ポリシー人間健康科学系専攻

理念と目標

修士課程

国内外におけるiPS細胞療法、移植医療、再生医療、遺伝子治療、医用工学などの急速な進歩に伴って新たな医療が創生される世紀に入った。今後さらにこれらを発展させるためには、これら高度先進医療の一翼を担う高度医療専門職(高度実践指導者)としての看護師、助産師、保健師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士等が不可欠である。また、高度先進医療を受けた患者が疾病や障害と共生しながら質の高い在宅生活に移行するためQOL(Quality of Life)の視点から、また少子高齢化を迎えたわが国において高齢者が自立して望ましい状態で人生を過ごすため地域ネットワーク等を活用した生活支援の充実が急務である。この実現には、地域の関連諸機関や他職種と連携・協働しながら効果的かつ質の高いケアを提供できる高度医療専門職が不可欠である。
人が健康を維持・増進するためにはからだの健康とともにこころの健康が重要である。ヒトの真の健康を追求しこれを具体化するため、その理論と実践を確立する学、健康科学を構築しこれを発展させることが必要である。
以上より、相応しい資質と能力を備え、かつ高度な専門的ケアを自ら提供し、そして指導できる高度医療専門職を養成すること、そして新たな医療におけるキュア(治癒)の追求、新たな医療に対応するケアの開発と普及、さらに地域生活支援のための施策の企画や保健医療福祉システムの構築など、高度でかつ学際的、革新的な研究を推進する研究者を育成する教育・研究機関が必要である。
上記の理念と目的に基づいて、高度医療専門職の養成と独創的かつ斬新的な教育・研究を推進する教育者・研究者の養成を両輪とする「人間健康科学系専攻」を、高度先進医療分野において世界をリードし新たな医療の拠点となっている京都大学大学院医学研究科に設置する。

博士後期課程

生命科学の飛躍的発展により、純粋な真理の探究や新理論の構築にとどまらず、その成果が直接社会に還元されるものとなった。医療現場ではiPS細胞療法、再生医療、移植医療、遺伝子医療など新しい発想と方法論による治療戦略が提案され実践しつつある。一方で医療の目的は単に疾病の治癒だけでなく、より良い生活の質、充実した人生をも重視するよう多様化している。また、少子化・高齢化の進むわが国では、社会の変化に柔軟に対応できる保健システム、福祉システムの再構築が必要となっている。
人間健康科学系専攻(修士課程)は、「人の健康を、医療・保健・福祉の面において、回復・保持・増進するため医学並びに人文・社会科学を基盤として全人的視点から深く考究することにより、その理論を構築し、これを実践する方法と技術を確立すること、特にキュアとケアの視点から人間のからだとこころの健康をつくるために理論と実践を追求・開発し展開すること」を理念として設置した。
博士課程では、人間の真の健康を創生するため、そして自らの健康創生を支援するための教育・研究をさらに発展させ、健康科学理論の構築や先進的医療技術・こころのケア技術の開発を行い、社会に貢献できる教育・研究者を養成する。

アドミッションポリシー

修士課程

わが国の医学・医療はめざましい進歩を遂げつつありますが、今後ともこれを発展させることが必要です。京都大学大学院医学研究科は高度先進医療を推し進め、さらにこれからの日本にふさわしい保健・医療・福祉を構築するため、新しい科学「人間健康科学」を提唱し発展させてきました。人間健康科学系専攻は目標とする「健康」を理論的に体系化し、そしてこれを実現するための方法の確立と実践を目指します。このような理念の基に、望ましい医療を確実に患者さんへ届けられる高い臨床能力と豊かな人間性を備えた医療専門職を育成し、そして基礎と臨床の融合、及び異なる領域との連携など京都大学の知材を活用して新たな展開を担う教育・研究者を育成します。これからの医療を支えていこうという熱意を持った、以下のような皆さんの入学を歓迎します。

  1. 人間健康科学の学術研究と臨床実践を推進するために倫理性と責任感を備えた人、論理的思考力と実践力を身に着けた人
  2. 人間健康科学の各領域の課題解決に貢献し、高度先進医療を推し進め、これからの日本にふさわしい保健・医療・福祉を構築とその発展に寄与する意欲のある人
  3. 既存概念にとらわれず、新しい学術と研究に果敢に挑戦する、独創力にあふれた個性豊かな人
  4. 人間健康科学の専門分野を学ぶために必要な基礎学力を備えた人
  5. 高度先進医療の一翼を担う高度医療専門職(高度実践指導者)のリーダーとしての看護師、助産師、保健師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、医学物理士、医療ビッグデータの専門家、臨床研究開発管理の専門家等を志す人

