産学共同講座一覧

EHR共同研究講座 味覚分子構造科学
先端医療基盤 呼吸器疾患創薬
外胚葉性疾患創薬医学 医療情報AIシステム学
予防理学療法学 免疫老化学
呼吸不全先進医療

EHR共同研究講座

―地域医療連携と臨床研究支援―
近年の情報技術は集積した膨大なデータを解析することで新たな知見を得る時代に突入しています。診療や臨床研究の可能性を広げるためには、病気と健康の界 面を超えて医療情報を扱う情報基盤をどのように構築していくかが課題となります。
EHR共同研究講座では、情報機器、ITサービス基盤、製薬、介護といった様々な分野の企業との共同研究により、個人を中心とした生涯医療記録 (Electronic Health Record; EHR)を軸とした医療健康情報の利活用基盤に関する研究を行います。EHRの研究は、医療情報の標準化から、永続的なストレージの設計、地域包括ケアなどの地域医療連携サービス設計、臨床研究等の二次利用、医療・個人情報保護等関連法まで多岐に渡ります。
そのため、各分野をリードする関連企業との共同研究を軸に複数のテーマを実施し、収集したデータからの臨床研究、健康情報サービス等を実現する方法論を探っています。最終的に研究成果をもとにEHRの社会実装を行うためにNPO法人等との連携体制をとりながら研究をすすめており、自立的にEHRを運用可能な医療情報循環モデルのデザインを行っています。
近年、各国でも国家主導のEHR実装が進んでいるところであり、本邦における国家規模の医療情報基盤の構築が待望されています。具体的には、レバノンやグレナダといった国々の留学生とも共同研究を行っており、前提となる医療サービスの異なる国々に対しても適用可能な国際的連携を前提としたEHRの実現を目指しています。スタッフ:
特定准教授: 粂 直人
特定講師: 小林 慎治
研究員: 吉原 博幸(京都大学名誉教授)
共同研究企業:
グラクソ・スミスクライン株式会社
株式会社生命科学インスティテュート
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
株式会社エス・アール・エル
東京ミッドタウンクリニック
ラジエンスウエア株式会社・EHR共同研究講座ホームページ:http://ehr.design.kyoto-u.ac.jp/

味覚分子構造科学

編集中

先端医療基盤共同研究講座(アライアンス・ステーション)
-アステラス製薬との創薬研究産学連携基盤―

社会には難病や稀少疾患をはじめとして、未だ多くのアンメットメディカルニーズが存在しますが、重篤性や希少性から疾患メカニズムの解明は難しく、より複雑になってきています。そのため、現在の創薬・医学研究では、ヒトにおける病態の理解がより重要となってきており、患者さんの血液等のサンプルから、真に患者さんの病態に関わりのある分子・細胞を同定することや、個々の患者さんの層別化等を行う研究が広く進められています。これらの研究成果を革新的な新薬として一日も早く患者さんのもとへ届けるには、臨床に近い場で臨床ニーズを把握し、疾患をより深く理解し、創薬へつなぐステップが必要です。
京都大学とアステラス製薬は、AKプロジェクト*を通じて構築した臨床/基礎/創薬の連携体制を踏まえ、更に進化させた形で、オープンイノベーションによる創薬研究加速を目指して、先端医療基盤共同研究講座を実施基盤とする、アライアンス・ステーション(Aステーション)を開設しました。Aステーションは、新たな産学連携の基盤として、機動的かつ柔軟に京都大学とアステラス製薬が協働し、あらゆる疾患領域を対象に複数の共同研究テーマを進めていきます。
執行責任者:成宮 周 (医学研究科 特任教授)
協働機関:アステラス製薬株式会社
実施期間:平成29年度から3年間
*AKプロジェクト:2007年7月から2017年3月末まで、文部科学省 先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラムとして、「次世代免疫制御を目指す創薬医学融合拠点」で実施されていた京都大学とアステラス製薬の協働研究。

呼吸器疾患創薬(杏林製薬株式会社との共同研究講座)

