先端医療基盤共同研究講座(アライアンス・ステーション)
-アステラス製薬との創薬研究産学連携基盤-

我が国の製薬企業では、2000年頃まで、自前で創薬研究を遂行し、臨床開発へ進めることが一般的でした。21世紀に入り、医学・生命科学が急速に進歩し、研究領域の融合がどんどんと進む中、製薬会社が自社のみで最先端の生命科学や技術を網羅的にカバーして創薬研究を実施することは困難になって来ました。このような創薬環境変化に対する解決策の一つとしてオープンイノーベンション活動を取り入れ、多様な研究機関と協働しながら創薬研究を進めることが一般的となりつつあります。京都大学とアステラス製薬は、いち早く上記変化に対応して、2007~2017年にオープンイノベーションの拠点である次世代免疫制御を目指す創薬医学融合拠点(AKプロジェクト*)を設置し、ここでの協働を通じて臨床/基礎/創薬の研究における連携体制を構築するとともに、多くの成果を創出してきました。そして2017年、我々はこのAKプロジェクトの活動で培われた共同研究体制、ネットワークおよび相互信頼を基盤に、京都大学とアステラスとの連携を更に進化させる形でアライアンス・ステーション(Aステーション)を開設しました。Aステーションは先端医療基盤共同研究講座を実施基盤として、すでに10年を超える京都大学とアステラス製薬との強固な連携体制を活かし、アステラス製薬における創薬研究ノウハウと京都大学における最先端のサイエンスおよび多彩な技術を融合させることで、種々の疾患領域を対象とした複数の共同研究プログラムの遂行を目指しています。我々は、Aステーションを軸とした京都大学とアステラス製薬との産学連携をさらに進化させ、「患者さんの価値となる新薬」の創出を一日も早く成し遂げたいと考えています。
大学で行われている病態と標的分子の関連性の解明は、まさに創薬研究の起点となる研究です。特に、診断や治療が日々行われている大学病院との機動的かつ柔軟な連携により「ヒトの疾患や病態の探求」や「新規薬剤の有効性予測の向上」など、製薬企業単独では実施が難しい研究を推進したいと思っています。私たちは、また、新たな治療手段(新規モダリティ)あるいは創薬研究に必要となる基盤構築にも大学等の研究機関における成果を活用したいと考えています。Aステーションは世界トップレベルの研究を行う京都大学の研究者の皆様の参加をお待ちしています。

AKプロジェクト:2007年7月から2017年3月末まで、文部科学省 先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラムとして、「次世代免疫制御を目指す創薬医学融合拠点」で実施されていた京都大学とアステラス製薬の共同研究。

スタッフ
執行責任者
成宮 周(医学研究科 特任教授)
特定教授
早乙女 周子
特定講師
中溝 聡
協働機関
  • アステラス製薬株式会社
協働機関責任者
  • 黒光 貞夫 (アライアンスステーション長、医学研究科 特任教授(協働))
実施期間
  • 令和2年度から6年間
講座Webサイト