幹細胞応用研究


教 授  江藤 浩之
Koji Eto, M.D., Ph.D. Professor  btn

多細胞生物は非対称性分裂によって多様な細胞を産生しながら発生し、個体を形成します。血液を一生にわたって供給している造血幹細胞や各種の血液系譜前駆細胞もまた非対称性分裂によって自己複製と分化を行い、多種類の血液細胞を産生すると考えられています。こうした機構の分子機序の解明を継続することで、私たちはヒト多能性幹細胞から効率よく血小板や造血幹細胞をはじめとする各種血液細胞を誘導する技術を確立し、献血に依存しない輸血システムの実現および遺伝子治療を目指した基礎研究・技術改良を推進していきます。

研究・教育について

未だ完全には成功していない多能性幹細胞からの造血内皮・造血幹細胞、さらに巨核球・赤芽球の発生の再現を目指し、そのメカニズムを明らかにするヒト血液発生の基礎研究を行っています。また血小板製剤をiPS細胞から効率よく安全に生産するため、巨核球細胞株を樹立し、工学研究者・化学会社との共同研究から巨大なバイオリアクターや新規培養液・因子を開発し臨床応用を進めています。将来は必要な血小板製剤が手に入らない患者さんにも合う万能な製剤を供給し、骨折や細菌感染にも使える血小板を開発することを目標にしています。
研究室のメンバーは各自で研究時間を決め、内なる科学的好奇心に基づき、常に“なぜか”と問い続け、独自の成果を世界に発信すべく研究を進めます。また実験結果のディスカッションをスタッフや他のメンバーと行い、毎週英語で行われる成果発表・ジャーナルクラブに参加して研究能力をブラッシュアップするとともに、ハッピーアワーを通じて外国人留学生を含めたラボの様々な構成員と交流します。

ヒトの骨髄では、造血幹細胞は様々な液性因子の刺激や物理・化学条件の劇的な変動を経て巨核球に分化・成熟します。このように成熟した巨核球は、血流によって血管内腔にその胞体を伸ばし、血小板を大量に放出するようになります。このヒトの生体内における環境の観察し、新規素材や設備を開発した上で、物理条件をシミュレーションすることにより骨髄を体外で再現し、血小板産生の産業化を目指しています。

ラボ集合写真


研究業績

  1. Seo H, Chen SJ, Hashimoto K, Endo H, Nishi Y, Ohta A, Yamamoto T, Hotta A, Akira Sawaguchi A, Hayashi H, Koseki N, Murphy GJ, Fukuda K, Sugimoto N, Eto K.  A β1-tubulin-based megakaryocyte maturation reporter system identifies novel drugs that promote platelet production. Blood Advances. 2(17):2262-2272, 2018. Doi: 10.1182/bloodadvances.2018019547.
  2. Ito Y, Nakamura S, Sugimoto N, Shigemori T, Kato Y, Ohno M, Sakuma S, Ito K, Kumon H, Hirose H, Okamoto H, Nogawa M, Iwasaki M, Kihara S, Fujio K, Matsumoto T, Higashi N, Hashimoto K, Sawaguchi A, Harimoto KI, Nakagawa M, Yamamoto T, Handa M, Watanabe N, Nishi E, Arai F, Nishimura S, Eto K. Turbulence activates platelet biogenesis to enable clinical scale ex vivo production. Cell 174(3):636-648. E19. Doi: 10.1016/j.cell.2018.06.011. Epub 2018 Jul 12.
  3. Aihara A, Koike T, Abe N, Nakamura S, Sawaguchi A, Nakamura T, Sugimoto N, Nakauchi H, Nishino T, Eto K. Novel TPO receptor agonist TA-316 contributes to platelet biogenesis from human iPS cells. Blood Advances. 2017, 1(7), 468-76. doi: https://doi.org/10.1182/bloodadvances.2016000844.
  4. Nakamura S, Takayama N, Hirata S, Seo H, Endo H, Ochi K, Fujita KI, Koike T, Harimoto KI, Dohda T, Watanabe A, Okita K, Takahashi N, Sawaguchi A, Yamanaka S, Nakauchi H, Nishimura S, Eto K. Expandable Megakaryocyte Cell Lines Enable Clinically Applicable Generation of Platelets from Human Induced Pluripotent Stem Cells. Cell Stem Cell. 2014 Apr 3;14(4):535-48. (IF 22.151)
  5. Hirata S, Eto K. Congenital amegakaryocytic thrombocytopenia iPS cells exhibit defective MPL-mediated signaling. Journal of Clinical Investigation 123(9): 3802-14, 2013.

研究室

教授 江藤 浩之
特定拠点講師 杉本 直志
特定拠点助教 中村 壮
TEL 075-366-7075
FAX 075-366-7095
e-mail:eto-g@cira.kyoto-u.ac.jp
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