科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者に授与される科学技術分野の文部科学大臣表彰に、京都大学大学院医学研究科から科学技術賞で1名、若手科学者賞で1名が選ばれました。
表彰式は、4月17日(火曜日)に文部科学省にて行われました。 |
科学技術賞
対象:我が国の科学技術の発展等に寄与する可能性の高い独創的な研究または開発を行った者 |
若手科学者賞
対象:萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた40歳未満の若手研究者 |
岩田 想
医学研究科 分子細胞情報学 教授
「膜タンパク質の構造機能研究」 |
濵崎 洋子
医学研究科 免疫細胞生物学 准教授
「胸腺の発生と自己免疫寛容成立機構に関する研究」 |
膜蛋白質構造解析のボトルネックを解消するための各種技 術開発を行い、これらの技術を組み合わせることにより幅広い膜蛋白質の構造解析を可能にした。その 結果、創薬ターゲットであるヒト・ヒスタミン受容体などの生物学的に重要な11種類の膜蛋白質の構造解析に成功した。本研究により、幅広い膜蛋白質の立体 構造を迅速に解決できるようになり、また解析された構造から光合成や呼吸など生命の重要な仕組みが多く明らかにされた。 |
胸腺はT細胞の発生と自己寛容の成立に必須の上皮性組織である。本研究は 、自己寛容成立に必須な胸腺髄質上皮細胞を初めて単離・同定し、その前駆細胞ならびに分化過程を明らかにした。さらに、髄質形成不全により自己免疫疾患を呈するモデルマウスへ同定した前駆細胞を移植し、疾患を回避することに成功した。本研究成果は、胸腺組織の発生異常や加齢退縮等に起因する自己免疫疾患・免疫不全および免疫老化の理解につながると共に、その治療方法の確立に寄与するものと期待される。 |