臓器間ネットワークによる個体レベルでの 代謝制御機構 ~発見から応用へ~ / Inter-Organ Communication Involved in Metabolic Regulation at the Whole-Body Level

ヒトを初めとする多臓器生物においては、全身の各臓器・組織の代謝は、それぞれ個別・無関係に行われているのではなく、個体として効率よく一方向に導くべく、臓器間で密接に連関し協調している。このような個体レベルでの代謝調節には臓器間での情報のやり取りが必要と考えられる。
我々は、この臓器間の連携機構として、神経系を介する仕組みを次々と見いだし、肝臓が短期的及び長期的な栄養状態の情報を脳に向かって発信し続けていること、さらに、中枢神経系が、求心性神経などを介して代謝状態を逐一把握し、遠心性神経を用いて各臓器へ指令を送り代謝を制御していることなど、個体レベルでの動的恒常性維持を担う臓器間ネットワークについての新たな概念を提唱した。
また、この環境の変化に応じて恒常性を守るはずのシステムは、飽食の現代では、メタボリックシンドロームの諸病態の発症・進展にも関わっていることも明らかとなった。一方、膵β細胞増殖を惹起する臓器間ネットワークの組織学的・分子生物学的メカニズムが解明され、実際に膵に投射する迷走神経を選択的に活性化すると膵β細胞が増殖し機能も亢進することが確認された。
本講演では、臓器間ネットワークを想起するに至った過程やこれまでの研究の概略とともに、現在取り組んでいる糖新生に関する新たな臓器間ネットワーク機構、さらには、糖尿病根治に向けた臓器間ネットワークの人為的制御の取り組みについても紹介する。

開催日

  • 2024/9/11

    午後4時~6時

開催場所(方法)

メディカルイノベーションセンター  1階 セミナー室
https://www.mic.med.kyoto-u.ac.jp/english/about/access.html

詳細

講演者:片桐秀樹 先生
所 属:東北大学大学院医学系研究科 
    糖尿病代謝・内分泌内科 教授

第2回aging seminarのご講演を東北大学の片桐秀樹教授にお願いしました。片桐教授は個体の動的恒常性維持を担う臓器間ネットワークの制御機構として神経系を介する仕組みを見出し、新たな概念を提唱され、また、その人為的制御に取り組んでおられます。本セミナーでは、その動機、着想から如何に研究を展開されてきたのかをお話し頂きます。是非ご参集ください。 鍋島陽一

申し込み

不要

参加費

無料

お問い合わせ

健康加齢医学講座 鍋島陽一 
nabeshima.yoichi.7n@kyoto-u.ac.jp
℡075-366-7482

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