増田 慎三 教授(乳腺外科学分野)が着任しました

お知らせ

 2024年4月1日より京都大学大学院医学研究科外科学講座乳腺外科学分野教授を拝命いたしました増田慎三です。着任にあたりご挨拶申し上げます。 

 1993年に大阪大学医学部を卒業、関連病院での外科研修期間に、診断から手術・薬物療法と幅広く、そして一人一人の患者さんと長くお付き合いできる乳腺診療に興味を持ち、その専門性を高めて参りました。2001年から市立堺病院では乳腺センターのチーム医療を立ち上げ、2003年から国立病院機構大阪医療センターで、よりよい新しい治療法の開発を目指し、臨床試験や新薬開発治験などの臨床研究に注力しました。術前薬物療法の効果に応じた個別化治療を主テーマに臨床試験、医師主導治験を経験し、我が国における新薬の適応拡大にも携わりました。2021年10月より、名古屋大学大学院医学系研究科 病態外科学講座 乳腺・内分泌外科学の初代教授のご縁をいただき、診療に加え、教育・研究のアカデミア活動を経験させていただきました。ガイドラインに示された標準治療で満足するのではなく、より最善な治療とは何かを考え、その解を求める臨床試験や新薬開発治験に積極的に取り組む意識改革を進めてきました。

 臨床研究の推進には多施設での協働が欠かせません。JBCRG(Japan Breast Cancer Research Group), JCOGなどの全国組織、前任の大阪地区ではKBCSG-TRの地域活動の中心的役割を担って参りました。今後は京都大学関連病院を中心に構成されるKBCRN(京都乳癌研究ネットワーク)とも協働し、新しいエビデンスの創出に取り組んで参ります。

 乳癌は女性の癌罹患第1位であり、好発年齢が40-60歳代であることからも、社会的にも注目度の高い疾患です。一方、治療法の進歩により5年生存率は優に90%を超え、治療成績は向上しています。乳癌100%克服を目指しつつも、治療のescalation とde-escalationの視点から、手術療法と薬物療法のバランスを個々に考え、より個別化そして最適な治療を提供することが期待されており、臨床研究と基礎研究の融合からその実現をめざすことが、喫緊の優先課題と考えます。

 共に考え、笑顔で寄り添う患者さん中心の診療を軸として、教育、研究を実践し、将来を担う優秀な乳腺専門医の育成に励んでいく所存です。治療体系の複雑化と患者数の増加に見合った専門医数がまだまだ充足していない分野ですので、診断・手術を含めた集学的治療、乳腺腫瘍学に多くの若手医師が興味を持ち、集うことを期待しています。

 京都大学乳腺外科教室は2006年に診療科として独立し、2007年から戸井雅和先生が初代教授として、先駆的な診療、国際的な研究、教育を推し進め、多くの優秀な乳腺専門医を輩出し、国内外で高く評価されています。その後任としてご指名いただけましたことは大変光栄ではございますが、同時に大きな責任も感じております。皆様のご厚誼とご指導ご鞭撻を賜りますよう謹んでお願い申し上げます。

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