分子腫瘍学

kao 野田 亮
Makoto Noda 、Ph.D. Professor

腫瘍は、昆虫からヒトまで多くの生物で見られる。しかし、線虫やプラナリアには、なぜか腫瘍が見られない。がん細胞が正常細胞よりも効率の悪いエネルギー取得経路(解糖系)に依存していることは60年前には知られていたが、その理由は未だにはっきりしていない。こうした「がん」に関する興味深い謎の解明は、がん克服に役立つ可能性がある。我々は、マウス遺伝学、オミックス解析、分子細胞イメージングなど、様々な技術を活用し、「がん化」と「がん抑制」の分子メカニズム解明を目指して研究を進めている。

研究・教育について

がん細胞の悪性形質を抑制する分子を探索する中で、細胞外マトリックス・リモデリング制御因子RECKを見出した。RECKは、多くの一般的ながんで発現低下が見られる一方、哺乳類の胎児発生には必須の分子である。現在、教室では、(1)RECKによるがん抑制のメカニズム、(2)胎児発生(特に脳、血管の発生)および成体におけるRECKの生理機能、(3)がん細胞中のRECK発現を増強する薬剤の探索、(4)新たな悪性形質抑制分子の探索、(5)概日リズムとがん、などについての研究が進められている。教育面では、腫瘍学コース(大学院)を担当し、医科学研究(医科学・修士)、医学概論(学部1回生)、分子細胞生物学(学部2回生)、基礎化学実験(全学共通科目)などを分担している。教室には様々なバックグラウンドや国籍を持つメンバーが集い、それぞれの興味に応じた実験、知識や技術の習得、科学的討論などに積極的かつ協力的な態度で取組んでいる。

r-014-1a. 悪性形質抑制遺伝子の単離法、 c. RECKタンパク質の活性、
b. RECKタンパク質のドメイン構造、 d. RECK2量体の形態
分子腫瘍学教室メンバー


研究業績

1.Shi G, Yoshida Y, Yuki K, Nishimura T, Kawata Y, Kawashima M, Iwaisako K, Yoshikawa K, Kurebayashi J, Toi M, Noda M. Pattern of RECK CpG methylation as a potential marker for predicting breast cancer prognosis and drug-sensitivity. Oncotarget 7, 8620 (2016).
2.Almeida GM, Yamamoto M, Morioka Y, Ogawa S, Matsuzaki T, Noda M. Critical roles for murine Reck in the regulation of vascular patterning and stabilization. Sci Rep 5, 17860 (2015).
3.Yuki K, Yoshida Y, Inagaki R, Hiai H, Noda M. E-cadherin-downregulation and RECK-upregulation are coupled in the non-malignant epithelial cell line MCF10A but not in multiple carcinoma-derived cell lines. Sci Rep 4, 4568 (2014).
4.Yoshida Y, Ninomiya K, Hamada H, Noda M. Involvement of the SKP2-p27(KIP1) pathway in suppression of cancer cell proliferation by RECK. Oncogene 31, 4128-4138 (2012).
5.Yamamoto M, Matsuzaki T, Takahashi R, Adachi E, Maeda Y, Yamaguchi S, Kitayama H, Echizenya M, Morioka Y, Alexander DB, Yagi T, Itohara S, Nakamura T, Akiyama H, Noda M. The transformation suppressor gene Reck is required for postaxial patterning in mouse forelimbs. Biol Open 1, 458-466 (2012).

研究室

教授 野田 亮
准教授 北山 仁志
助教 松﨑 朋子
特定助教 三木 貴雄
TEL 075-751-4150
FAX 075-751-4159
e-mail mnoda@virus.kyoto-u.ac.jp