小型霊長類コモンマーモセットにおける同属他個体の鳴き声を聴いている間 の脳波計測 / Measurement of electroencephalography and electrocorticography while listening to conspecific vocalizations in common marmosets

近年、社会的行動、認知、コミュニケーションの神経基盤を研究するモデル動物として、コモンマーモセットが注目されています。今回のセミナーでは、音声知覚に関与する様々な脳領域とネットワークに焦点を当てて進められてこられた、鴻池先生の非常に興味深い研究について解説して頂きます。認知神経科学の研究にご興味のある先生方は、ぜひご来聴ください。

開催日

  • 2024/4/23

    15:00-16:00

開催場所(方法)

医学部B棟1階セミナールーム

詳細

講演者:鴻池 菜保先生(京都大学 白眉センター/ヒト行動進化研究センター 特定准教授) 
演題:小型霊長類コモンマーモセットにおける同属他個体の鳴き声を聴いている間の脳波計測
音声コミュニケーションは、霊長類の社会的相互作用、とくに生存や社会集団の形成や維持において重要な役割を果たしている。その中でもヒトは、言語としてユニークで高度な音声コミュニケーションを発達させてきた。ヒトにおける音声処理の神経ネットワークがどのように進化してきたかを理解するためには、ヒトだけでなく音声コミュニケーションの豊かなヒト以外の霊長類の音声知覚の神経メカニズムを調べることが必要である。
我々はブラジル原産の多様な音声レパートリーを持つ小型霊長類であるコモンマーモセット(Callithrix jacchus)を対象とし、他個体が発する種特異的な鳴き声に対する神経応答の特徴を明らかにする研究に取り組んでいる。マーモセットは近年、疾患モデルとしての利用が広まってきており、脳機能や行動様式が比較的ヒトに近いために精神・神経疾患モデルとしての有用性も期待されている。マーモセットでは集団内での音声コミュニケーションが盛んであり、自発的な発声や他個体の音声知覚が疾患モデルではどのように変化するのか、社会的コミュニケーション機能を評価するツールとして注目をしている。これまで、10頭のマーモセットの頭皮上にヒトの脳波計測と同じく非侵襲的な方法(Itoh et al., 2022, Konoike et al., 2022)で電極を設置し、数種類の種特異的な発声を聴いている間の脳活動を記録した。また、4頭のマーモセットには聴覚野または前頭前野の硬膜上にマルチチャンネルのシート電極を設置し、脳活動を記録した。本セミナーでは、これらの脳波計測実験を通して、マーモセットにおける種特異的な音声知覚における頭皮上脳波と皮質脳波で得られる信号の違いや、被験体の年齢による神経活動の差、周波数による神経表現の違いについてご紹介し、今後の展望と合わせて皆様と情報交換をしたいと考えている。

申し込み

不要

参加費

無料

お問い合わせ

脳統合イメージング分野 梅田達也
umeda.tatsuya.4n@kyoto-u.ac.jp
075-753-4432
〒606-8501
京都市左京区吉田近衛町 

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