臓器・器官形成応用

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当分野の研究は、細胞が増殖、再分化して、元の臓器を復元させうる“場”(環境)を人工的に体の中に作れば、哺乳動物の臓器や組織も両生類のイモリのように再生復元するというメカニズムを医学に応用するものです。このようなin situ Tissue Engineeringは世界に先駆けて我々が提唱してきた方法で人工気管や人工神経など臨床に応用され、これによって救われる患者さんの数も着々と増えてきています。この新しい技術は21世紀の医療の中心的柱になると考えています。

研究・教育について

人間の体には秘められた再生能があります。それを引き出す新しい手法を開発しています。すなわち、自己の細胞が増殖、分化できる足場となる適切な環境を体内に与えることによって、自己の臓器が本来の構造と機能を取り戻して再生復元するようにしています。研究の方法としては、再生医学の3つの柱である(1)足場、(2)細胞、(3)増殖・成長因子、を生体内で働かせるin situ Tissue Engineering という方法を独自に開発してそれを進めています。すなわち、同種・異種の臓器や組織から酵素で分解・抽出して完全に免疫原性をなくしたコラーゲンから再構成した細胞外マトリックス、或いはDetergentで細胞を完全に除去した細胞外マトリックス、生体内で分解吸収される合成高分子、増殖因子などDDS(薬物送達システム)を組み合わせて、欠落した組織や臓器の再生する足場となる枠組み(細胞外マトリックス)を生体内に作ります。この枠組みを足場として利用して、生体内の幹細胞が増殖、分化し、自己の組織や臓器が再生復元されます。また、幹細胞の分離・増殖を行い組織再生に用いる研究や瘢痕状になった細胞外マトリックスを融かして、再び本来の細胞外マトリックスに戻す研究も進めています。r-092-1

①イヌ線維芽細胞から誘導したiPS細胞

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②イヌiPS細胞から誘導した神経細胞


研究業績

1. Shimada, H., Nakada, A., Hashimoto, Y., Shigeno, K., Shionoya, Y., Nakamura, T.: Generation of canine induced pluripotent stem cells by retroviral transduction and chemical inhibitors. Mol Reprod Dev. 77(1): 2 (2010)
2. Nakamura, T., Sato, T., Araki, M., Ichihara, S., Nakada, A., Yoshitani, M., Itoi, S., Yamashita, M., Kanemaru, S., Omori, K., Hori, Y., Endo, K., Inada, Y., Hayakawa, K.: In situ tissue engineering for tracheal reconstruction using a luminar remodeling type of artificial trachea. J Thorac Cardiovasc Surg. 138(4): 811-819 (2009)
3. Nakada, A., Fukuda, S., Ichihara, S., Sato, T., Itoi, S., Inada, Y., Endo, K., Nakamura, T.: Regeneration of central nerves using a collagen scaffold and adipose-derived stromal cells. Cells Tissues Organs. 190(6): 326-335 (2009)
4. Sato, T., Tao, H., Araki, M., Ueda, H., Omori, K., Nakamura, T.: Replacement of the left main bronchus with a tissue-engineered prosthesis in a canine model. Ann Thorac Surg. 86(2): 422-428 (2008)
5. Kin, S., Hagiwara, A., Nakase, Y., Kuriu, Y., Nakashima, S., Yoshikawa, T., Sakakura, C., Otsuji, E., Nakamura, T., Yamagishi, H.: Regeneration of skeletal muscle using in situ tissue engineering on an acellular collagen sponge scaffold in a rabbit model. ASAIO J. 53(4): 506-513 (2007)

研究室

准教授:中村 達雄
非常勤講師:早川 克己・茂野 啓示・稲田 有史・堀 義生・萩原 明於
TEL:075-751-4149
FAX:075-751-4844
e-mail:nakamura@frontier.kyoto-u.ac.jp
URL:http://www.frontier.kyoto-u.ac.jp/ca04/