システムウイルス学

小柳 教 授 小柳 義夫
Yoshio Koyanagi, M.D., Ph.D. Professor  btn

レトロウイルスの研究から逆転写酵素や発がん遺伝子が見出され、生命現象の理解に必ずつながってきた。さらにこのウイルスは人の病気の大きな要因となりうることがHIV の発見とその後の感染者の世界的な広がりより認知された。すなわちウイルス研究により多くの生物学・医学に関する知見が得られてきたが、いまだエイズの治癒までは達していない。そこで私たちの研究室ではヒトを救う医学研究から生命そのものを理解することを目的としている。

研究・教育について

以下のテーマについて研究を行い国際的な場で活躍できるように教育指導する。

1) ウイルスの細胞移行メカニズムの解明:ウイルスは細胞から細胞へと感染する。すなわち、その遺伝子を細胞から細胞へ移動させる。この分子メカニズムを明らかにする。

2) 細胞因子のウイルス増殖への影響の解析:ウイルスが増殖するには細胞が必須である。一方、細胞には種特異的にウイルス感染を抑制する因子も見出されてきた。それらの分子メカニズムには未だに不明な点が多い。その中で免疫反応に関与する分子を中心に解析し、免疫学とウイルス学の両者からの理解を深める。これらの細胞性因子とウイルスの関係性の解明は、進化学的にもきわめて重要なテーマである。

3) 免疫機構破壊過程の解明:HIV はヒトを免疫不全に陥れる。そのメカニズムはいまだに不明である。このウイルス感染の免疫担当細胞に対する影響をヒトの細胞を用いた培養系、あるいは、ヒトの細胞を移植したマウスの体内において解析し、その発症メカニズムを明らかにする。

図1.ヒト化マウスモデルを用いたエイズウイルス適応進化メカニズムの解析

図2.ウイルス制御因子(APOBEC3H)の意義の解明A schematic of hyper/hypo-Vif


研究業績

  1. Sato K, Misawa N, Takeuchi JS, Kobayashi T, Izumi T, Aso H, Nagaoka S, Yamamoto K, Kimura I, Yoriyuki Konno Y, Nakano Y, Koyanagi Y. Experimental adaptive evolution of simian immunodeficiency virus SIVcpz to pandemic human immunodeficiency virus type 1 using a humanized mouse model. J. Virol, 92, e01905-17, 2018.
  2. Soper A, Kimura I, Nagaoka S, Konno Y, Yamamoto K, Koyanagi Y, Sato K. Type I Interferon Responses by HIV-1 Infection: Association with Disease Progression and Control. Front Immunol. 8:1823, 2018.
  3. Yamada E, Nakaoka S, Klein L, Reith E, Langer S, Hopfensperger K, Iwami S, Schreiber G, Kirchhoff F, Koyanagi Y, Sauter D, Sato K. Human-specific adaptations in Vpu conferring anti-tetherin activity are critical for efficient early HIV-1 replication in vivo. Cell Host Microbe 23:110-120, 2018.
  4. Nakano Y, Misawa N, Juarez-Fernandez G, Moriwaki M, Nakaoka S, Funo T, Yamada E, Soper A, Yoshikawa R, Ebrahimi D, Tachiki Y, Iwami S, Harris RS, Koyanagi Y, Sato K. HIV-1 competition experiments in humanized mice show that APOBEC3H imposes selective pressure and promotes virus adaptation. PLoS Pathog. 13:e1006348, 2017.
  5. Iwami S, Takeuchi JS, Nakaoka S, Mammano F, Clavel F, Inaba H, Kobayashi T, Misawa N, Aihara K, Koyanagi Y, Sato K. (2015) Cell-to-cell infection by HIV contributes over half of virus infection. eLife 4:e08150.

研究室

ウイルス・再生医科学研究所
システムウイルス学分野
教 授   : 小柳 義夫 Yoshio Koyanagi , MD 医学博士
特定助教 :中野 雄介 Yusuke Nakano, Ph. D医学博士
特定助教 :古瀬 祐気 Yuki Furuse, MD 医学博士
TEL : 075-751-4813
FAX : 075-751-4812
e-mail : virus@pathohotmail.com
URL :http://www.infront.kyoto-u.ac.jp/ex_ivr/Lab/KoyanagiHP/