教授 村井 俊哉
京都大学の精神科神経科は、1902年9月に開設されて以降、時代時代の要請に応じて、日本における精神医学臨床・研究の中心的役割を担ってきました。とりわけ、精神病理学、神経心理学、児童・思春期精神医学、司法精神医学、神経病理学、てんかん学は、当教室が大きな足跡を残した専門領域です。臨床研究に力点を置くこのような伝統を引き継ぎながら、神経画像技術など新規の研究手法も柔軟に取り入れ、私たちは、精神医学の臨床・研究・教育のすべてにおいて最良の教室であることを常に目指し続けています。
研究・教育について
神経生物学アプローチと心理社会的アプローチを柔軟に採用して、精神疾患の病態の多面的な理解と治療を目指しています。神経画像グループでは、各種のMRI画像法を用いて、統合失調症、うつ病、行動嗜癖を対象とし、精神疾患、その症状、心理機能と関連する形態学的・機能的特徴の検出を試みています。精神病理学グループは、摂食障害などを対象として、病態把握や治療論、心理的支援についての研究を行っています。神経心理グループは、脳外科やリハビリテーション部門の作業療法士とも協力し、外傷性脳損傷や脳血管障害の後遺症状としての高次脳機能障害の診療・研究を行っています。児童精神医学グループは、認知特性と病態との関連の研究など、臨床に直結したテーマに焦点を当てた研究を行っています。当教室の最大の特徴は、これらの様々な研究グループが垣根をつくらず、その相互作用の中から、高い診療実績、優れた研究成果、最良の教育機会を生み出しているところにあります。
研究業績
- Noda T, Isobe M, Mishima R, Tose K, Kawabata M, Aso T, Tei S, Noma S, Murai T. Neural correlates of a mindfulness-based intervention in anorexia nervosa. BJP Open 9:e22, 2023.
- Fujimoto G, Ubukata S, Sugihara G, Oishi N, Aso T, Murai T, Ueda K. A model for estimating the brainstem volume in normal healthy individuals and its application to diffuse axonal injury patients. Scientific Reports 13: 33, 2023.
- Inaba H, Li H, Kawatake-Kuno A, Dewa K, Nagai J, Oishi N, Murai T, Uchida1 S. GPCR-mediated calcium and cAMP signaling determines psychosocial stress susceptibility and resiliency. Science Advances 9:eade5397, 2023.
- Kyuragi Y, Oishi N, Yamasaki S, Hazama M, Miyata J, Shibata M, Fujiwara H, Fushimi Y, Murai T, Suwa T. Information flow and dynamic functional connectivity during electroconvulsive therapy in patients with depression. Journal of Affective Disorders 328: 141-152, 2023.
- Otsuka S, Murai T. The unique contribution of handwriting accuracy to literacy skills in Japanese adolescents. Reading and Writing, in press.
研究室
教授:村井俊哉
准教授:藤原広臨
講師:諏訪太朗・久保田学
助教:吉原雄二郎・磯部昌憲・上月遥・稲葉啓通・川島啓嗣・久良木悠介・植野仙経・鶴身孝介(デイ・ケア診療部)
特定病院助教:戸瀨景茉
TEL: 075-751-3386
FAX: 075-751-3246
e-mail: kyopsy@kuhp.kyoto-u.ac.jp
URL: https://psychiatry.kuhp.kyoto-u.ac.jp