上記のポリシーを実現するため、修士課程では先端看護科学、先端リハビリテーション科学、総合医療科学の各コースの専門分野に関連する専門知識を評価する専門試験、および面接試験を組み合わせた入学試験を実施します。これらの資料を総合的に判断し、合格者を決定します。配点等の詳細は募集要項に掲載しています。また、3年以上の医療実務経験を有する者を対象に社会人特別選抜を実施しています。

博士後期課程

本学は医学の研究を通して疾病の予防や治療に大きな役割を果たしてきましたが、今後とも疾病の克服に向けた展開を追求するとともに、さらに真の健康を創生するための新しい学、人間健康科学の理論を確立し、実践へ展開すべく人間健康科学系専攻に博士後期課程を発足させました。
医学・医療の分野において本領域の指導的役割を果たすためには、自らの専門分野のみならず多領域にわたって包括的な管理・運営する能力が求められます。そこで従来の専門分野別コースに加え、医・工・薬・理ならびに人文社会系学問の融合により心身の診断・治療・健康増進の理論を構築し、これを実践する方法と技術を確立するため、「近未来型人間健康科学融合ユニット」を設置しました。
健康創生に向けたこのような新しい視点に立ち人間健康科学の発展とこれを担う人材育成を目ざして医学・医療の領域のみならず産・公からも広く人材を求め、そして産・官・学へ広く人材を輩出する計画です。以下のような、意欲ある皆さんの参画を心より期待します。

  1. 人間健康科学の学術研究と臨床実践を推進するために倫理性と責任感を備えた人、論理的思考力と実践力を身に着けた人
  2. 人間健康科学の各領域の課題解決に貢献し、高度先進医療を推し進め、これからの日本にふさわしい保健・医療・福祉を構築とその発展に寄与するリーダーとなる意欲のある人
  3. 論理的思考を備え、専門的な基礎知識をもとに学術の高度化に寄与し、先進的、革新的な基礎・臨床研究等において成果をあげて世界に発信し、かつ後進を指導しようとする目的意識のある人
  4. 新しい医療保健福祉システム構築のために施策の企画立案ができる医療行政専門職となる意欲のある人、および新たな生活支援活動を構築して実践・運営に関わろうとする志のある人

上記のポリシーを実現するため、博士後期課程では外国語試験、および志望する先端看護科学、先端リハビリテーション科学、総合医療科学の専門分野に関連する修士論文の評価と、博士後期課程における研究計画の評価、ならびに口頭試問を行う面接試験を組み合わせた入学試験を実施します。これらの資料を総合的に判断し、合格者を決定します。詳細は募集要項に掲載しています。

カリキュラムポリシー

修士課程

ディプロマ・ポリシーに掲げる目標を達成するために、コースツリーを作成し、多様かつ調和のとれた教育体系のもと、以下を重視した教育を実施することを基本方針としています。

  1. 演習、セミナー、実習、研究指導等を通して高い倫理観と責任感の醸成
  2. 基盤的・先端的な専門知識と高度な技能の修得
  3. 先端看護科学、先端リハビリテーション科学、総合医療科学の分野横断的な学修
  4. 課題解決・問題解決能力の涵養
  5. 高度な調査能力、分析・判断能力の涵養
  6. 創造性豊かな優れた研究能力、開発能力

また、高度先進医療を推し進め、更にこれからの我が国にふさわしい保健・医療・福祉を構築するとともに、新しい「人間健康科学」を確立するために、目標とする健康を理論的に体系化し、これを実現するための方法の確立と実践を目指します。このような理念をもとに本課程は先端看護科学、先端リハビリテーション科学、総合医療科学のコースを設け、望ましい医療を確実に提供できる高い臨床能力と豊かな人間性を備えた医療専門職を養成し、基礎と臨床の融合と異なる領域との連携を通して京都大学の知財を活用して新たな「人間健康科学」の展開を担う教育者と研究者を育成します。

学生は、指導教員の指導による専門必修科目、特別研究を中心に、共通必修科目、選択科目を履修します。選択科目には、全学共通科目の大学院共通科目や社会健康医学系専攻の科目も履修可能で、他分野にまたがる横断的な科目履修が可能です。これらの科目の学習成果は、筆記試験やレポート・演習・実験・実習成果をもって評価されます。

博士後期課程

ディプロマ・ポリシーに掲げる目標を達成するために、コースツリーを作成し、多様かつ調和のとれた教育体系のもと、以下を重視した教育を実施することを基本方針としています。

  1. 特講演習、研究指導等を通して高い倫理観と責任感の醸成
  2. 創造性豊かな、優れた研究能力、開発能力の育成
  3. 基盤的、先端的な専門知識と高度な技能の修得
  4. 高度な調査能力、分析・判断能力の涵養
  5. 創造性豊かな優れた研究能力、開発能力、論文執筆能力の育成
  6. 先端看護科学、先端リハビリテーション科学、総合医療科学の各領域において国際的水準で議論できる能力の涵養
  7. 研究成果を世界に向けて発信し、世界を牽引する能力の涵養

