講師 田畑 阿美
医学の進歩は生命予後の改善をもたらしてきました。しかし、命が助かればそれでよいのでしょうか。“目に見えない困難さ”を抱えながら生きているこどもたちが存在します。健やかで幸せな未来あるこどもたちの支援において、ライフサイクルに応じた長期的な支援体制の構築は重要な課題です。助かる命が増えたからこそ、私たちに求められるのは切れ目のないCareの充実です。
当研究室では、こどものウェルビーイングに焦点を当て、がんや脳損傷、また、医療的ケアを必要とする対象者と家族の作業療法に関する研究と教育を行っています。
研究・教育について
当研究室では、がんや脳損傷、また、医療的ケアを必要とする対象者と家族が、身体的、精神的、社会的に健康で充実した生活を送れるよう、こどもから大人まで、年齢を問わず支援しています。そして、神経心理学的合併症や社会での生きづらさの原因解明と、将来を見据えた長期的な支援体制の構築、作業療法の実践方法の開発を目指し、臨床と研究、教育に取り組んでいます。
また、京都大学医学部附属病院等での臨床実践や患者・家族交流会での支援を通して、高度医療専門職リーダーの育成を目指しています。
具体的には、
- 小児がんおよび後天性脳損傷児の神経心理学的合併症および復学支援に関する研究
- 小児脳腫瘍治療後の高次の認知・運動機能の障害とその社会生活自立度に関する調査研究
- 小児もやもや病における古典的および社会的認知に関する観察研究
- 造血細胞移植児の認知機能と協調運動、およびQOLに関する研究 - 脳腫瘍患者の神経心理学的合併症および社会生活機能に関する研究
- 間脳および脳室内腫瘍治療後の患者の高次脳機能、身体・精神機能および社会生活機能に関する調査研究 - 医療的ケア児に対する早期リハビリテーションおよび在宅移行支援
に取り組んでいます。
研究業績
- Yusuke Kusano, Takeshi Funaki, Keita Ueda, Noyuri Nishida, Kanade Tanaka, Susumu Miyamoto, Shuichi Matsuda:Characterizing the neurocognitive profiles of children with moyamoya disease using the Das Naglieri cognitive assessment system,Scientific Reports 12(1),2022.
- 西田野百合, 草野佑介, 山脇理恵, 梅田雄嗣, 荒川芳輝, 田畑阿美, 小川裕也, 宮城崇史, 池口良輔, 松田秀一, 上田敬太:髄芽腫生存者の協調運動障害―適応行動や健康関連Quality of Lifeへの影響に関する検討―,日本小児血液・がん学会誌 59(1):24-29,2022.
- Tappei Morino, Yuki Shinohara, Qian Niu, Kanako Shimoura, Ami Tabata, Akiko Hanai, Masahiro Ogawa, Toshihiro Kato, Hitoshi Tanimukai, Tadao Tsuboyama, Mari Matsuoka, Soichi Adachi, Tomoki Aoyama:Perception Gap in Health-Related Quality of Life Between Young Adult Survivorsof Childhood Cancer and Their Family,Journal of Adolescent and Young Adult Oncology 10(6):735-739,2021.
- 田畑阿美, 荒川芳輝, 梅田雄嗣, 坪山直生, 松島佳苗, 加藤寿宏:復学後の小児脳腫瘍患児の認知機能,生活の質および適応行動に関する調査研究,日本小児血液・がん学会誌 56(2):182-188,2019.
- Ami Tabata, Masashi Kanai, Takahiro Horimatsu, Tadao Tsuboyama, Kanae Matsushima, Toshihiro Kato:Changes in upper extremity function, ADL, and HRQoL in colorectal cancer patients after the first chemotherapy cycle with oxaliplatin: a prospective single-center observational study,Supportive Care ㏌ Cancer 26(7):2397-2405,2018.
研究室
講師:田畑 阿美 Ami Tabata Ph.D.,OTR
E-mail:tabata.ami.3e (at) kyoto-u.ac.jp(メール送信時は(at)を@に変えて下さい)
TEL & FAX:075-751-3819