呼吸器系疾患は高齢化社会を迎え、国民の健康寿命にとって大きな負担をもたらすようになりました。肺線維症、肺がん、COPD、喘息、呼吸器感染症など、多岐にわたる疾患があり、今や年間2兆円以上もの国民医療費が呼吸器系疾患のために費やされています。しかしながら、医療の需要が膨大化する一方で、呼吸器の分野における治療薬の開発はまだ十分とはいえません。その理由の1つは肺の構造が複雑なことが挙げられます。肺は多数の枝分かれをした気道とその奥には3億個に及ぶ肺胞があり、さらにその裏側には、微細な血管網が張り巡らされた構造をしており多種類の細胞で構成されています。この複雑な構造には体中の酸素・二酸化炭素のガスを交換する機能と、病原体の進入経路ともなりやすい肺の免疫システムが備わっており、生命維持に欠かせないものとなっています。ただ、その複雑さのため、細胞レベルでの理解が難しく、分子レベルで病態を解明する科学技術が進んだ今日でも呼吸器の分野には未だ未解明の問題が多く残されてきました。
呼吸器疾患創薬講座ではこれらの未解決の呼吸器疾患に対して、創薬開発を通じたイノベーションをもたらすことを目指します。近年、iPS細胞等を用いた再生医学の技術の発展は目覚しく、呼吸器の創薬研究においても応用が可能になりつつありますが、これらの技術はまだ基礎研究の域を出ていません。また、新しい薬を早く実用化するためには製薬企業との共同研究が欠かせません。本講座は実用化の技術をもった杏林製薬株式会社と大学の研究者、そして臨床医たちが集まって、本学の自由な校風のもと築き上げられてきた研究環境の中で、積極的に新薬の開発に取り組む目的で設立されました。
スタッフ:
特定准教授 : 後藤 慎平
特定助教 : 豊本 雅靖

外胚葉性疾患創薬医学(エーザイ株式会社との共同研究講座)

外胚葉性創薬医学講座では、皮膚、中枢神経を場とする疾患の基礎的な解析を行い、日本発の新規薬剤の開発を目指します。
近年では、画期的な薬剤を開発するためには、アカデミアと企業とが効果的に連携することが必須となっています。本講座では、アカデミアから基礎研究者、及び専門分野の臨床経験を持つ医師が参画し、企業の専門家を交え十分な議論のもと研究を進めることで、基礎研究と実臨床の間に存在するいわゆるデスバレー(死の谷)を越えるトランスレーショナルリサーチを行います。
皮膚科領域で対象とする疾患の一つがアトピー性皮膚炎です。アトピー性皮膚炎は本邦に40万人以上いると言われています。現在、治療の主流はステロイド外用剤やタクロリムス軟膏といった免疫抑制剤ですが、効果不十分な症例も多く、新規薬剤の開発が望まれています。この講座では、かゆみを標的とした新規薬剤の開発を行います。
また、中枢神経領域ではアルツハイマー病・慢性疲労症候群や疼痛症候群のような、現在治療法の確立していない疾患を対照として新規薬剤の開発のための基礎的研究を行います。高次脳機能障害や疼痛には様々な神経伝達物質が関わっています。これらの働きを制御する様々な小分子化合物を有効に利用することで、病気の進行抑制や症状を改善する新規治療法の開発を目指します。
基礎的に十分に解析され、効果の実証された化合物に関しては、早期に医師主導治験を行い、薬として患者さんのもとに届けられるよう開発を進める予定です。
スタッフ:
特定准教授 : 大塚 篤司
特定助教 : 粟屋 智蹴

医療情報AIシステム学

 急激な科学技術の発展で、医療現場もデジタル化が進み、多種多様な医療情報(実データ:Real World Data)が蓄積されています。これらのデータと、革新的に進化しているAIを組み合わせて医療情報を評価・分析し、実際の医療現場へ適用することにより、患者に最適な医療を提供する次世代の高度医療が強く期待されています。現在、AIは特定の医療画像そのものの評価や解析などには高い性能を発揮することがすでに示されています。一方で、より高度な判断が可能なAIの構築のためには、詳細で時系列にわたる臨床情報を活用する必要がありますが、これらの情報は医療関係者による文章記載などの構造化されていない部分も多く、電子カルテ内のテキストや数値、医療論文での記述、遺伝子情報、診断画像といった多種多様の膨大なデータを統合・連携して実践応用するためのAI技術はいまだ確立されていません。これらの医療情報の活用には、医療分野の高度な知識を持った研究者と、AIの研究者およびエンジニアの密な連携による医療のためのAI開発が不可欠なものとなっています。
京都大学医学部附属病院の電子カルテに蓄積された患者データや、京都大学がん診療支援データベースシステムに登録されたがん患者データ、京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻 ビッグデータ医科学分野および臨床システム腫瘍学講座が倫理審査で承諾を得ているコホートを含む高度医療情報などの多種多様なデータを基に、新しい知識や知見を発見するためのAI活用が行えるよう、まずはAI(自然言語処理技術)でデータのクレンジングを行い、解析のための環境整備を行います。その後、統合的に整備された大規模データから、AI(機械学習など)により、疾患ごとの共通的な特徴を抽出してモデル化し、医療画像の中からある病気の特性を判別するなどの新たな診療支援や、次世代創薬の発見などに貢献していきます。また、医療分野に特化したAI技術の高度化も研究していきます。なお、発見した知識や知見、医療分野向けのAI技術は、基盤に統合していき、医療分野で広く利用できる将来的な知識データベースの実現につなげます。
京都大学と富士通は、医療現場に蓄積されている膨大かつ高度な医療情報を、AIを活用して分析することで、医療の質的向上だけでなく、新たな治療・診断方法などの発見を行い、医療のみならず創薬、保険などの関連する分野でも大きな社会変革を起こすことができると期待しています。また、多種多様なデータをつなぎあわせて解析する基盤や仕組みは、製造分野や金融分野など医療分野以外でも広く活用できるものとして研究を進めていきます。本共同研究講座は、単なる技術検討にとどまらず、実データを活用することで、実際に有用・有効な知識を創出し、社会に成果を還元していきます。
スタッフ:
特定准教授: 玉田 嘉紀
特定助教: 内野 詠一郎
共同研究企業:
富士通株式会社
株式会社富士通研究所

