フィールド医学

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臨床医学とはその名のとおり、ベッドサイドで、病める患者の疾病を診断し、その治療を行うことを本来の使命としてきた。これら病院を中心とする先端医療は、 これまで急性期疾患患者の救命や治療に多大な貢献をなしてきた。しかし、その患者がどういうふうに暮らしており、どんな仲間や家族がいてどんなものを食 べ、日常生活の上でどんな医学的課題を抱えているのか。このような実態は病院医学からではわかりにくい。「フィールド医学」は、疾病、老化のありさまを、 自然環境、文化背景との関連でもう一度、捉えなおそうとする研究領域である。

研究・教育について

フィールド医学研究分野では、異なる自然生態系、歴史、文化、 社会状況のもとでの健康のとらえ方、 疾病発現状況、加齢のありかたについて、医学的フィールドワークにもとずいた研究を展開している。具体的な研究内容は以下のようなものである。
1) 本邦地域在住高齢者に関する総合的機能評価を用いた地域介入研究
高知県土佐町、京都府ライフイン京都に在住する高齢者に関して、医学的診察とあわせて、ADL、QOL、抑うつ、社会背景などを評価し、ADLの増進、QOLの向上をめざす地域介入研究を実施している。
2) アジア地域在住高齢者に関する総合的機能評価に関する研究
これまで、韓国、インドネシア、ベトナム、ラオス、タイ、ミャンマーなどに在住する高齢者を対象に、同一の指標を用いた総合的機能評価を実施し、高齢者の健康度に関する生態学的多様性を確認してきた。現在、ブータン、台湾における高齢者ヘルスケア・デザインを構築している。
3) ニューギニア地域に多発する神経難病の実態調査
かつてグアム島に多発するといわれた神経難病(ALS, Parkinson・Dementia Complex )がニューギニアでも多発していることを確認し、その実態を10年間にわたってフォローしている。

r-106-1写真(A):ニューギニアの神経難病を診察する奥宮医師と村の夕焼け
写真(B):ブータン・カリンで診療を行う坂本医師と村の遠景


研究業績

1.Fukutomi E et al: Long-term care prevention in Japan. Lancet, 2013, 381:116.
2.Imai H, et al: Activities of daily living rather than depressive symptoms increase the risk of 4-year mortality in Japanese community-dwelling elderly people. J Am Geriatr Soc, 2012, 60(6):1191-1193.
3.Ishimoto Y, et al: Fall Risk Index (FRI-21) predicts functional decline regardless of fall experiences among community-dwelling elderly. Geriatr Gerontolo Int. 2012, 12(4):659-666.
4.Matsubayashi K & Okumiya K. Field Medicine: A New Paradigm of Geriatic Medicine. Geriatr Gerontol Int, 2012, 12:5-15.
5.Sakamoto R, et al: Subjective quality of life in older community-dwelling adults in the Kingdom of Bhutan and Japan. J Am Geritr Soc, 2011, 59 (11): 2157-2159.

研究室

准教授 :坂本 龍太
TEL :075-753-7368
FAX :075-753-7168
e-mail :sakamoto65@cseas.kyoto-u.ac.jp
URL :http://www.cseas.kyoto-u.ac.jp/