臨床病態検査学

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教授 一山 智
Satoshi Ichiyama, M.D., Ph.D. btn

新興再興感染症や薬剤耐性菌感染症の出現によって、日本のみならず世界的に感染症に対する関心が高まっています。感染症は病原体と宿主および環境の相互関係によって引き起こされる複雑な病態です。感染症を正確に診断し適切に治療することは極めて重要ですが、実際は非常に困難なことでもあります。私たちは新たな臨床検査診断技術の開発と、有効な治療法のエビデンスの構築を目指しています。それらを通して、国際的に通用する感染症の臨床、感染症疫学、あるいは臨床微生物学の研究者となる若い人々を育成することを最大の使命と考えています。

研究・教育について

感染症は細菌、真菌、ウイルスなど多様な病原微生物によって引き起こされる疾患です。一方、宿主も本来健常である患者から高度の免疫低下患者まで様々です。原因微生物を同定し適切な治療薬を選択するために、検査診断学の領域では塗抹鏡検や培養、さらに抗原や遺伝子の検出などの手法を用いますが、これらの手法を駆使しても充分であるとは言えません。我々は京都大学医学部附属病院検査部および多くの企業と連携して、新たな検査法の開発とその臨床応用への研究を進めています。
手術後患者や免疫不全状態の患者など病院内の感染症は難治性で致命率は高いものです。これらの発症を抑制し、治療成績を向上させることは医療経済の改善にも大きく寄与します。我々は全病院での感染症のサーベイランスや、それに基づく有効な予防対策に関する研究を行っています。
科学的な臨床の実践が求められている現在、わが国の感染症の教育・診療・臨床研究の基盤は欧米に比して充分なものとは言えません。京都大学病院では、院内のすべての重症感染症患者に対して、我々感染症専門医のチームがその診断と治療方針決定に関与し、治療成績の向上に努め成果を上げています。卒前卒後教育では、徹底したエビデンスに基づく感染症診療の在り方を教授し、スタッフとのマンツーマンの診療を実践しています。
感染症検査診断技術の開発、病院内感染症の制御、そして、そのための科学的な感染症診療の実践、これらが我々の教室の追求するテーマです。

r-044-1左)黄色ブドウ球菌菌血症に対する感染症専門医の介入効果
右)菌量定量PCRとβ-D-グルカンによるニューモシスチス肺炎と保菌状態との鑑別


研究業績


  1. Population structure of Japanese extraintestinal pathogenic Escherichia coli and its relationship with antimicrobial resistance. Matsumura Y, Noguchi T, Tanaka M, Kanahashi T, Yamamoto M, Nagao M, Takakura S, Ichiyama S; 89th JAID BRG.. J Antimicrob Chemother. 2017 Apr 1;72(4):1040-1049. doi: 10.1093/jac/dkw530.
  2. Clinical and microbiologic characteristics of cefotaxime-non-susceptible Enterobacteriaceae bacteremia: a case control study. Noguchi T, Matsumura Y, Yamamoto M, Nagao M, Takakura S, Ichiyama S. BMC Infect Dis. 2017 Jan 7;17(1):44. doi: 10.1186/s12879-016-2150-6.
  3. Global Escherichia coli Sequence Type 131 Clade with blaCTX-M-27 Matsumura Y, Pitout JD, Gomi R, Matsuda T, Noguchi T, Yamamoto M, Peirano G, DeVinney R, Bradford PA, Motyl MR, Tanaka M, Nagao M, Takakura S, Ichiyama S. Emerg Infect Dis. 2016 Nov;22(11):1900-1907. doi: 10.3201/eid2211.160519.
  4. Interspecies Dissemination of a Mobilizable Plasmid Harboring blaIMP-19 and the Possibility of Horizontal Gene Transfer in a Single Patient. Yamamoto M, Matsumura Y, Gomi R, Matsuda T, Tanaka M, Nagao M, Takakura S, Uemoto S, Ichiyama S. Antimicrob Agents Chemother. 2016 Aug 22;60(9):5412-9. doi: 10.1128/AAC.00933-16. Print 2016 Sep.
  5. Serotypes, antimicrobial susceptibility, and molecular epidemiology of invasive and non-invasive Streptococcus pneumoniae isolates in paediatric patients after the introduction of 13-valent conjugate vaccine in a nationwide surveillance study conducted in Japan in 2012-2014. Nakano S, Fujisawa T, Ito Y, Chang B, Suga S, Noguchi T, Yamamoto M, Matsumura Y, Nagao M, Takakura S, Ohnishi M, Ihara T, Ichiyama S. Vaccine. 2016 Jan 2;34(1):67-76. doi: 10.1016/j.vaccine.2015.11.015. Epub 2015 Nov 19.

研究室

教 授 : 一山 智
准教授 : 長尾 美紀
講 師 : 松村 康史
助教 : 人見 健文・山本 正樹・中島 康弘・中野 哲志
TEL : 075-751-3502
FAX : 075-751-3233
e-mail : kensa@med.kyoto-u.ac.jp
URL : http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/~ict/ict/index.html