予防理学療法学講座

理学療法に基づく運動介入は、種々の障害の改善に対して効果的であることが実証されています。しかし、超高齢社会において健康寿命を延伸するためには、運動・認知機能に低下や障害を生じてから介入するだけでなく、それらを予防するための関わりが極めて重要です。
予防理学療法学講座では、ミクシィグループの株式会社スマートヘルスとの共同研究により、理学療法に基づく運動プログラムが障害予防に与える効果を検証します。本講座においては、スマートヘルス社が、運動プログラム実施のための施設(フィットネスジム)開発、ヘルスケアアプリの開発、サービス利用者のPHR(Personal Health Record)データベースの構築などを行い、京都大学が、理学療法に基づく運動プログラム(マルチコンポーネントエクササイズ)の開発や最新のテクノロジーを用いた運動・認知機能の新たな評価方法の開発、フィットネスジムでのプログラムおよびアプリにより配信するホームプログラムの効果検証に関するデータ解析などを行います。アカデミアと企業との連携により、多角的なアプローチで日本の健康寿命延伸に取り組む方針です。
スタッフ:
特定准教授:建内 宏重
特定助教:太田 恵
共同研究企業:
株式会社スマートヘルス
ホームページ
http://clin-biomech.hs.med.kyoto-u.ac.jp/

免疫老化学(小野薬品工業株式会社との共同研究講座)

糖尿病、高脂血症、慢性腎不全、関節性リウマチなどの多様な慢性疾患、および大半の腫瘍(がん)は,各々の直接病因は異なるものの、個体の加齢に伴い同様に発生頻度が高まることから、近年では加齢関連疾患と総称されています。この背景には、個体の老化,特に免疫老化が大きな役割を果たしていると考えられてきています。免疫老化は、獲得免疫機能の低下による感染抵抗性の減弱、炎症素因の増大、自己寛容の破綻と自己免疫疾患のリスクの増加等によって特徴づけられますが、そのメカニズムはまだ明らかになっていません。本講座では、私たちが新たに発見した老化関連T細胞(Senescence-associated T cells、SA-T細胞)の解析を中心に、免疫老化現象のメカニズムを細胞と分子のレベルで解明するための研究を進めています。これによって免疫老化の制御の方途を開発し、高齢化社会の進行でますます重要な医学的課題となっている慢性炎症性疾患やがんなどの加齢関連病態の治療や予防に向けてのこれまでにない全く新しいアプローチを確立することを目指しています。
スタッフ:
特定教授 : 服部 雅一
特定助教 : 福島 祐二

呼吸不全先進医療講座

呼吸不全は、肺障害に起因したガス交換機能の障害、呼吸筋の機能不全、呼吸の調節異常などにより生じます。その原因疾患は多岐にわたりますが、健康寿命に影響する重要な病態です。慢性呼吸不全の治療には、薬物治療や呼吸リハビリテーション、肺移植を含む外科的治療に加えて、酸素療法や非侵襲的換気療法(noninvasive ventilation: NIV)などがあります。慢性期の治療は在宅医療が中心となりますが、その中でも在宅酸素療法(Home Oxygen Therapy:HOT)の利用者数は、年々増加しており、2014年時点で約16万人に達し、かつ利用者の平均年齢は70歳以上と高齢者がその多くを占めております。現在日本は超高齢社会に突入しており、今後もその利用者数が増加していくことが予想されます。近年の情報通信機器の飛躍的な発展、普及に伴い、オンライン診療を含めた遠隔診療の普及が推進されつつあり、2018年度の診療報酬では遠隔診療における「遠隔モニタリング加算」が新設されました。このように、呼吸不全に対する在宅医療、HOT管理の重要性が増している一方で、臨床に有用な生体情報モニタリングシステムは未完成であり、その構築が切望されています。本講座は、京都大学医学部附属病院と帝人ファーマ株式会社との連携により、呼吸不全の在宅モニタリングシステム構築などを通じて呼吸不全診療の向上を図る事を目的としています。
スタッフ:
特定准教授 半田知宏
特定助教 濱田哲
共同研究企業:
帝人ファーマ株式会社