講演会では、東京理科大学における学生時代から、米国留学時代、そして帰国後の北里大学での多くの経験や、大村先生の研究哲学についてお話しいただきました。微生物の採取から自ら行い、有用な新規天然有機化合物の発見をするという「泥をかぶる研究」をすることにした経緯や、留学中の多くの研究者との出会い、また帰国に際して製薬企業と連携し、医薬、動物薬等を協働で開発したことについてお話しいただきました。その結果、これまで500以上の新規化合物を発見され、そのうち26が医薬品や研究試薬として市販されており、感染症の治療・撲滅、生命現象の解明などに多大な貢献をもたらしました。また現在でも、抗がん剤への応用が進められていることなどの解説がありました。
特に抗寄生虫薬イベルメクチンは、熱帯病のオンコセルカ症、リンパ系フィラリア症の他、糞線虫症、疥癬の予防・治療薬などとして年間3億人余に使われていると説明があり、大村先生の研究による国際貢献へのスケールの大きさを感じるものでした。
本講演は、創薬医学講座(寄附講座)が企画・立案から担当し実施したもので、約300人の参加者は、大村先生の研究人生・エピソードをもって、研究の素晴らしさ、人との出会いや、新しいことにトライすることの大事さ、人材育成の必要性などに触れ、感銘を受けておられました。
また、その後の懇親会では、学生や若手研究者が大村先生を囲み、ノーベル賞研究者と身近に会話する機会となりましたが、終始和やかな雰囲気に包まれていました。
大村先生特別講演会(医薬系総合研究棟 藤多記念ホール)