システム神経薬理学

detail13 教授 林 康紀
Yasunori Hayashi, M.D., Ph.D.Professor btn

私たちは日々新しい事を記憶していきます。しかも驚くべき事に、一旦記憶されたことは何十年にもわたって思い出すことが出来ます。このような記憶を脳の中に保持し続けるメカニズムは何でしょうか。
私たちは特に、海馬という部分に着目し、研究を進めています。この部位では、一過性の刺激によって長期間シナプス反応が増強する、長期増強(LTP)という現象が知られています。私たちはLTPが記憶の細胞モデルと考え、その分子メカニズムを解明しようとしています。

研究・教育について

私たちは特に、海馬という部分に着目し、研究を進めています。海馬が障害されたヒトや動物では新しい記憶が形成されない事からこの領域は新しい記憶の形成に必要ではないかと考えられています。
40年程前にBlissとLømoらが、海馬で興味深い現象を発見しました。彼らは海馬のシナプス応答が、ごく短期間の高頻度刺激により、長期的に増強する事に気づきました。これは今日、long-term potentiation (LTP)として良く知られています。LTPを薬物で阻害すると記憶が障害されますし、記憶の誘導によりLTPと同じ様にシナプス反応が亢進する事から、LTPは、記憶の細胞レベルの現象だと考えられています。
このLTPをモデルとして、私たちは記憶の分子メカニズムを解明しようとしています。そのため、分子生物学、電気生理学、動物行動実験、イメージングなどの様々な手法を用いて研究を進めて行っています。

 

Actin polymerization and expansion of dendritic spine図1. シナプス可塑性プロセスの可視化
FRETを用い、アクチン重合状態を可視化した。矢印の時点でLTPを誘導した。
スケールバーは0.5 µm、時間単位は分。

mouse_on_trackball図2. 海馬神経活動の可視化と記憶によるセルアセンブリの変化の検出の試み
マウスは発泡スチロールの球の上で走り、仮想現実空間が動きに合わせて表示されます。
海馬の神経細胞活動は二光子顕微鏡を用いて観察します。


研究業績

  1. Karam Kim, Gurpreet Lakhanpal, Hsiangmin E Lu, Mustafa Khan, Akio Suzuki, Mariko Kato Hayashi, Radhakrishnan Narayanan, Thomas T Luyben, Tomoki Matsuda, Takeharu Nagai, Thomas A Blanpied, Yasunori Hayashi, Kenichi Okamoto
    A Temporary Gating of Actin Remodeling during Synaptic Plasticity Consists of the Interplay between the Kinase and Structural Functions of CaMKII. 
Neuron: 2015, 87(4);813-26
  2. Tomohisa Hosokawa, Dai Mitsushima, Rina Kaneko, Yasunori Hayashi
    Stoichiometry and phosphoisotypes of hippocampal AMPA-type glutamate receptor phosphorylation. 
Neuron: 2015, 85(1);60-7
  3. Miquel Bosch, Jorge Castro, Takeo Saneyoshi, Hitomi Matsuno, Mriganka Sur, Yasunori Hayashi
    Structural and molecular remodeling of dendritic spine substructures during long-term potentiation. 
Neuron: 2014, 82(2);444-59
  4. Mariko Kato Hayashi, Chunyan Tang, Chiara Verpelli, Radhakrishnan Narayanan, Marissa H Stearns, Rui-Ming Xu, Huilin Li, Carlo Sala, Yasunori Hayashi
    The postsynaptic density proteins Homer and Shank form a polymeric network structure. 
Cell: 2009, 137(1);159-71
  5. Kensuke Futai, Myung Jong Kim, Tsutomu Hashikawa, Peter Scheiffele, Morgan Sheng, Yasunori Hayashi
    Retrograde modulation of presynaptic release probability through signaling mediated by PSD-95-neuroligin. 
Nat. Neurosci.: 2007, 10(2);186-95

研究室

教授:林 康紀 yhayashi-tky@umin.ac.jp
准教授:實吉 岳郎
助教:水田 恒太郎
特定助教:後藤 明弘