再生増殖制御学

瀬原先生顔写真
教授 瀬原 淳子 (せはら あつこ)
Atsuko Sehara-Fujisawa, PhD., Professor btn

私達は、からだの中にある200種類余りの骨格筋を用いて、日々歩いたり食べたり目を開けた り, そして呼吸したりしています。骨格筋は動物が生きていく上で欠かせない臓器なのです。また 骨格筋は再生する臓器です。骨格筋研究の面白さは、発生・発達の面白さに加えて、そのような 再生機構の解明にも取り組めるところにあります。再生と発生の類似性や違いを、両者を比較検 討することによって知ることができるはずで、その意味でも骨格筋は大変魅力的な研究材料です。 我々の研究室では、骨格筋形成と再生、骨格筋を支配する神経や腱・血管との相互作用などに ついて研究しています。

研究・教育について

私達が激しい運動をすると筋肉痛が起こるのは筋繊維(長細い筋細胞のこと)が壊れて、そこで 炎症反応が起こるからだ。しかしこの壊れた筋肉は2週間から1ヶ月程度経つともとの状態に回 復する。これが骨格筋再生である。骨格筋の再生が効率的に起こるのは、私達が骨格筋専用の 幹細胞を持っているからである。骨格筋幹細胞は、いつもは静止期にあって骨格筋の横でじっと しているが、激しい運動等により筋が損傷を受けると、活性化されて増殖し、骨格筋を作る。それ とともに、一部は自己複製して、再び筋幹細胞となる(図1)。

瀬原研究室図1図1

しかし、そこには多くの謎がある。(1)筋幹細胞はどのように樹立されるのか、(2)静止期にある 筋幹細胞が、再生が必要になると活性化されるのはどのような仕組みによるのか、(3)その際どうしてもとの状態の骨格筋に復元できるのか、(4)運動すると骨格筋は太くなり、加齢に伴って衰 えるのは何故か、(5)宇宙に滞在すると、無重力下でも骨格筋が萎縮する、その機構はどのよう なものか、など疑問は尽きない。大学院生は、マウスやゼブラフィッシュを用いてこれらの疑問に 挑戦する。骨格筋は神経支配を受け、血管から栄養を受け取り、また腱とつながっていて運動や 姿勢の維持に関わることから、 これらとの相互作用にも注目した研究を行っている。また、 ADAM プロテアーゼというプロテアーゼによる細胞増殖因子の活性化や細胞間接着制御に関わ る膜蛋白質にも着目した研究も行っている。
最近の研究としては、マウスの成長の過程で、増殖していた筋幹細胞が静止期に入ること、そ のプロセスに miR-195/497 という microRNA が関わることを明らかにした研究 (図1参照。Sato T., et al., Nature Commun., 2014) や、筋再生に先行して起こる炎症反応に ADAM8 が必要で、 これがないと障害を起こした骨格筋が除去されず、筋再生が不完全になることを明らかにした研   究 (Nishimura D., Mechan. Dev., 2015) 等がある。また、昨年9月、我々は宇宙ステーションへの ゼブラフィッシュ打ち上げ実験を行い、骨格筋維持の重力依存性に関する研究をスタートしたば かりである (これに関しては下記サイト参照)。 http://iss.jaxa.jp/kiboexp/theme/second/zebrafishmuscle/
これらの研究の詳細に興味がある人は我々の研究室のホームページを覗いてみてほしい。

瀬原研究室集合写真 図2 研究室写真

瀬原研究室図2図3 JAXA プロジェクト“Zebrafish Muscle”


研究業績

 
  1. Kamezaki A, Sato F, Aoki K, Asakawa K, Kawakami K, Matsuzaki F, Sehara-Fujisawa A. Visualization of Neuregulin 1 ectodomain shedding reveals its local processing in vitro and in vivo.Scientific Rep. 6:28873 (2016)
  2. Tokumasu Y, Iida A, Wang Z, Ansai S, Kinoshita M, and Sehara-Fujisawa ADAM12-deficient zebrafish exhibit retardation in body growth at the juvenile stage without developmental defects. Development, Growth & Differentation, 58(4):409-421 (2016)
  3. Nishimura D, Sakai H, Sato T, Sato F, Nishimura S, Toyama-Sorimachi N, Bartsch JW, Sehara- Fujisawa A. Roles of ADAM8 in elimination of injured muscle fibers prior to skeletal muscle regeneration. Mech Dev. 135:58-67 (2015)
  4. Sato, T., Yamamoto, T., Sehara-Fujisawa, A.: miR-195/497 induce postnatal quiescence of skeletal muscle stem cells. Commun. 5: 4597 (2014)
  5. Iida, , Sakaguchi, K., Sato, K., Sakurai, H., Nishimura, D., Iwaki, A., Takeuchi, M., Kobayashi, M., Misaki, K., Yonemura, S., Kawahara, A., and Sehara-Fujisawa, A.. Metalloprotease-Dependent Onset of Blood Circulation In Zebrafish. Current Biol., 20(12):1110-6 (2010)

研究室

教授: 瀬原 淳子
助教: 飯田 敦夫
助教(特定): 佐藤 文規
TEL: 075-751-3826
FAX: 075-751-4642
E-mail: asehara@frontier.kyoto-u.ac.jp