臓器・器官形成応用

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本分野は、2002年に生体医療工学研究センターと胸部疾患研究所が統合して本研究所が設置された直後、本学医学部第一外科の井上一知先生が教授に就任されてスタートした。研究は、膵・膵島移植の基礎・臨床研究を基礎として、糖尿病をはじめとする内分泌・代謝疾患に対する再生医療を中心に行っている。研究目標として、世界的に増加中の糖尿病に対して、希望すればいつでも受けられる安全で根本的な治療法の開発を目指しており、バイオ人工膵島を中心に、各種幹細胞を用いた再生医療や細胞移植法の研究等を幅広く展開している。

研究・教育について

本分野では、学部学生、修士・博士課程大学院生や博士研究者、さらに諸外国からの留学生を広く受け入れている。研究目標は、ラットやブタの分離膵島を用いてマクロカプセル化膵島を作成し、免疫抑制が不要でドナー不足の問題が無い糖尿病治療の実現である。移植後に回収や交換が可能で有害事象にも対応できるマクロカプセル化膵島は臨床応用に有利であり、凍結・解凍によりゲル化するポリビニルアルコールの特性を応用した凍結保存可能なメッシュ補強PVAマクロカプセル化膵島の臨床応用をめざして、デバイスの改良や、血管誘導した皮下組織への移植を研究している。また、これに用いる膵島細胞資源として、ブタ膵島に止まらず、ES細胞・iPS細胞から分化誘導した膵島細胞や、膵島細胞と間葉系幹細胞の細胞融合による強靱で膵島細胞機能を発揮する細胞、PHLDA3(膵内分泌細胞腫瘍で高頻度に欠失するがん抑制遺伝子)の抑制によるβ細胞の強靱化(国立がん研究センター研究所・大木研究員との共同研究)など、各種幹細胞等の糖尿病治療への応用を研究するとともに、β細胞の最終分化をめざした高効率・高精度の細胞塊作成法の研究などを幅広く展開している。

r-091-1図1 膵島細胞を半透膜やゲルで覆って生体の免疫反応から保護しつつ、その機能を発揮させる装置をバイオ人工膵島と称する。その中で、カプセル化膵島は現在までに臨床応用に至っている代用的なものであるが、広く用いられるマイクロカプセルは移植後の回収が困難で有害事象への対応に限界がある。

r-091-2図2 PVAマクロカプセル化膵島は、PVAを溶解した膵島凍結保存液に膵島を浮遊させ、これをシート型に成形した状態で凍結・解凍して作成する。凍結状態での保存が可能で、輸送や品質管理に対応できる点は他に例をみない長所である。ラットの腹腔内移植では約半年にわたる糖尿病治療効果が確認されている。図はマウスの腹腔内移植用デバイスで1.5×2cm、厚さ1mm。

研究業績

1. Qi Z, Yamamoto C, Imori N, Kinukawa A, Yang KC, Yanai G, Ikenoue E, Shen Y, Shirouzu Y, Hiura A, Inoue K, Sumi S. Immunoisolation effect of polyvinyl alcohol (PVA) macro-encapsulated islets in type 1 diabetes therapy. Cell Transplant. 21: 525-534, 2012.
2. Yang KC, Qi Z, Yanai G, Shirouzu Y, Lu DH, Lee HS, Sumi S. Cell coupling regulates Ins1, Pdx-1 and MafA to promote insulin secretion in mouse pancreatic beta cells. Process Biochemistry 46: 1853-1860, 2011.
3. Yang KC, Qi Z, Wu CC, Shirouza Y, Lin FH, Yanai G, Sumi S. The cytoprotection of chitosan based hydrogels in xenogeneic islet transplantation: An in vivo study in streptozotocin-induced diabetic mouse. Biochem Biophys Res Commun. 393(4): 818-823, 2010.
4. Qi Z, Shen Y, Yanai G, Yang K, Shirouzu Y, Hiura A, Sumi S. The in vivo performance of polyvinyl alcohol macro-encapsulated islets. Biomaterials 31(14): 4026-4031, 2010.
5. Sakata N, Gu Y, Qi M, Yamamoto C, Hiura A, Sumi S, Sunamura M, Matsuno S, Inoue K. Effect of rat-to-mouse bioartificial pancreas xenotransplantation on diabetic renal damage and survival. Pancreas. 32(3): 249-257, 2006.

研究室

准教授 角 昭一郎
講師(非常勤) 白水 泰昌
事務補佐員 菊地 裕子
TEL:075-751-4848
FAX:075-751-4156
e-mail: sumi@frontier.kyoto-u.ac.jp
URL:http://www.frontier.kyoto-u.ac.jp/ca03/g_info.html