芳川 豊史 教授(呼吸器外科学分野)が着任しました

お知らせ

 2026年2月1日付けで、京都大学大学院医学研究科 医学専攻器官外科学講座 呼吸器外科学の教授を拝命しました、芳川豊史(よしかわとよふみ)と申します。着任にあたり、謹んでご挨拶させていただきます。

 私は、1997年に京都大学医学部医学科を卒業し、第3代人見滋樹教授主宰の京都大学胸部疾患研究所の外科に入局しました。高知市立市民病院、静岡市立静岡病院での、呼吸器外科、心臓血管外科を中心とした臨床研修後、2003年に第4代和田洋巳教授主宰の京都大学大学院医学研究科呼吸器外科学教室に帰学しました。呼吸不全の患者が劇的に回復される肺移植に魅せられ、大学院では、心停止ドナーからの肺移植をテーマに、肺の温虚血再灌流障害について体外肺灌流(ex vivo lung perfusion: EVLP)モデルを用いた研究を行いました。2007年に学位取得後、トロント大学胸部外科(Shaf Keshavjee教授)において、Clinical fellowとして肺移植のトレーニングを受ける機会を得、大学院時代に研究していたEVLPを用いた肺移植、心停止ドナーからの肺移植について実臨床に携わりました。

 2009年に京都大学に帰学し、第5代伊達洋至教授の指導の下、約10年間、200例を超える肺移植に実働の中心として関わりました。多くの世界初、日本初の肺移植症例を経験しましたが、2014年に経験した世界初の左右反転生体肺葉移植においては、アイデアの想起、実際の3Dモデル作成に奔走したことなど、昨日のことのように覚えております。さらに、生体肺移植における3D volumetryを用いたサイズマッチング、血液型不適合を含めた造血幹細胞移植後の肺移植、肺移植におけるドナー特異的抗体や抗体関連拒絶に興味を持ち、臨床だけでなく研究にも積極的に取り組みました。また、3D画像を用いた手術シミュレーションにも興味を持ち、末梢小型肺癌に対するICGを用いた術前マーキング法(ICG-VAL-MAP)を開発しました。こうした中で、既存の3D画像は術中の肺の変形に対応していない限界に気づき、脱気や手術操作での変形に対応した「動く3D画像」を、現京都大学医学研究科人間健康科学系専攻理工系医療科学講座の中尾恵教授と共同開発しました。

 2019年には名古屋大学大学院医学系研究科呼吸器外科教室に教授として着任しました。まず、臨床医療に力を注ぎ、年間200例強であった原発性肺癌の手術数を、2025年には350例と、国公立大学では最多の数に伸ばしました。同年のロボット補助下胸腔鏡手術(RATS)は300例を超え、呼吸器外科としては国内最多でした。この原動力は、特定の医師でなく、臨床を行うほぼ全ての外科医がRATSを執刀するという新しい取り組みでした。さらに、名大病院で、肺移植の準備をゼロから開始し、2023年3月に全国で11施設目の肺移植実施施設に認定、2025年8月には名大病院初の肺移植を成功させました。また、在任の6年半で37名の入局など、仲間を大きく増やすことができました。研究においても、肺癌、胸腺腫瘍、中皮腫、手術シミュレーション、腸呼吸に至るまで、幅広く行いました。

 6年半、母校の呼吸器外科教室を離れ、外から眺めて再認識しましたのが、80年を超える歴史と累計400名を超える多彩な同門の存在です。現Duke大学教授の第5代伊達洋至教授のもと、診療面では世界最大の生体肺移植施設としてその名を轟かせ、肺移植技術を基盤にした拡大手術を武器に幅広く呼吸器外科診療を展開し、研究面では肺癌、肺移植、再生・医工学医療を三本柱として様々な研究を推進してきました。京都大学呼吸器外科教室は、名実ともに本邦最大のチームであり、このようなチームを預からせていただくことの責任の重大さを、ひしひしと感じております。1953年に初代長石忠三教授が着任されて以来、脈々とつながる教室の魂を引き継ぎ、その歴史を汚さぬよう邁進したいと考えております。

 まず、今後の多様な呼吸器外科診療に対応するべく、様々なタイプのプロフェッショナルな呼吸器外科医を育成していきます。京都大学の強みである移植医療を武器に、肺移植も肺癌もできる呼吸器外科医を一人でも多く育てます。また、診療と研究の両輪の持続的発展に向けて、臨床呼吸器外科学の素養を持ったSurgeon Scientistの育成にも努めます。さらに、多くの関連病院を持つ京都大学ならではの、地域の呼吸器外科診療を担う呼吸器外科医の養成も重要です。そのためには、大学医局という柱をもとに、多くの関連病院が相互に連携を取りながら結合し、双方向性にコミュニケーションを取り合う京都大学呼吸器外科チームを作ります。人によって、幸せの感じ方、捉え方、考え方は異なります。呼吸器外科医として、自らの幸せを他の誰に制限されることなく希求できる、多様性に富んだチームを作ります。これからは、その夢を実現するために、教室員とともに、診療・教育・研究を3つの重要な柱とし、体制の整備・深化に尽力いたす所存です。

 皆様、今後とも、何卒よろしくお願い申し上げます。

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