【リレーエッセイ】 散策リフレッシュ(医学専攻法医学講座 西谷 陽子 教授)

お知らせ

趣味といえるものはいろいろあります。昔は「趣味」というとわかりやすいもの、例えば編み物だったり映画だったりというもので表現していました。今の自分の年齢になってふと思い返すと、そういったわかりやすい趣味でなくとも、自分の人生で繰り返しやっていたり、いつでも心ときめいたり、「私って、これが好きだったんだな」とあらためて発見することがあります。これもまた「趣味」といえるものだと感じるようになりました。その一つに散策があります。ぼーっと気持ちが赴くままに歩くと良い気分転換にもなります。

散策と言っても、実際には通勤の行き帰りであったり、あるいはちょっとした会議の場所までをバスやタクシーを使う代わりにちょっと多く歩いてみたりという程度です。歩くスピードは速くないのですが、街並みや街路樹、草花を見ながらゆっくりと歩いています。新しい場所に行ったときにも、バスやタクシーではなく、思い切って初めての道を歩くと、いろいろな発見があります。工場や建物を見つけたりお店を見たり、特にわからないときはスマートフォンで検索をかけながら歩くと、その土地のことが良く理解できます。お店の店頭ではその地域の特産品が並んでいて、その土地を感覚で感じ取れることはとても楽しい時間です。やはりスマートフォンでの検索機能の強化で散策がさらに楽しいものになってきました。

京都には21年ぶりに戻ってきましたが、京都での散策はちょっと大変です。ほかの地域のようにのんびりと散策したいところなのですが、街中はちょっと歩けば意味ありげな建物が出てきて、一つずつ立ち止まって確認しているといつまでたっても目的地にたどり着けません。最初のうちは、散策がかえってあれやこれや盛沢山になってしまい疲れてしまうというリフレッシュしているのかしてないのかわからない状態になりました。最近では、「後回し」ができるようになり、また次の機会に来ようと思いながら前を通り過ぎることでのんびり散策生活にもどりました。京都という町は魅力にあふれて困ってしまいます。

日ごろの散策は、毎日の通勤の中にあります。毎日同じ場所を歩いていても新しい発見があります。紅葉し、葉が落ちて、やがて山茶花が咲き、桜が咲き、新緑があふれる、ダイナミックな自然の動きは毎日同じ場所を歩くからこそ感じ取れるものです。また自然と一言で言っても、場所によって随分違います。雪の後に短い春・夏を争うようにニョキニョキ草木が成長する北海道、大きく背の高い樹木がドーンと威厳を放つ大らかな熊本、そして四季折々の繊細な表情の移り変わりを知らせる京都。雨の次の日は艶々ときらめきを見せる雑草たちを横目に、これからも散策リフレッシュはつづくことでしょう。

URL:
京都大学大学院医学研究科法医学講座
http://www.fp.med.kyoto-u.ac.jp/


写真:京都大学医学部構内にて自身で撮影。


色づく紅葉(11月下旬)


山茶花(12月下旬)


桜と鳥(4月上旬)


咲き乱れるツツジ(4月下旬)
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