文部科学省「課題解決型高度医療人材養成プログラム」採択事業として「発達症への介入による国民的健康課題の解決」を展開しています。

本事業は、自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder,ASD)の精神生理を踏まえてその特徴を理解し、ライフステージを通じて生じる課題に適切に対応し得る高度専門人材を育成するプログラムです。
本学医学研究科は我が国で早期から自閉スペクトラム症(以下、ASD)の医療に取り組んでまいりました。また、人間健康科学系専攻という部門を有し、精神科リハビリテーションや精神科看護学など医療を広くカバーするとともに多様な医療職を養成しているという特長があります。
この地盤を活かし、本事業では、関連分野の専門家の協力を得ながら、以下の高度専門人材を育成するプログラムを提供いたします。

  1. 多様なメンタルヘルスの問題の背景にある自閉スペクトラム症を的確に診断できる
  2. ASDの特徴的な精神生理を理解している
  3. 保育、教育、就労、社会生活などライフステージを通じて生じる課題に対し、問題に応じたチーム医療体制を構築し、適切に対応することができる

さらに、このプログラムで育成した人材の輩出により、地域における支援の質を高め、メンタルヘルスにおける国民的健康課題を解決することをめざしてまいります。
2年間(120時間)の本プログラムを修了した受講者には、履修証明書および「自閉スペクトラム症高度専門支援者」の称号を授与します。

採択課題名「発達症への介入による国民的健康課題の解決」

事業責任者医学研究科長・岩井 一宏

プロジェクトの実施期間平成30年度~令和4年度

卓越大学院プログラム
「メディカルイノベーション大学院プログラム」