神経再生研究

kao
教授 高橋 淳
Jun Takahashi, MD, PhD, Professor  btn

多くの病気は細胞や臓器の機能が失われるか、細胞や臓器そのものが失われるかによって起こり、特に後者の病態に対して細胞移植や臓器移植が行われています。特に神経疾患は患者数が多いにもかかわらず治療法があまりないのが現状です。そこで我々は、神経疾患に対する細胞移植治療を目指して基礎的あるいは橋渡し的な研究を行っています。特にES細胞、iPS細胞に着目し、分化誘導のメカニズムや細胞移植後の脳内での働きについて研究を行い、将来の細胞移植治療実現に繋げたいと考えています。

研究・教育について

我々は、ES細胞やiPS細胞を用いた神経難病治療法開発を目指しています。なかでも、胎児黒質細胞移植によって臨床経験が蓄積されているパーキンソン病を主な対象疾患として、ES細胞、iPS細胞からのドパミン神経細胞の誘導、細胞移植によるモデル動物の神経症状改善に関する研究を行っています。これら多能性幹細胞を用いた細胞移植療法の臨床応用にむけて、(1)動物因子を含まない神経誘導、(2)腫瘍形成抑制のための細胞選別、(3)移植時における細胞死抑制や移植後の免疫抑制、(4)長期効果と安全性確認など検討すべき点が多々あり、現在はこれらをひとつひとつ解決しています。これまで、世界に先駆けて霊長類ならびにヒトES細胞から誘導したドパミン神経細胞の移植によってカニクイザルパーキンソン病モデルへの長期細胞生着および行動改善を明らかにしてきました。将来的には、iPS細胞を用いたパーキンソン病治療を目指しています。また、これらの成果は他の神経変性疾患や脳梗塞などにも応用可能です。
大学院生は教授1,助教2,研究員3からの指導を受け、ミーティングや学会、論文での成果発表を通して神経再生についての理解を深めていただきます。

r-115-1ヒトiPS細胞から誘導したドパミン神経細胞

高橋淳研究室図

臨床応用のためのドパミン神経前駆細胞製造


研究業績

  1. Samata B, Doi D, Nishimura K, Kikuchi T, Watanabe A, Sakamoto Y, Kakuta J, Ono Y, Takahashi J. Purification of functional human ES and iPSC-derived midbrain dopaminergic progenitors using LRTM1. Nat Commun. 7:13097 (2016)
  2. Nishimura K, Doi D, Samata B, Murayama S, Tahara T, Onoe H, Takahashi J. Estradiol facilitates functional integration of induced pluripotent stem cell-derived dopaminergic neurons into striatal neuronal circuits via activation of integrin α5β1. Stem Cell Reports. 6(4): 511-524 (2016)
  3. Doi D, Samata B, Katsukawa M, Kikuchi T, Morizane A, Ono Y, Sekiguchi K, Nakagawa M, Parmar M, Takahashi J. Isolation of Human Induced Pluripotent Stem Cell-derived Dopaminergic Progenitors by Cell Sorting for Successful Transplantation. Stem Cell Reports. 2(3): 337-350 (2014)
  4. Morizane A, Doi D, Kikuchi T, Okita K, Hotta A, Kawasaki T, Hayashi T, Onoe H, Shiina T, Yamanaka S, Takahashi J. Direct comparison of autologous and allogeneic transplantation of iPSC-derived neural cells in the brain of a nonhuman primate. Stem Cell Reports 1(4): 283-292 (2013)
  5. Doi D, Morizane A, Kikuchi T, Onoe H, Hayashi T, Kawasaki T, Motono M, Sasai Y, Saiki H, Gomi M, Yoshikawa T, Hayashi H, Shinoyama M, Mohamed R, Suemori H, Miyamoto S, Takahashi J. Prolonged maturation culture favors a reduction in the tumorigenicity and the dopaminergic function of human ESC-derived neural cells in a primate model of Parkinson’s disease. Stem Cells 30(5): 935-945 (2012)
教授:高橋 淳
特定助教:森実 飛鳥
特定助教:土井 大輔
Tel: 075-366-7052
Fax: 075-366-7071
e-mail:jbtaka@cira.kyoto-u.ac.jp
URL:http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/jtakahashi/