長田重一教授が第18回慶應医学賞を受賞しました。

受賞

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長田重一教授は、昭和47年東京大学理学部を卒業、昭和52年同大学大学院理学系研究科博士課程を修了し、理学博士の学位を授与された。 同大学医科学研究所助手、チューリッヒ大学分子生物学研究所研究員、東京大学医科学研究所助手を経て、財団法人大阪バイオサイエンス研究所第一研究部研究部長に就任された。 次いで、大阪大学医学部教授、同大学大学院医学系研究科教授、同大学大学院生命機能研究科教授を経て、平成19年京都大学大学院医学研究科教授に就任し、医化学講座を担当されている。


慶應医学賞は、世界の医学・生命科学の領域において、医学を中心とした諸科学の発展に寄与する顕著、かつ創造的な研究業績をあげた研究者を顕彰するものである。 同教授の受賞研究テーマは「細胞死の分子機構・生理作用の研究」である。 老化した細胞や傷害や感染などで異常になった細胞は、アポトーシスと呼ばれるプログラムされた細胞死によって除かれることで恒常性が維持されている。アポトーシスを起こした細胞は、染色体DNAが断片化するとともに、細胞表面にフォスファチジルセリン(PS)というリン脂質が曝露されることでマクロファージに認識されて除去される。同教授は、アポトーシスを誘導するFasと呼ばれる分子の遺伝子クローニングを皮切りに、Fasリガンドを同定し、さらにFasからのシグナルがCADと呼ばれるDNA分解酵素を活性化し、アポトーシス細胞の特徴であるDNAの断片化を導くことを明らかにした。また、これらの過程の異常が自己免疫疾患や免疫異常を引き起こすことを示した。さらに、マクロファージがアポトーシス細胞を認識し貪食するのに必要な分子群を発見するとともに、長年の謎であったPSを細胞表面へ曝露させるのに必要な酵素、スクランブラーゼを同定した。このように、アポトーシスの分子機構の解明とその生理的意義について多大な業績を残し、現在も研究を大きく発展させ続けていることから、今回同賞を受賞した。


なお、授賞式は2013年11月27日(水)午後2時より、慶應義塾大学信濃町キャンパス北里講堂にて行われる予定。


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