特定准教授 本多 啓吾
頭頸部では、鼻・副鼻腔、口腔、咽頭・喉頭、食道、唾液腺、甲状腺などさまざまな部位に腫瘍が生じます。頭頸部腫瘍の治療には、手術、放射線治療、薬物療法(化学療法、免疫療法)がありますが、いずれの治療にも一定の侵襲が伴い、患者さんのQOL低下の原因となります。そこで、新たな知見を蓄積し臨床応用することで、治療の侵襲を軽減しQOLを維持することが根治性に並び重要です。当講座では、さまざまな研究手法を用いて頭頸部腫瘍の治療法を最適化し、より効果的で低侵襲性な治療を患者さんに提供することを目指しています。
研究・教育について
1. 頭頸部悪性腫瘍の治療に革新的変化をもたらしている免疫療法について、その使用法を最適化する研究を行っています。
2. まだ不明点の多い免疫療法関連有害事象に対する標準的治療法の確立に関する研究を行っています。
3. 高悪性度腫瘍である粘膜悪性黒色に関して、その予後を改善すべく、部位横断的に知見を集積し、頭頸部領域における最適な治療の組み合わせやタ
イミングを探索しています。
4. 食道悪性腫瘍に対する医師主導治験や臨床試験、多施設共同後ろ向き観察研究を行い、集学的治療の開発を行っています。
5. 頭蓋底・顔面深部の複雑な構造を、カダバーディセクションによって外科的視点から整理し、新たな解剖学的指標を利用した安全で低侵襲な新規術式
を開発し、臨床応用しています。
6. 患者報告アウトカムを利用した患者志向の臨床研究システムの構築と、希少疾患に関する臨床疫学的研究への応用法を研究しています。
7. 再生医学的手法で作成した人工気管を用いて、頭頸部腫瘍手術で欠損した気管を生理的に再建する臨床研究を行い、その普及を目指しています。
8. 頭頸部腫瘍切除後の嚥下機能の定量的評価とエビデンス創出のための新たな内視鏡検査法を開発しています。
研究業績
- Nomura M, Hosokai T, Tamaoki M, Yokoyama A, Matsumoto S, Muto M. Timing of the infusion of nivolumab for patients with recurrent or metastatic squamous cell carcinoma of the esophagus influences its efficacy. Esophagus. sophagus. 2023;20(4):722-731. doi: 10.1007/s10388-023-01006-y.
- Nomura M. Definitive treatment for head and neck mucosal melanoma. Jpn J Clin Oncol. 2023;53(12):1112-1118. doi: 10.1093/jjco/hyad109.
- Sasaki K, Nomura M, Kato K, Sakanaka K, Ito Y, Kadota T, Machida R, Kataoka T, Minashi K, Tsubosa Y, Kajiwara T, Fukuda H, Takeuchi H, Mizowaki T, Nishimura Y, Kitagawa Y. A phase III randomized controlled trial comparing local field with additional prophylactic irradiation in chemoradiotherapy for clinical-T1bN0M0 esophageal cancer: ARMADILLO trial (JCOG1904) Jpn J Clin Oncol. 2024;54(1):103-107. doi: 10.1093/jjco/hyad137.
- Honda K, Omori K, Kishimoto Y. Anatomical variations in the superficial venous system of the neck: an image-based study using contrast-enhanced computed tomography. Surg Radiol Anat. 2024;46(5):669-677. doi: 10.1007/s00276-024-03326-9.
- Honda K. Clinical factors associated with difficulty in identifying the recurrent laryngeal nerve in thyroid surgery. Balkan ORL-HNS Published online May 9, 2024. doi:10.5152/bohns.2024.23025.
研究室
[特定准教授] 本多 啓吾
[特定講師] 野村 基雄