日本人女性の乳癌罹患年齢は40歳代後半にそのピークがあります。また近年若年発症乳癌への対応についても国内外で議論が深まっています。当教室では、乳癌に罹った女性が社会的活動や家庭における役割を損なうことなく活躍できるように、また豊かな人生設計を立てることができるように乳癌予防や治療の最適化と低侵襲化、新しい診断方法・治療法の開発、個別化治療のためのシステム構築を目指し、各専門科との連携をとりながら診断から治療まで一貫した次世代型医療を行うための基盤研究を行っています。
研究・教育について
乳癌治療の最適化・個別化・毒性の最小化を目的とし、癌の特性と宿主の条件に応じた治療法選択のためのシステム作りと新しい診療法の開発を行っています。多くの患者さんのご協力の下乳癌生物試料の集積とそれにリンクした臨床情報のデータベースを整備し、乳癌微小環境におけるゲノム、エピゲノム、免疫応答を解析したり疫学的な解析をしたりするなど、基礎から臨床まで幅広い研究を行っています。
個別化医療では個々の症例レベルで治療効果を予測し、予後予測を行うことが不可欠であり、同時に病態や治療の効果をモニタリングすることが求められます。そのために、より感度・精度の高い予測ツール、モニタリング手法、汎化能力の高い統合型モデルの開発に取り組んでいます。術前薬物療法の開発、新しい局所療法の開発と最適化、光超音波技術の診断応用、新たなバイオマーカー、腫瘍免疫学的マーカーの開発、循環血液中腫瘍細胞分析法の開発、またゲノム、エピゲノム研究からの発癌リスクモデル開発、化学療法による副作用予防法の開発を行っています。
医療人教育においては、学部生、研修医、専攻医、大学院生それぞれの教育を通して、信頼性の高い実地臨床ができる人材、分子腫瘍学に基づき柔軟かつ合理的に新しい治療法を考案して、国際的発信力のある人材の育成を目指しています。
研究業績
- Takada M, Yoshimura M, Kotake T, Kawaguchi K, Uozumi R, Kataoka M, Kato H, Yoshibayashi H, Suwa H, Tsuji W, Yamashiro H, Suzuki E, Torii M, Yamada Y, Kataoka T, Ishiguro H, Morita S, Toi M. Phase Ib/II study of nivolumab combined with palliative radiation therapy for bone metastasis in patients with HER2-negative metastatic breast cancer. Sci Rep. 2022;12:22397
- Kawaguchi K, Maeshima Y, Toi M. Tumor immune microenvironment and systemic response in breast cancer. Med Oncol. 2022, 29;39:208.
- Ravi Velaga, Sunao Tanaka, Masakazu Toi. Molecular vulnerabilities and therapeutic resistance in hormone receptor positive and HER2 dependent breast cancer tumours.Cancer Drug Resist. 2022; 5(2): 487–497.
- Nakayama Y, Hanada M, Koda H, Sugimoto M, Takada M, Toi M. Breast cancer detection using volatile compound profiles in exhaled breath via selected ion-flow tube mass spectrometry. J Breath Res. 2022;17. doi: 10.1088/1752-7163/aca696.
- Chenfeng He, Riyo Konishi, Ayano Harata,Yuki Nakamura,Rin Mizuno, Mayuko Yoda, Masakazu Toi, Kosuke Kawaguchi, Shinpei Kawaoka Serum amyloid alpha 1-2 are not required for liver inflammation in the 4T1 murine breast cancer model.Front Immunol. 2023; 14: 1097788.
研究室
准教授： 髙田正泰
助教： 川島雅央、河口浩介、山口絢音
特定助教： 清水華子
TEL： 075-751-3660
FAX： 075-751-3616
E-mail： nyusen@kuhp.kyoto-u.ac.jp
URL： http://www.brca.jp/