竹林 浩秀 教授(総合解剖センター)が着任しました

お知らせ

 2024年4月1日に京都大学大学院医学研究科附属 総合解剖センターに着任しました竹林浩秀と申します。1995年に本学医学部医学科を卒業したのち大学院博士課程に進学し、成宮周教授の主宰する教室に入りました。成宮研究室では垣塚彰先生のもとで研究の基礎を教わりました。その後、鍋島陽一教授の研究室で博士研究員を行い、生理学研究所・池中一裕教授の研究室、カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学、熊本大学准教授を経て、2011年に新潟大学大学院医歯学総合研究科の教授となりました。新潟大学では、12年半にわたり神経解剖学教室を主宰し、この度、ご縁をいただいて京都大学に戻って参りました。

 京都大学医学部医学科では解剖学教育に携わります。解剖学教育は専門課程で医学生が医学に接する最初の科目です。系統解剖実習は、ご献体いただくことにより成り立つ極めて特殊な実習となります。医師や医学を志す者の心構えもしっかりと伝えたいと考えております。これまで大学や研究所など、さまざまな環境で働いてきた中で、多くの素晴らしい先生方との出会いがありました。京都大学での新たな出会いや再会に期待しております。京都大学医学部には、将来さまざまな分野で活躍する人材を育成することが期待されておりますので、これまでの経験をふまえて、医学研究者を含めた多様な人材の育成に取り組みたいと考えております。
最近は、卒後教育の一環として若手医師の技量の向上のために、ご献体を用いた外科トレーニング(Cadaver Surgical Training, CST)の重要性が高まっております。京都大学にはCSTを行うための素晴らしい施設(Clinical Anatomy Laboratory, CAL)が整えられておりますので、解剖学の立場から臨床解剖実習の実施と運営をサポートして参ります。

 研究面では、神経発生についての研究、神経疾患モデル動物を用いた病態の解析と治療法開発研究を行って参りました。京都大学で博士研究員をしていたときに、当時は報告されていなかったOlig転写因子ファミリーを同定し、その機能解析によりOlig2が運動ニューロンやオリゴデンドロサイトの発生に必須であることを明らかにしました。この研究をきっかけに、神経幹細胞から神経細胞やグリア細胞の発生メカニズムの解明と神経疾患におけるグリア細胞の寄与について研究を進めております。また、マウス遺伝学を駆使して様々な神経疾患モデルを作製し、最近では特に不随意運動発生に関わる神経メカニズムについて注力して研究を行って参りました。今後も、これらの研究を推進しながら、共同研究も積極的に進めて参りたいと考えております。そして、次世代の研究者の育成も行って参ります。

 1981年に開設された総合解剖センターでは、系統解剖に加えて、法医解剖や病理解剖が行われております。講義室や実習室もあり、私も学生時代にこの建物で学んだ者の一人ですので、たいへん懐かしく思うとともに、今回、総合解剖センター所属の教授として着任することを光栄に思っております。総合解剖センター内には、歴代教授の肖像画が飾ってありますが、前職の新潟大学医学部解剖学第二講座の初代教授でもある平澤興先生の肖像画を拝見できたときにはたいへん嬉しく思いました。総合解剖センターには、形態研究支援部門や先天異常標本解析センターもございます。総合解剖センターでは多くの職員が働いておりますので、それぞれの職員が能力や特性を発揮して生き生きと働ける環境をつくり、多くの先生方と連携を深めながら学内外に貢献することを目指して参ります。

 京都大学大学院医学研究科附属総合解剖センターにおける教育・研究活動を通じて、医学の発展と人材育成に貢献して参りたいと考えております。ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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