専攻長メッセージ人間健康科学系専攻

人間健康科学系専攻長青山朋樹

現在我々がたずさわっている医療は、ヒポクラテスを祖とする西洋医学を起源として発展してきました。医療の基礎知識や手技は口述や実習によって伝達されてきましたが、医学の進歩は現象を記述、分析、検証、解決策の模索によって発展してきました。特に新型コロナウイルスのようなパンデミックや災害、戦争など人類の存続を脅かす事態においては医学だけでなく、他の学域とも連携する学際的な研究を行うことで脅威を乗り越え、そして乗り越えた後には、より強固な研究基盤が構築され継承されてきました。しかしながら未解決の課題はまだまだ蓄積しており、これからも医学研究を担う担い手が求められております。

人間健康科学系専攻の博士後期課程が設置されたのは平成21年(2009年)と、まだ設置後間もない大学院です。しかしながら修士定員70名、博士定員25名の定員枠を有し、先端看護科学コース、先端リハビリテーション科学コース、総合医療科学コース、近未来型人間健康科学融合ユニットの4つの特徴あるコースから選択が可能になっております。また人間健康科学系専攻は医学部附属病院の西地区に位置しており、周囲には京都大学医学研究科、医学部附属病院、iPS細胞研究所、医生物学研究所などの世界トップレベルの研究施設があり、これらの研究機関との交流も盛んに行われる素晴らしい場所にあります。新しい研究領域である医学研究科医療DX教育研究センターも開設され、時代の要請に応える研究人材の輩出も期待されております。

京都大学の卒業生に求められているのは、日本のみならず世界を牽引するリーダーとなる事です。研究の領域においてリーダーになることは容易なことではありませんが、自由なアイデアの混沌の中に真理を見いだし、新たな領域を切り拓く京都大学の精神をもってすれば、必ずしも不可能なことではありません。人間健康科学系専攻を起点に新しい時代のリーダーになるべく切磋琢磨してまいりましょう。