脳機能総合研究センター医学・医科学専攻

センター長(併任) 花川 隆

非侵襲的に脳を計測する画像研究および非侵襲的に脳を刺激する機器を用いた機能回復研究を実施しています。画像研究では、世界で100台弱(日本に5台)しか設置されていないヒト用7テスラMRI装置を用いて、臨床への応用を視野に、ヒトにおける脳の構造と機能、神経伝達物質の解明を進めています。またヒトとマカクザルを対比可能な撮像技術の研究開発を進めています。機能回復研究では、脳損傷・脊髄損傷など中枢神経疾患において、脳刺激法とリハビリテーション課題併用による脳可塑性誘導、機能回復の効率化に取り組んでいます。

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研究・教育について

現在の神経科学は、さまざまな階層別に研究されており、特に実験動物を対象とした遺伝子から細胞、組織レベルの研究は長足の進歩を遂げています。しかし、現状これらの進歩が精神・神経疾患の医療向上に直結してはいません。脳微小構造と機能の解析に加えて、脳を全体的なシステムとして捉えることも重要です。脳の種差は大きく、ことに大脳はヒトでもっとも発達したシステムであるため、ヒトを対象とする脳科学は必要不可欠な分野です。
本センターは、ヒトを対象として非侵襲的な「脳を観察する」研究にてヒト脳の機能と疾患における病態生理を解明するとともに、「脳機能を増強・回復させる」研究にて、脳刺激と運動・認知課題の併用による新たなハイブリッドリハビリテーションを開発し、臨床診断・治療に応用することを目指しています。基礎脳科学的な神経生理研究・イメージング研究と機能回復を目指すニューロリハビリテーション研究が融合し、脳疾患・病態・治療に関係する診療各科・部門及び学内ならびに学外の研究機関と積極的に連携して、大学院教育を実施しています。

臨床脳生理学分野、脳イメージング分野: 超高磁場7テスラMRIや脳磁図(magnetoencephalography; MEG)を活用して、基礎から臨床に広がる脳研究を実施しています。

機能回復・再生医学分野: 非侵襲的脳刺激併用ハイブリッドリハビリテーション研究を主に、治療応用をめざした脳機能再生研究を実施しています。

研究業績

  1. Sasaki R, Ohta Y, Onoe H, Yamaguchi R, Miyamoto T, Tokuda T, Tamaki Y, Isa K, Takahashi J, Kobayashi K, Ohta J, Isa T. Balancing Risk-Return Decisions by Manipulating the Mesofrontal Circuits in Primates. Science 383(6678):55-61, 2024. doi: 10.1126/science.adj6645.
  2. Kyuragi Y, Oishi N, Hatakoshi M, Hirano J, Noda T, Yoshihara Y, Ito Y, Igarashi H, Miyata J, Takahashi K, Kamiya K, Matsumoto J, Okada T, Fushimi Y, Nakagome K, Mimura M, Murai T, Suwa T. Segmentation and volume estimation of habenula using deep-learning in patients with depression. Biological Psychiatry: Global Open Science. 4(4):100314, 2024. doi: 10.1016/j.bpsgos.2024.100314
  3. Oi Y, Hirose M, Togo H, Yoshinaga K, Akasaka T, Okada T, Aso T, Takahashi R, Glasser MF, Hayashi T, Hanakawa T. Identifying and reverting the adverse effects of white matter hyperintensities on cortical surface analyses. NeuroImage 281:120377-120377, 2023. doi: 10.1016/j.neuroimage.2023.120377
  4. Nojima I, Horiba M, Sahashi K, Koganemaru S, Murakami S, Aoyama K, Matsukawa N, Ono Y, Mima T, Ueki Y. Gait-combined closed-loop brain stimulation can improve walking dynamics in Parkinsonian gait disturbances: a randomised-control trial. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 94(11):938-944, 2023. doi: 10.1136/jnnp-2022-329966
  5. Okada T, Kuribayashi H, Urushibata Y, Fujimoto K, Akasaka T, Seethamraju RT, Ahn S, Isa T. GABA, glutamate and excitatory-inhibitory ratios measured using short-TE STEAM MRS at 7-Tesla: Effects of macromolecule basis sets and baseline parameters. Heliyon 9(7):e18357, 2023. doi: 10.1016/j.heliyon.2023.e18357

研究室

センター長:花川 隆(併任)
准教授:大石 直也
特定准教授:松元 まどか
特定准教授:青木 隆太
特定助教:Dinh Ha Duy Thuy
研究員:浦山 慎一
研究員/客員教授:尾上 浩隆
研究員:小金丸 聡子

TEL : 075-751-3695
FAX : 075-751-3202
e-mail : hbrcoffice@kuhp.kyoto-u.ac.jp
URL : http://hbrc.kuhp.kyoto-u.ac.jp/

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