教育プログラム
博士課程教育リーディングプログラム
「充実した健康長寿社会を築く総合医療開発リーダー育成プログラム」
大学院教育コース
医学研究科(4年一貫制-博士課程)は、従来、生理系、病理系、内科系、外科系、分子医学系、脳統御医科学系の6専攻に分類された研究分野の研究室に学生を配属させ、そこで指導教員によるマンツーマンの個人指導により教育を行ってきましたが、平成17年度からは、従来の研究分野における教育に加えて、医学・生命科学分野における科学技術の顕著な進展に伴う医学研究の個別専門領域の境界を越えた集学的研究の拡大に対応するために設定した12の大学院教育コースにおいて、最新の医学に関する幅広い知識を体系的に、集中的に教育する「大学院教育コース」による教育を開始しました。
平成17・18年度は、文部科学省「魅力ある大学院教育」イニシアティブ経費の支援を受け実施しました。
また、平成19年度からは、これまでの「大学院教育コース」の実施過程で必要性が明らかになった共通教育プログラム(共通導入コース、共通発展コース)を新たに加え、12の大学院教育コースと統合することにより、包括的総合的医学研究知識と技術を習得し、自主性と独自性を備えた医学研究者の育成を目指します。なお、平成21年度より11の大学院教育コースで運営しています。
採択課題名共通・分野別教育統合による医学研究者養成
総括コーディネーター医学研究科教授 伊佐 正、 陣上 久人
多様な新ニーズに対応する
「がん専門医療人材(がんプロフェッショナル)」養成プラン
わが国は世界に類を見ない超高齢化社会を迎えるとともに生産人口の減少、少子化と社会構造が大きく変わりつつある。一方、科学技術の進歩もめざましく、医療の分野でも新技術が次々生み出されている。わが国が今後も健全な社会を維持するためにも国民の健康長寿は必須であり、中でもわが国の死因の第一位であるがん医療に関して、平成29年度より、文部科学省「多様な新ニーズに対応する「がん専門医療人材(がんプロフェッショナル)」養成プラン」が設けられました。
京都大学、三重大学、滋賀医科大学、大阪医科大学、京都薬科大学の5大学では、連携事業として、「高度ながん医療を先導するがん医療人養成」を立ち上げ、プレシジョンメディシンを実現する「ゲノム医療」、これまで対策が不十分であった「希少がんや小児がん」、そして「様々なライフステージとニーズに合わせたがん医療」に対応できる医療人の育成をすることを目的とし、「がん医療の一層の推進」に貢献したいと考えています。
採択課題名「高度ながん医療を先導するがん医療人養成」
事業推進責任者医学研究科教授・武藤 学
連携機関三重大学、滋賀医科大学、大阪医科大学、京都薬科大学
プロジェクトの実施期間平成29年度~平成33年度
臨床研究者養成コース(MCRコース)
臨床統計家育成コース
京都大学における履修証明プログラム
「医師のための臨床研究遠隔学習プログラム―MCR コース extension」
「現場で働く指導医のための医学教育学プログラム─基礎編─」
発達症への介入による国民的健康課題の解決
平成30年度より京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 リハビリテーション科学コース 作業療法学講座では、文部科学省「課題解決型高度医療人材養成プログラム」採択事業として「発達症への介入による国民的健康課題の解決」を展開しています。
本事業は、自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder,ASD)の精神生理を踏まえてその特徴を理解し、ライフステージを通じて生じる課題に適切に対応し得る高度専門人材を育成するプログラムです。
本学医学研究科は我が国で早期から自閉スペクトラム症(以下、ASD)の医療に取り組んでまいりました。また、人間健康科学系専攻という部門を有し、精神科リハビリテーションや精神科看護学など医療を広くカバーするとともに多様な医療職を養成しているという特長があります。
この地盤を活かし、本事業では、関連分野の専門家の協力を得ながら、以下の高度専門人材を育成するプログラムを提供いたします。
- 多様なメンタルヘルスの問題の背景にある自閉スペクトラム症を的確に診断できる
- ASDの特徴的な精神生理を理解している
- 保育、教育、就労、社会生活などライフステージを通じて生じる課題に対し、問題に応じたチーム医療体制を構築し、適切に対応することができる
さらに、このプログラムで育成した人材の輩出により、地域における支援の質を高め、メンタルヘルスにおける国民的健康課題を解決することをめざしてまいります。
