准教授 上野 智弘
個体では、多様な階層での層内や層間の多彩なネットワークに基づき、生命が維持されています。MR顕微鏡をはじめとする様々な可視化技術を用いて、個体全体を生きたまま高解像度に可視化することにより、こうした個体での生命現象やその破綻である疾患の進行を明らかにすることを目指しています。特に、メダカなどの小型魚類の動物モデルを用いて、経時的に個体を観測することで、同一個体での時系列変化として捉えることを目指しています。この中で、疾患モデル開発から装置開発、画像解析にわたる広い範囲の課題に取り組んでいます。
研究・教育について
疾患モデル内でのネットワークを可視化するために、モデル全体を高解像に可視化するシステムの開発を中心に行なっています。可視化手法としては、非侵襲のMRIを高解像度化して、顕微鏡として使えるようなMR顕微鏡のシステム開発を中心にハード・ソフトの両面から進めています。また、ヒト疾患モデルとしてはメダカを用い、メダカの麻酔手法など撮像中のハンドリングや経時観察のための手法の開発も行ない、個体の経時観察を中心に研究をしています。今までに低温麻酔法を用いて、MR顕微鏡によるメダカの脂肪肝モデルやガンモデルの定量イメージングや経時観察を行なってきています。
こうした可視化技術の開発を行うことから、可視化原理を学ぶだけでなく、その原理の実現を可能とするハードウェアやその制御のソフトウェアなどの周辺技術についても学んでいます。また、取得画像からイメージングバイオマーカーと呼ばれるその特徴を抽出するための画像解析についても学んでいます。さらに、疾患モデルを扱うことから、疾患メカニズムだけでなく、様々な疾患モデルの開発についても学ぶことになります。
研究業績
- Morizumi H, Sugimoto N, and Ueno T. “Individual identification of inbred medaka based on characteristic melanophore spot patterns on the head.” Sci. Rep. 13: 659 (2023).
- Watanabe S, Ueno T, Kimura Y, Mishina M, Sugimoto N. “Generative image transformer (GIT): unsupervised continuous image generative and transformable model for [123I]FP-CIT SPECT images” Ann. Nucl. Med. 35: 1203-1213 (2021).
- Suzuki T, Ueno T, Oishi N, Fukuyama H. “Intact in vivo visualization of telencephalic microvasculature in medaka using optical coherence tomography.” Sci. Rep. 10: 19831 (2020).
- Kishimoto K, Washio Y, Yoshiura Y, Toyoda A, Ueno T, Fukuyama H, Kato K, Kinoshita M. “Production of a breed of red sea bream Pagrus major with an increased skeletal muscle muss and reduced body length by genome editing with CRISPR/Cas9.” Aquaculture 495: 415-427 (2018).
- Ueno T, Suzuki H, Hiraishi M, Amano H, Fukuyama H, Sugimoto N. “In vivo Magnetic Resonance Microscopy and Hypothermic Anaesthesia of a Disease Model in Medaka.” Sci. Rep. 6: 27188; doi:10.1038/srep27188 (2016).
研究室
准教授:上野 智弘 Tomohiro Ueno
博士(理学)(京都大学)
TEL:075-751-3907(居室)/075-751-3962(実験室)
Email: ueno.tomohiro.2u@kyoto-u.ac.jp