難病創薬産学共同研究講座

当講座では疾患に共通する分子機構(フェロトーシス、異常スプライシング、GPCRシグナリング等)を中心に、難病・希少疾患の治療をめざして、産学共同で最先端の研究をおこないます。

難病

難病には希少疾患が多く含まれます。希少疾患の創薬研究は、解析材料の確保、新薬の安全性評価、投資の回収が困難であり、研究を推進する上での難しさがあります。しかし難病を、一般的疾患の特殊例と捉えれば、見方が変わります。難病の原因を解明することで、新たな概念が創出され、新規創薬標的が同定されれば、難病だけでなく、一般的な疾患への応用も可能です。

分子機構に介入する創薬
  1. フェロトーシスとの関連が知られている疾患は多岐にわたっており、神経変性疾患、線維症、虚血再灌流障害、がん、のような難病が含まれます。新規に同定したフェロトーシス阻害化合物を用いて難病治療をめざします。
  2. 遺伝性疾患の35%は、異常スプライシングが原因であると推測されています(Kassie S Manning & Thomas A Cooper, Nat Rev Mol Cell Biol. 2017)。開発中のスプライシング制御化合物を用いて、遺伝性疾患の治療をめざします。
  3. GPCRのシグナリング調節が疾患治療につながることは、神経系疾患や循環器系疾患で示されています。GPCRアゴニスト、アンタゴニストを新規に同定・解析した経験を生かして、アンメット・メディカル・ニーズに対する治療法を提案します。
この講座でめざすもの

皮膚病変を構成する表皮細胞、免疫細胞、線維芽細胞の遺伝子発現を解析します。その結果をもとに、新たな治療標的を探索し、ドラッグリポジショニングも検討します。またフェロトーシス、異常スプライシング、GPCRシグナリング等、疾患の病態に重要な意義を有するが、まだ有効な薬剤が開発されていない分子機構に作用する小分子化合物を新たに見出すことで、有効な治療法のない難病に対する画期的な創薬の実現を目指します。皮膚科の強みと豊富な創薬経験を生かして積極的に臨床試験を進めていきます。京都大学の強みを生かし、異分野との交流を通して新たな疾患概念を提唱していきます。

スタッフ
特定准教授
野村 尚史
共同研究先
  • 鳥居薬品株式会社
  • 株式会社BTB創薬研究センター