ポリシー人間健康科学科

理念と目標

我が国における医学医療の進歩はこれまで困難とした疾病の診断や治療の多くを可能としてきた。そして移植医療や再生医療,iPS細胞治療などの高度・先進医療によって益々の発展が期待され,今後においてはこれらの具体化が重要である。一方,少子高齢社会の到来により,高齢者特有の疾病や障害を治療し予防すること,また家族の健康を維持・増進することは最重要課題であり,急務となっている。このような諸課題を的確に捉え,解決するため,その到達像としての「望ましい真の健康」を明確にし,その達成に必要な理論と方法を確立すること,そして実践に向けて展開していくことが必要である。そこで,京都大学医学部人間健康科学科では,学部教育において高度医療専門職並びに世界レベルの研究者・教育者育成の素地を養い,大学院への進学を向上させるべく教育カリキュラムを構築し,世界トップレベルの先端医療技術を牽引する人材を育成する。

アドミッションポリシー

京都大学医学部人間健康科学科は、1899(明治32)年に設置された京都帝国大学医科大学附属医院看護婦見習講習科に始まり幾多の変遷を経て、数多くの医学・医療従事者を輩出してきました。その歴史と伝統を基盤とし、21世紀の医学・医療の発展を担う「人間健康科学(Human Health Sciences)」の確立を目指しています。

そこで、本学教育の基本理念のもと、自由の学風を継承し、人類の健康と福祉に貢献する高度医療専門職及び総合医療科学領域における世界トップレベルの独創的な学術研究をリードする人材の育成を使命とし、以下のような学生の入学を期待します。

医学部人間健康科学科が望む学生像

  • 未知へと挑戦する進取の気性に富む人
  • 真理を追究する情熱を持ち、豊かな人間性と高い倫理観を備えている人
  • 優れた知識と技能及び思考力・判断力・表現力を持ち、自学自習のマインドを持つ人
  • 協調性に優れ、周囲の人間と良好なコミュニケーションをとることができる人
  • 将来、高度医療専門職、総合医療科学領域において、国内外の独創的な学術研究をリードする意欲のある人

数学と理科については、医学的、科学的な理解と、より高度な知識を学ぶために基礎となる学問であり、本学科では十分な理解が求められます。国語については、一般的に必要な基礎知識と論理的な考え方、表現力を身につけるため、また、英語については、国際的に通用する情報を確実に得てグローバルに活躍するためのコミュニケーション能力の涵養が重要となります。したがって、入学する学生は高等学校においてそれぞれの科目を幅広く学習し、総合的な基礎学力と高度な教養を深めていることを期待します。
これらの学力を測るため、本学科では、数学・理科(物理・化学・生物のうちから2科目)・国語・英語の個別学力検査を実施するとともに、大学入学共通テストの点数を取り入れて、合格者を決定します。
また、将来のビジョンが明確にあり、その分野への関心が非常に高い優れた人材を求めるため、特色入試を導入し、高等学校における取り組みや活動、大学入学後の学習設計に関する書類選考と、論文試験並びに面接試験及び大学入学共通テストにより、合格者を決定します。

カリキュラムポリシー

京都大学医学部人間健康科学科の教育理念とディプロマ・ポリシーを受け、全学部共通科目、専門教育科目を体系的に編成し、講義、演習、実験、実習を適切に組み合わせた授業科目を開講します。教育課程については、コースツリーやナンバリングを用いてその体系性や構造を明示します。

  1. 導入(1年次前・後期)

    京都大学が全学部生に向けて開講している全学共通科目を履修して幅広い教養を身につけ、科学的思考の基盤を形成すると同時に、医学部人間健康科学科が専門基礎科目として開講する初年次教育科目の「人間健康科学」における早期体験実習等を通し、将来の高度医療専門職や総合医療科学領域の専門家としての活動を想起します。

  2. 基礎(2年次前・後期)

    解剖学、生理学、病理学などの基礎医学科目を学び、その基盤の上に臨床疾病論を学びます。これらの科目は先端看護科学コース、先端リハビリテーション科学コース、総合医療科学コースのどのコースに進む場合にもその後の学習のための知識の根幹となるものであり、将来の高度医療専門職や総合医療科学領域の専門家となるための基礎科目として学習します。また、医療倫理・生命倫理概論において、高い倫理観を養います。

