教授 森信 暁雄
臨床免疫学分野はリウマチ膠原病などの免疫疾患を対象とする講座であり、基礎免疫学と臨床の懸け橋となる分野である。免疫学、炎症学の発展の成果は臨床に応用され、この分野の治療は飛躍的に発展した。当教室では、最先端の免疫学的治療を駆使してリウマチ膠原病の治療に当たっている。しかしながら自己免疫のメカニズムは未だ解明されておらず、がん免疫治療の側面としての自己免疫疾患の出現など新たな課題も多い。私達は、臨床免疫学の課題を免疫学、生命科学、情報科学の手法を用いて解明し、診療の場に還元することを目的とする。
研究・教育について
自己免疫疾患・膠原病・リウマチ性疾患の病因・病態を解明して新たな診断法と治療法を開発すべき、以下のような研究を遂行している。
- 高安動脈炎633例の血液サンプルを収集し、ゲノムワイド関連研究でLILRA3などの新規の疾患関連遺伝子領域を発見した。エンリッチメント解析により、NK細胞が病態に関わると推定された(参考文献1)。
- 膠原病や間質性肺炎における自己抗体/抗原(抗MDA5抗体・抗SFPQ抗体など)の探索・同定を行っている。難治性病態(抗MDA5抗体陽性間質性肺炎合併皮膚筋炎)に対する強化免疫抑制療法の臨床研究を行った(図1)(参考文献2)。
- 抗炎症性脂質メディエーターおよびその受容体やシグナル伝達機構が関節リウマチの病態に及ぼす影響について、生体試料(血液、脂肪組織)を用いて解析している(図2s)(参考文献3)。
- 関節リウマチ、SLE、全身性強皮症の疾患感受性遺伝子としてホスホリパーゼD4を同定し、遺伝子変異マウスの解析を通じB細胞系譜における免疫寛容の維持機能を報告した(参考文献4)。
- ループス腎炎において、尿中オステオポンチンN-halfが上昇し、病勢の評価や診断ツールとして利用できることを報告した(参考文献5)。
研究業績
- Terao C, Yoshifuji H, Matsumura T, et. al. Genetic determinants and an epistasis of LILRA3 and HLA-B*52 in Takayasu arteritis. Proc Natl Acad Sci U S A. 2018;115(51):13045-13050.
- Tsuji H, Nakashima R, et al. Multicenter Prospective Study of the Efficacy and Safety of Combined Immunosuppressive Therapy With High-Dose Glucocorticoid, Tacrolimus, and Cyclophosphamide in Interstitial Lung Diseases Accompanied by Anti-Melanoma Differentiation-Associated Gene 5-Positive Dermatomyositis. Arthritis Rheumatol. 2020;72(3):488-498.
- Murakami K. Potential of specialized pro-resolving lipid mediators against rheumatic diseases. Nihon Rinsho Meneki Gakkai Kaishi. 2016;39(3):155-63.
- Akizuki S, Terao C, et al. PLD4 is a genetic determinant to systemic lupus erythematosus and involved in murine autoimmune phenotypes. Ann Rheum Dis. 2019;78(4):509-518.
- Kitagori K, Yoshifuji H, et al. Cleaved Form of Osteopontin in Urine as a Clinical Marker of Lupus Nephritis. PLos One. 2016; 11(12): e0167141.
研究室
教 授:森信 暁雄
講 師:吉藤 元
助 教:笹井 蘭(旧姓 中嶋)、北郡 宏次、 秋月 修治、辻 英輝、日和 良介
特定病院助教:白柏 魅怜
TEL:075-751-4380
FAX:075-751-4338
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