細胞誘導制御学

kao教授 妻木 範行
Noriyuki Tsumaki, M.D., Ph.D.  btn

軟骨は成長軟骨および関節軟骨として、骨を伸ばし関節運動を担う。私たちは、軟骨細胞の増殖・分化を制御する機構を調べてきた。そして得られた知見と細胞リプログラミング技術を応用して軟骨組織を再生し、運動器疾患を研究している。しかし、分からないことがまだまだたくさんあり、多くの軟骨疾患では治療法が無い。基礎研究の成果に基づいて疾患のしくみを理解し制御することが、根治的治療法の開発につながると考える。私たちの研究室では自由な発想のもとに議論し、骨格研究の課題を解決するべく研究を進めている。

研究・教育について

研究は3つの領域に分けられる。
1)細胞の増殖・分化のしくみを分子レベルで解析する。分子生物学、細胞生物学の技術を駆使し、正常な軟骨組織を保持するためのしくみを解明する。
2)疾患iPS細胞モデルにより、成長軟骨が障害されて起こる骨系統疾患の病態を解析する。患者の皮膚線維芽細胞からiPS細胞を作った後に軟骨細胞へと分化誘導し、病態の解析と治療薬の探索に供する。また私たちは皮膚線維芽細胞を軟骨細胞へ直接、変換する方法を開発しており、この方法で作った疾患軟骨細胞も研究に用いる。
3)関節軟骨の損傷・変性を再生させる。iPS細胞を軟骨細胞に分化誘導して関節軟骨の欠損部に細胞移植をする。また、別のアプローチとして、変性した関節軟骨に対してその場で細胞リプログラミングを行い、健康な軟骨へと修復させるin vivo ダイレクト・リプログラミングを研究する。遺伝子導入の他に、軟骨を修復させるような化合物を探索する。
大学院生は研究プロジェクトの中で、教授および3名のスタッフ研究員の指導を受け、研究活動を行う。定期的ミーティングを行い、研究への取り組み方を身に付け、発表のトレーニングを行う。

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図1.ダイレクト・リプログラミングによって、皮膚線維芽細胞から作った軟骨組織(サフラニンO染色)。皮膚線維芽細胞を軟骨細胞に変換し、それをマウス皮下に移植したところ、形成された。下段右、軟骨特異的なII型コラーゲンの発現を認める(免疫染色)。

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図2.研究室のメンバー


研究業績

1.Yamashita, A., Morioka, M., Kishi, H., Kimura, T., Yahara, Y., Okada, M., Fujita, K., Sawai, H., Ikegawa, S., and Tsumaki, N. (2014). Statin treatment rescues FGFR3 skeletal dysplasia phenotypes. Nature 513, 507-511.
2.Okada, M., Ikegawa, S., Morioka, M., Yamashita, A., Saito, A., Sawai, H., Murotsuki, J., Ohashi, H., Okamoto, T., Nishimura, G., et al. (2014). Modeling type II  collagenopathy skeletal dysplasia by directed conversion and induced pluripotent stem cells. Hum Mol Genet. In press
3.Minegishi Y, Hosokawa K, Tsumaki N. Time-lapse observation of the dedifferentiation process in mouse chondrocytes using chondrocyte-specific reporters. Osteoarthritis Cartilage, 2013; 21: 1968-1975. (doi:10.1016/j.joca.2013.09.004)
4.Hiramatsu, K., Sasagawa, S., Outani, H., Nakagawa, K., Yoshikawa, H. and Tsumaki, N.: Generation of hyaline cartilaginous tissue from mouse adult dermal fibroblast culture by defined factors. J. Clin. Invest., 121: 640-57, 2011.
5.Tsumaki, N., Kimura, T., Matsui, Y., Nakata, K. and Ochi, T.: Separable cis-regulatory elements that contribute to tissue- and site-specific alpha 2(XI) collagen gene expression in the embryonic mouse cartilage. J. Cell Biol., 134: 1573-82, 1996

研究室

教授 妻木 範行
特定研究員 藤田 香里
特定研究員 山下 晃弘
特定研究員 岡田 稔
TEL 075-366-7045
FAX 075-366-7047
e-mail:ntsumaki@cira.kyoto-u.ac.jp
URL:http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/research/tsumaki_summary.html