肝胆膵・移植外科学医学・医科学専攻

教授 波多野 悦朗

肝胆膵疾患を対象として,手術と癌の集学的治療を行っています.他院で切除不能と診断された進行癌に対しても高度な技術による最善の治療を提供します.標準的な手術においては腹腔鏡手術やロボット支援下手術といった低侵襲治療を行っています.肝移植の分野では国内トップ施設として末期肝疾患や肝臓癌に対する肝移植を数多く手がけ,胆管癌に対しても最後の砦としての肝移植を提供しています.患者さんの希望を支える知識と技術とハートを信条に,高度な手術手技を持ち先端的な基礎研究を理解する外科医を育成することを目指しています.

研究室Webサイト

研究・教育について

臨床へのフィードバックを念頭に置いて,肝胆膵領域のoncologyと再生・移植医療の分野において幅広い研究を行っています.

  1. 肝胆道領域:
    • 胆管空腸吻合に代わる新たな胆道再建法を目指す人工素材を用いた人工胆管の開発.
    • 脱細胞化臓器を用いた移植可能な人工臓器(肝臓・小腸)の作成1,2
    • 原発性肝癌におけるゲノム解析と臨床病理学的特徴との統合解析3
    • 化学療法性肝障害の機序と対策.
    • 肝線維化,肝再生,癌における線維芽細胞の起源と機能に関する研究.
  2. 膵臓領域:
    • 膵液瘻の重症化機序に関する研究.
    • 膵島移植の為の膵島分離,保存および移植法の開発4,5
  3. 肝移植領域:
    • 免疫寛容機序解明.
    • 補体活性化制御によるグラフト傷害軽減.
    • 水素や灌流保存法を用いた新たなグラフト保存法の開発.
    • 異種動物内で「小さなグラフトを大きくする」ことで過小グラフト症候群を克服するための研究.
  4. 医工連携
    • リアルタイムに蛍光ナビゲーション手術を可能にする医療機器(MIPS)の開発

(図1)ハイブリッド人工肝臓

(A) 脱細胞化した肝臓を足場として肝細胞(Hep)と類洞内皮細胞(LSEC)とを再細胞化したハイブリッド肝臓.類洞内皮細胞も再細胞化させることにより血栓形成を抑制させ (B),十数時間の体外血液循環が可能となった (C).

(図2)インスリン依存状態糖尿病に対する膵島移植の基礎・臨床研究

PETを用いた新規膵島移植部位(皮下)の評価:皮下での膵島(細胞)グラフトの生着を証明するとともに新たなimagingによる膵島グラフト評価を呈示した.

研究業績

  1. Kojima H, Yasuchika K, Fukumitsu K, Ishii T, Ogiso S, Miyauchi Y, Yamaoka R, Kawai T, Katayama H, Yoshitoshi-Uebayashi EY, Kita S, Yasuda K, Sasaki N, Komori J, Uemoto S. Establishment of practical recellularized liver graft for blood perfusion using primary rat hepatocytes and liver sinusoidal endothelial cells. Am J Transplant 18:6:1351-1359:2018.
  2. Kojima H, Ishii T, Fukumitsu K, Ogiso S, Tomofuji K, Oshima Y, Horie H, Ito T, Wakama S, Makino K, Hatano E. In Vivo Regeneration of Tubular Small Intestine With Motility: A Novel Approach by Orthotopic Transplantation of Decellularized Scaffold. Transplantation. 2023 Sep 1;107(9):1955-1964.
  3. Makino K, Ishii T, Takeda H, Saito Y, Fujiwara Y, Fujimoto M, Ito T, Wakama S, Kumagai K, Munekage F, Horie H, Tomofuji K, Oshima Y, Uebayashi EY, Kawai T, Ogiso S, Fukumitsu K, Takai A, Seno H, Hatano E. Integrated analyses of the genetic and clinicopathological features of cholangiolocarcinoma: cholangiolocarcinoma may be characterized by mismatch-repair deficiency. J Pathol. 2024 May;263(1):32-46.
  4. Inoguchi K, Anazawa T, Fujimoto N, Tada S, Yamane K, Emoto N, Izuwa A, Su H, Fujimoto H, Murakami T, Nagai K, Hatano E. Impact of prevascularization on immunological environment and early engraftment in subcutaneous islet. Transplantation. Transplantation. 2024 May 1;108(5):1115-1126.
  5. Yamane K, Anazawa T, Nagai K, Ito T, Hatano E. Current status of total pancreatectomy with islet autotransplantation for chronic and recurrent acute pancreatitis. Ann Gastroenterol Surg. 2024;8:401–412.

研究室

教授:波多野 悦朗
特定准教授:石井 隆道(消化器腫瘍制御・臓器再生外科)
講師:伊藤 孝司・内田 洋一朗・長井 和之・穴澤 貴行(臓器移植医療部)・小木曾 聡
助教:小川 絵里(小児外科)・岡本 竜弥(病院講師,小児外科)・影山 詔一(臓器移植医療部)・政野 祐紀・平尾 浩史・門野 賢太郎・笠井 洋祐・小島 秀信・奥村 晋也・西尾 太宏・楊 知明・西野 裕人・山根 圭(消化器腫瘍制御・臓器再生外科),上林エレーナ幸江(小児外科)
医員:山本 美紀(小児外科)

TEL:075-751-3651
FAX:075-751-3106

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