教授 髙島 康弘
私たちの体は細胞が集まってできています。幹細胞は、体のなかで日々新しい細胞を生み出し、古くなった細胞を置き換え、私たちを支えています。当研究室では、幹細胞を制御し、健康を促進することを目指しています。独自に開発した細胞培養技術を基盤として医学、生命科学分野にとどまらず社会全般に貢献するために「1: 多能性幹細胞」、「2: ヒト初期発生」、「3: 幹細胞を利用した臓器再生・リプログラミング」、「4: 非ヒト霊長類」に関する研究に取り組んでいます。
研究・教育について
当研究室は、受精卵により近いナイーブ型ヒト多能性幹細胞を樹立することに成功しました。ナイーブ型ヒト多能性幹細胞は従来型多能性幹細胞とは異なり、胎盤や卵黄嚢を含む妊娠期の全ての系列の細胞に分化する能力をもつことを見出しました。ナイーブ型ヒト多能性幹細胞を用いてヒト胚発生を模倣する幹細胞胚モデルの作製にも成功してきました。現在、これらの成果を発展させ、より質の高い多能性幹細胞を樹立し再生医療をより身近な治療にするための研究、胚モデルを用いた初期発生に関わる基礎研究や臓器再生を目指した研究を実施しています。また組織幹細胞を理解し、老化したり、ダメージを受けた組織・臓器の機能回復を目指した研究も実施しています。またこのようなヒト研究の動物モデルとして非ヒト霊長類を用いた研究を展開しています。
iPS細胞研究所や医学研究科の行事にも参加しながら、上述する幹細胞に関わる独自の研究テーマに取り組むことで、世界最先端の研究活動を行う場を提供します。
研究業績
- Okubo T, Rivron N, Kabata M, Masaki H, Kishimoto K, Semi K, Nakajima-Koyama M, Kunitomi H, Kaswandy B, Sato H, Nakauchi H, Woltjen K, Saitou M, Sasaki E, Yamamoto T, Takashima Y. Hypoblast from human pluripotent stem cells regulates epiblast development. Nature 2024; 626: 357-366 DOI: 10.1038/s41586-023-06871-2.
- Suzuki D, Lan KC, Takashima Y. Using human pluripotent stem cells to dissect trophoblast development. Curr Opin Genet Dev. 2023; 83:102126. DOI: 10.1016/j.gde.2023.102126.
- Io S, Iemura Y, Takashima Y. Optimized protocol for naive human pluripotent stem cell-derived trophoblast induction. STAR Protocols 2021; 2(4), 100921 DOI: 10.1016/j.xpro.2021.100921
- Io S., Kabata M., Iemura Y., Semi K., Morone N., Minagawa A., Wang B., Okamoto I., Nakamura T., Kojima Y., Iwatani C., Tsuchiya H., Kaswandy B., Kondoh E., Kaneko S., Woltjen K., Saitou M., Yamamoto T., Mandai M., Takashima Y. Capturing human trophoblast development with naive pluripotent stem cells in vitro. Cell Stem Cell 2021; 28(6) 1023-1039 DOI: 10.1016/j.stem.2021.03.013
- Takashima Y, Guo G, Loos R, Nichols J, Ficz G, Krueger F, Oxley D, Santos F, Clarke J, Mansfield W, Reik W, Bertone P and Smith A. Resetting transcription factor control circuitry towards ground state pluripotency in human. Cell 2014; 158(6): 1254–69 DOI: 10.1016/j.cell.2015.06.052
研究室
教授:髙島 康弘
e-mail: takashima-g@cira.kyoto-u.ac.jp