また、真の健康を創生するための学、人間健康科学の理論を確立し、実践へ展開することを目指します。人間健康科学の分野において主導的な役割を果たすためには専門分野はもちろんのこと他領域にわたる包括的な管理・運営能力が求められます。そこで、本課程は専門分野別のコースに加え近未来型人間健康科学融合ユニットを設け、医・工・薬・理並びに人文系学問との融合により心身の健康の診断、治療、健康増進の理論を構築し、これを実践する方法と技術を確立する、健康の創生に向けた新しい視点に立ち健康科学の発展とこれを担う人材を養成します。

学生は、指導教員の指導による特講や特講演習、特別研究を中心に、分野横断型の融合ユニット科目を履修します。これらの科目の学習成果は、筆記試験やレポート・演習・実験・実習成果をもって評価されます。

ディプロマ・ポリシー

修士課程

2年以上在学して教育理念・目標に沿った授業科目を履修して30単位以上を修得し、研究指導を受け修士論文を提出し、所定の審査に合格した者に修士学位を授与します。
高度実践助産学系では、61単位以上を修得し、研究指導を受け修士論文を提出し、所定の審査に合格した者に修士学位を授与します。
専門看護師課程(CNSコース)では、50単位以上を修得し、研究指導を受け修士論文を提出し、所定の審査に合格した者に修士学位を授与します。

なお、修了にあっては、以下の点に到達していることを目標とします。

  1. 人間健康科学の学術研究と臨床活動における高い倫理性と強固な責任感を備えていること。
  2. 人間健康科学に関する広範かつ深い学識を獲得していること。
  3. 高度先進医療の発展に不可欠な高度医療専門職としての看護師、保健師、助産師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、医学物理士、およびビッグデータ医科学の専門職・臨床研究開発管理の専門職をはじめとする総合医療の各領域の幅広い専門的知識を持っていること。
  4. 課題解決・問題解決能力の涵養
  5. 高度先進医療を受けた本人とその家族,高齢者に対して、高度な調査・研究能力と分析・判断能力に基づいた効果的かつ質の高い生活支援を提供できること。
  6. 新しい保健医療福祉システムの構築に寄与しうる高度でかつ学際的,革新的な解決策等を提示できること。

学位授与基準
修士論文の審査では論文が学術的意義、新規性、創造性、応用的価値を有しているかと学位申請者が研究の推進能力、研究成果の論理的説明能力、研究分野に関連する幅広い専門的知識、倫理性などを有しているかを複数の審査員により総合的に審査します。

博士後期課程

3年以上在学して教育理念・目標に沿った授業科目を履修して16単位以上を修得し、研究指導を受け博士論文を提出し、所定の審査に合格した者に博士学位を授与します。

なお、修了にあっては、以下の点に到達していることを目標とします。

  1. 人間健康科学の学術研究と臨床活動における高い倫理性と強固な責任感があること。
  2. 人間健康科学における高度な課題解決力と新たな価値の創出力があること。
  3. 人間健康科学に関する専門的に高度な識見と、深い学識を備え、先端的医療技術の開発・検証ができること。
  4. 先端看護科学、先端リハビリテーション科学、総合医療科学の発展に寄与できること
  5. 薬学・理学・工学・情報学・社会学・心理学分野等との学際的な研究に指導的立場で関与でき,学際領域を融合した新たな研究分野の開拓・推進ができること
  6. 人間健康科学における高度な学術研究能力・臨床活動能力と幅広い国際的視野をもち、成果を世界に向けて発信して海外との共同研究を推進できること
  7. 新たな学問分野への探求や技術改新を次世代に向けて先駆的に指導でき、体系的な教育活動ができること
  8. iPS細胞療法、移植医療、遺伝子治療、再生医療などを深く理解し、先進医療の場でその発展に研究的視野を持って貢献できること
  9. 医療現場,保健や福祉の現場,社会生活の場などの臨床の場で、科学的根拠をもって提言ができ、多職種チーム内で中枢的指導性や統轄力を発揮できるスーパーコーディネーターとして機能できること
  10. 人間健康科学の基盤を有し、社会へ向け情報活動を行うとともに、「からだとこころの健康」を実現するための政策立案に参画できること
  11. 安心・安全・快適をテーマに製品開発を行うスーパーコーディネーターとして機能できること

学位授与基準
博士論文の審査では論文が学術的意義、新規性、創造性、応用的価値を有しているか、および学位申請者が研究の企画推進能力、研究成果の論理的説明能力、研究分野に関連する幅広い専門的知識、高い倫理性などを有しているかを複数の審査員により総合的に審査します。