放射線遺伝学

kao教授 武田 俊一
Shunichi Takeda, M.D., Ph.D. Professor btn

染色体DNAは普段から酸化ストレスや紫外線によって損傷を受けています。DNA損傷は、遺伝子変異の蓄積や染色体断裂を引き起こし、がん化の原因となるため速やかに修復される必要があります。当研究室では、DNA修復に関わる遺伝子の機能を、主にニワトリBリンパ細胞株(DT40)というユニークな細胞を用いて解析しています。DNA修復因子の働きを知る事で、がん化のメカニズムを明らかにし、がん化の予防や治療に役立てる事を目標にしています。

研究・教育について

逆遺伝学とは?
各遺伝子の機能を解析するために、遺伝子破壊した細胞や個体を作製し、その表現型を調べる研究方法を逆遺伝学と呼びます。当教室では、武田教授が樹立した、ニワトリBリンパ細胞株(DT40)を使ったユニークな実験系で、逆遺伝学によるDNA修復因子の機能解析を行っています。DT40細胞は、ヒトを含むいかなる動物細胞よりも、遺伝子破壊の効率が1000倍高い細胞であり、当研究室では既に100種類を超える遺伝子破壊細胞(世界最大のライブラリー)を樹立しました。
高度な技術を効率よく学ぶ
私たちの教室では、各学生が異なる研究テーマ(遺伝子)で、同じ細胞(DT40細胞)とプロトコールとを共有して実験します。この共有ゆえに、大学院生や日本語ができない外国人でも、高度な手法を互いに教え合いながら効率よく学べます。DT40細胞を使った研究は、マウスやヒト細胞を使ったような研究に比べると、競争がほとんどありません。すなわち、競争に負けて論文が発表できなくなることがありません。よって、研究テーマをじっくり掘り下げてよく考えながら研究できます。研究業績は、全て放射線遺伝学教室に所属した大学院生と教員が筆頭著者です。
r-016-1米国国立衛生研究所(NIH)と進めている共同研究
最上段に記載されているのは、4種類の抗がん治療薬(治験・開発中)である。薬品名で公開できないものは、XXXと記載した。縦の50種類の遺伝子名は、我々が NIHに提供したDNA修復欠損細胞で 遺伝子破壊された遺伝子である。ヒストグラムの長さは、野生型に比べて、各遺伝子破壊細胞が相対的にどれだけ各抗がん治療に感受性(死にやすいか、左に凸)、あるいは耐性か(死ににくいか、右に凸)を定量したデータである。感受性のスペクトラムを比較することによって、同じ作用機序と考えられた抗がん治療薬でも、その機序が必ずしも同一でないことが解明できた。

研究室のスタッフ


研究業績

  1. Hoa NN, Shimizu T, Shou ZW, Wang ZQ, Deshpande RA, Paull TT, Akter S, Tsuda M, Furuta R, Tsusui K, Takeda S, Sasanuma H. (2016) Mre11 is essential for the removal of lethal Topoisomerase 2 covalent cleavage complexes. Mol Cell. 64 (3): 580-92.
  2. Hirota K, Tsuda M, Mohiuddin, Tsurimoto T, Cohen IS, Livneh Z, Kobayashi K, Narita T, Nishihara K, Murai J, Iwai S, Guilbaud G, Sale JE, Takeda S. (2016) In vivo evidence for translesion synthesis by the replicative DNA polymerase δ. Nucleic Acids Res. 44 (15): 7242-50.
  3. Keka IS, Mohiuddin, Maede Y, Rahman MM, Sakuma T, Honma M, Yamamoto T, Takeda S, Sasanuma H. (2015) Smarcal1 promotes double-strand-break repair by nonhomologous end-joining. Nucleic Acids Res. 43 (13): 6359-72.
  4. Hirota K, Yoshikiyo K, Guilbaud G, Tsurimoto T, Murai J, Tsuda M, Phillips L, Narita T, Nishihara K, Kobayashi K, Yamada K, Nakamura J, Pommier Y, Lehmann, A, Sale J, Takeda S. (2015) The POLD3 subunit of DNA polymerase δ can promote translesion synthesis independently of DNA polymerase ζ. Nucleic Acids Res. 43 (3): 1671-83.
  5. Sasanuma H, Tawaramoto MS, Lao JP, Hosaka H, Sanda E, Suzuki M, Yamashita E, Hunter N, Shinohara M, Nakagawa A, Shinohara A. (2013) A new protein complex promoting the assembly of Rad51 filaments. Nat Commun. 4: 1676.

研究室

教授:武田 俊一
准教授:笹沼 博之
助教:茂木 章
特定助教:津田 雅貴
e-mail:stakeda@rg.med.kyoto-u.ac.jp
URL:http://rg4.rg.med.kyoto-u.ac.jp/