免疫薬理学医学・医科学専攻

教授 タムケオ ディーン

従来、免疫系は感染症などから身体を守るために進化してきた生体機能と考えられていました。しかし、近年のがん免疫分野の驚異的な発展により、免疫系が秘める可能性が新たに浮き彫りになりました。私たちの研究室では、このような免疫系の無限の可能性を追求し、免疫細胞がどのように機能するのかを解明することに取り組んでいます。当面の目標は、免疫の力を利用してがんを治療することですが、さらにその先には、免疫細胞を操作することで、組織再生や中枢神経の変性疾患の治療を実現することを目指しています。

研究室Webサイト

研究・教育について

私たちの研究のモチベーションは、現在不治の病とされている様々な疾患の治療法を開発することです。免疫系を操作し、その力を活かして新しい治療法の確立を目指しています。そのためには、免疫系および標的疾患の病態についての深い理解が不可欠で、現在私たちが取り組んでいる主な研究テーマは以下の通りです:

  1. がん免疫回避メカニズムの解明と治療応用
  2. 皮膚再生における免疫反応の役割解明

がんにおいては、腫瘍内に様々な浸潤免疫細胞が存在し、これらの細胞は相互作用しながら、腫瘍特有の免疫微小環境を形成しています。私たちはこれまでscRNA-seq技術などを駆使して、マウスがんとヒトがんの免疫微小環境を明らかにしてきました。私たちの研究の特徴の一つは、wet実験とdry解析をシームレスに組み合わせている点であり、様々なバックグラウンドを持つメンバーが集まっています。

私は30年近く日本で研究と教育に携わってきましたが、米国とタイでも長年過ごしており、その経験を活かして、国際的な雰囲気の研究環境作りに力を入れています。大学生や大学院生への研究指導を通じて、多様な視点を持つ次世代の科学者の育成を目指しています。

研究業績

  1. Siriwach R, Ngo AQ, Higuchi M, Arima K, Sakamoto S, Watanabe A, Narumiya S, Thumkeo D. Single-Cell RNA sequencing identifies a migratory keratinocyte subpopulation expressing THBS1 in epidermal wound healing. iScience 25: 104130 (2022).
  2. Kremer KN, Buser A, Thumkeo D, Narumiya S, Jacobelli J, Palenda R, Torres RM. LPA suppresses T cell function by altering the cytoskeleton and disrupting immune synapse formation. PNAS 119: e2118816119 (2022).
  3. Thumkeo D, Punyawatthananukool S, Prasongtanakij S, Matsuura R, Arima K, Nie H, Yamamoto R, Aoyama N, Hamaguchi H, Sugahara S, Takeda S, Charoensawan V, Tanaka A, Sakaguchi S, Narumiya S. PGE2-EP2/EP4 signaling elicits immunosuppression by driving the mregDC-Treg axis in inflammatory tumor microenvironment. Cell Reports 39: 110914 (2022).
  4. Thumkeo D, Katsura Y, Nishimura Y, Kanchanawong P, Tohyama K, Ishizaki T, Kitajima S, Takahashi C, Hirata T, Watanabe N, Krummel MF, Narumiya S. mDia1/3-dependent actin polymerization spatiotemporally controls LAT phosphorylation by Zap70 at the immune synapse. Science Advances 6: eaay2432 (2020).
  5. Shinohara R, Thumkeo D, Kamijo H, Kaneko N, Sawamoto K, Watanabe K, Takebayashi H, Kiyonari H, Ishizaki T, Furuyashiki T, Narumiya S. A role for mDia, a Rho-regulated actin nucleator, in tangential migration of interneuron precursors. Nature Neuroscience 15: 373〜380 (2012).

研究室

[教授] Thumkeo Dean
[助教] Prasongtanakij Somsak

TEL: 075-753-9295

FAX: 075-753-9281

URL: https://sites.google.com/kyoto-u.ac.jp/dean-lab/home

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