  3. 専門領域(2年次後期以後)

    2年次後期以後は先端看護科学コース、先端リハビリテーション科学コース、総合医療科学コースのいずれかを希望に応じて選択し、各コースにおいて高度医療専門職や総合医療科学領域の専門家となるための実践的な科目を履修します。 これら科目履修の中で、将来の指導者としての能力を涵養するとともに、国際的視野を拡げます。看護倫理学などの専門科目において高い責任感・倫理観を涵養します。

  4. 発展領域

    医学・医療は日々新しい技術が開発され、臨床試験等を経て臨床応用されています。iPS再生医療、臨床開発・臨床研究、ビッグデータ医科学、等の新規性のある科目において世界最先端の教育を受け、高度医療専門職や総合医療科学領域の専門家として発展するための基礎にします。

  5. 臨床実習(3年次前・後期~4年次前期)

    高度医療専門職育成を目指す先端看護科学コースおよび先端リハビリテーション科学コース、ならびに総合医療科学コースの臨床検査技師取得プログラムでは臨床実習を行います。この臨床実習では単なる見学ではなく、臨床実習指導者の指導・監督の下に患者を担当し、実際の医療現場でチーム医療に貢献しながら、自律的で能動的に臨床能力を身につけます。

  6. 卒業研究(4年次前・後期)

    高度医療専門職や総合医療科学領域の研究家になるためには研究マインドは不可欠です。臨床実習等で発見した実践的課題や、授業で関心を抱いた探究すべき科学的課題等について、卒業研究として取組みます。

  7. 大学院との接続

    専門領域の科目、発展領域の科目および卒業研究はいずれも大学院との接続を強く意識して編成されています。大学院進学者は学部との連続性を保ちながら世界最先端の研究に取組み、より高い水準の高度医療専門職や総合医療科学領域の専門家になることを目指します。

学修成果の評価の方針

各科目の学修成果は定期試験、レポート、セミナー発表、平常点評価などによることとし、その方法はシラバスに、基準及び達成度はスクールライフ(学生便覧)にそれぞれ記載されています。

ディプロマポリシー

京都大学医学部人間健康科学科では、看護学・リハビリテーション科学・総合医療科学の分野において、世界に誇る独創的な学術研究を推進し牽引する研究者および教育者、ならびに同分野で指導的な役割を果たすことができる看護師・保健師・臨床検査技師・理学療法士・作業療法士を育成するため、所定の年限在学し、所定の単位数を修得し、以下の優れた知識と能力を養った人に学士(人間健康科学)の学位を授与します。

  1. 新しい課題への挑戦

    高度医療専門職および総合医療科学領域を牽引するため、臨床的実践的課題や探究すべき科学的課題を自ら見出し、それら課題の解決に向けて真摯に取り組むことができること。

  2. 国際的な活躍

    国際社会が直面する諸問題を的確に捉えることのできる幅広い教養と柔軟な発想力を持って、グローバルな医療の変化と進歩に対応できる素養を身につけること。

  3. 深い知性と行動力

    幅広い知識と高度な技能を習得し、理論と実践を有機的に結びつけられる能力を養い、医学・医療に関する優れた思考力・判断力をもって自ら積極的に学び、行動できること。

  4. 将来設計と自学自習

    高度医療専門職および総合医療科学領域の専門家として、国内外における将来のキャリア像を見据えた学習課題を設定して取り組み、その成果を評価して新たな課題に繋げるというプロセスを自己主導的にできること。

  5. 次代を担う使命感と豊かな人間性

    高度医療専門職及び総合医療科学領域における自らの使命を自覚し、人びとや社会に対する倫理的配慮をもとに適切な行動を考え、判断し、責任をもって実践できること。

  6. 他職種との協働

    医学や医療における他職種との協働は必要不可欠であることを深く理解し、互いの専門性を十分に生かすことのできる優れた実践力と医療安全に繋げる行動力を併せ持つこと。

  7. コミュニケーション

    医療者として他者の思いや考えを理解できる力、想像力を養い、患者の身体的・精神的苦痛に寄り添うことができること。人の多様な価値観を尊重し、自身の考えを相手に効果的に伝える工夫や配慮ができること。