探索医療開発学

清水先生写真 教授 清水 章
Akira Shimizu, M.D., Ph.D. Professor

新しい医療を開発・創成し、治療が困難な疾患の予後および予防の向上を目指すことは、京都大学医学研究科および医学部附属病院に与えられた大きな使命の一つです。臨床研究総合センターは基礎医学・生命科学における研究成果を効率的に患者様のもとへ届けることを目的に設立されました。開発企画部は、これらのプロジェクト支援を行うとともに、常に第一線の基礎的研究を踏まえ、その上に立った前臨床的研究と臨床試験実施に向けた取り組みを行っています。

研究・教育について

臨床研究総合センターでは、流動プロジェクトとして、研究領域を定めずに全国公募を行い、優れた研究者を招致し、臨床応用を見据えた研究計画を遂行します。開発企画部は、この流動プロジェクト研究と連携し、学内関連施設とも連絡を密にして、これらのプロジェクトの支援を行っています。また、基礎研究面では、抗体遺伝子の体細胞突然変異やクラススイッチ組み換えの制御機構の解析を行っています。Id2遺伝子破壊マウスから、血清中のIgE量が著増することの主な分子基盤として、Bリンパ球におけるε鎖へのクラススイッチ組換えが著明に亢進していること、この組換えが転写因子E2Aによって活性化されるε鎖非組換え型に依存していること、正常Bリンパ球ではTGF-β1のシグナルを受けてId2の発現が誘導され、これがE2Aの作用を阻害することによってε鎖非組換え型転写を抑制する結果、ε鎖へのクラススイッチ組換えが特異的にきわめて低くおさえられていることなどを明らかにしました。最近の研究では、CD4T細胞がTGF-b1、レチノイン酸、IL-2に依存してCD8aaT細胞に分化することを見いだしました。さらに、この細胞がある種の免疫抑制細胞として機能する可能性も示されました。この細胞は、今までに知られていない新しいタイプのヘルパーT細胞のひとつと考えられます。これらの成果はリンパ球の活性化制御を理解する上で重要な知見であり、これらの成果を基にしたアレルギー克服、免疫制御などの応用が期待されます。これらに加えて、免疫反応の場における微小環境形成やリンパ球の極性が作り出される分子機構についての研究も行い、免疫反応全般の分子的理解を深めることを目指します。

日本語_図11:臨床試験の実績

日本語_英語_図22:Id2遺伝子破壊マウスに見られた高IgE表現型(A, B)

ヒツジ赤血球で免疫したマウスの脾臓(凍結切片)のBリンパ球を青色蛍光色素、IgEを赤色蛍光色素、胚中心を緑色蛍光色素で染色し蛍光顕微鏡で観察した(A)。Id2遺伝子破壊マウスでは、血中のIgE濃度が高いことを反映し多くのリンパ球表面に低親和性受容体を介したIgE結合が見られるとともに、胚中心でIgEへのクラス変換(CSR)を起こした細胞(3色とも染まり黄色に見える)が観察される(B)。CD8aaT細胞分化の模式図(C)


研究業績

1. Essential role of Id2 in negative regulation of IgE class switching. Sugai, M., Gonda, H., Kusunoki, T., Katakai, T., Yokota, Y. and Shimizu, A. Nature Immunol. 4, 25-30 (2003)
2. The balance between Pax5 and Id2 activities is the key to AID gene expression. Gonda, H., Sugai, M., Nambu, Y., Katakai, T., Agata, Y., Mori, KJ., Yokota, Y. and Shimizu, A. J. Exp. Med. 198, 1427-1437 (2003)
3. Transcription-coupled events associating with immunoglobulin switch region chromatin. Nambu, Y., Sugai, M., Gonda, H., Lee, CG., Katakai, T., Agata, Y., Yokota, Y. and Shimizu, A. Science. 302, 2137-2140 (2003)
4. Lymph node fibroblastic reticular cells construct the stromal reticulum via contact with lymphocytes. Katakai, T., Hara, T., Sugai, M., Gonda, H. and Shimizu, A. J. Exp. Med. 200, 783-795 (2003).
5. In situ differentiation of CD8 alpha alpha T cells from CD4 T cells in peripheral lymphoid tissues. Nambu, Y., Hayashi, T., Jang, K. J., Aoki, K., Mano, H., Nakano, K., Osato, M., Takahashi, K., Itoh, K., Teramukai, S., Komori, T., Fujita, J., Ito, Y., Shimizu, A. and Sugai, M. Sci. Rep. 2, 642 (2012)

研究室

京都大学医学部附属病院
臨床研究総合センター 開発企画部

教授:清水 章
講師:菅井 学
特定講師:池田 隆文
助教:伊藤 達也
助教:笠井 宏委
特定助教:遠藤 佳代子
TEL : 075-751-4749
FAX : 075-751-4731
E-mail : trc_pg@kuhp.kyoto-u.ac.jp