2年間(120時間)の本プログラムを修了した受講者には、履修証明書および「自閉スペクトラム症高度専門支援者」の称号を授与します。
採択課題名「発達症への介入による国民的健康課題の解決」
事業責任者医学研究科長・岩井 一宏
プロジェクトの実施期間平成30年度~令和4年度
卓越大学院プログラム
「メディカルイノベーション大学院プログラム」
政策のための科学ユニット

第4期科学技術基本計画が掲げる「社会及び公共のための政策」「社会とphoto4ともに創り進める政策」としての科学技術イノベーション政策の形成のためには、科学技術や公共政策に対する社会の期待・懸念・問題認識を把握し、反映させていくことが求められています。このような認識のもと、京都大学は、文部科学省より大阪大学と合同での「政策のための科学」領域拠点として今後15年間選定され、2012年2月より学際融合教育研究推進センターに政策のための科学ユニットが設置されました。この阪大、京大拠点(Stips)のリンクはhttp://stips.jp/です。
科学技術イノベーション政策の形成のためには、定量的なエビデンスに加え、社会の多様な主体による熟議(対話と熟慮)をふくむ「科学技術への公共的関与(public engagement)」や「科学技術の倫理的・法的・社会的問題(ELSI)」研究が生み出すエビデンスが不可欠です。この認識のもと、2013年度から本学の大学院生に対して開講する人材育成プログラムでは、本領域の研究を基盤として公共的関与の活動と分析を行い、学問諸分野間ならびに学問と政策・社会の間を“つなぐ”ことを通じて政策形成に寄与できる人材の育成を目指します。修了後のキャリアパスとしては、各種研究職、行政職、政策秘書、シンクタンク職員、大学の研究戦略担当、リスクコミュニケーション人材などを想定しています。研究においては、政策を実施すべき各分野において、何を仮説として設定するのか、また、複数の異なる領域、価値観から、どのように優先順位をつけて予算配分をするのかといった問題は重要なテーマです( 図1 )。定量的なエビデンスにおいては、実世界における各種のデータを可視化し、そこから様々な手法で解析評価をする手法の深化も重要です。医療分野を例にとると、ヘルステクノロジーアセスメント(HTA)は、医療の質を評価して実行するEBM(Evidence-based medicine)、EBMを実施するなかで、つぎにその費用対効果を評価する比較効用分析(Comparative Effectiveness Research; CER)を内包しています。いずれもその研究手法は、疫学、医療統計、行動科学といった科学にもとづいており、実世界のデータからエビデンスへ、エビデンスから政策へ、そして政策を実施したのちにそれを評価していくというサイクルが形成されていくことになります( 図2 )。重要な科学技術分野であるエネルギー、環境、農業、食品、工学、宇宙などのテクノロジーアセスメント(TA)においてもこのような手法は有用と考えられ、様々な分野においてこのような研究を実施していくことは、政策のための科学として大変重要と考えられます。さらに私たちは、さまざまな学際領域の研究者同士が議論し、定量的研究、定性的研究と組み合わせて新しい学問を開拓していくことを目指したいと考えています。
政策のための科学ユニット拠点長:
京都大学大学院医学研究科教授 川上浩司
参加している教員一覧(敬称略・順不同)
- 医学研究科教授 中山健夫
- 化学研究所 教授 二木史朗
- 学際融合教育研究推進センター 特任教授 カール・ベッカー
- 学際融合教育研究推進センター 准教授 宮野公樹
- 学際融合教育研究推進センター 特定助教 井出和希
- 学際融合教育研究推進センター 特定助教 祐野恵
- 学術情報メディアセンター 教授 小山田耕二
- 経営管理大学院 教授 末松千尋
- 経営管理大学院 特定教授 吉田恭
- 経済学研究科 教授 依田高典
- 経済研究所 特定准教授 小嶋大造
- 経済研究所 特定准教授 関根仁博
- 工学研究科 教授 富田直秀
- こころの未来研究センター 教授 広井良典
- 情報学研究科 教授 大手信人
- 人間・環境学研究科 教授 佐野亘
- 農学研究科 教授 宮川恒
- 文学研究科 准教授 伊勢田哲治
- 理学研究科 講師 市川正敏
- iPS細胞研究所 准教授 田渕敬一
京都大学学際融合教育研究推進センター 政策のための科学ユニット 事務室
京都市左京区吉田近衛町(京都大学医学研究科・薬剤疫学教室内)