専攻長メッセージ


人間健康科学系専攻長 澤本伸克

医学は、人の心身の健康を守り、病気を予防し、病気に悩む人を治療する学問として、紀元前から存在します。19世紀以降、特に20世紀後半からは、生物科学の飛躍的な発展によって、病気の診断と治療は格段に進歩しました。このような医学の進歩と時代の変化に対応するため、現在、本専攻は組織改革を進行させています。

今回の組織改革で、学生の皆さんが将来、医学・医療に関わるものとして大きく成長していくためのプログラムをさらに充実させました。京都大学医学研究科、医学部附属病院、iPS細胞研究所、ウイルス・再生医科学研究所をはじめとする部局で、世界をリードする独創的な研究をされている先生方が、学生の指導を担当して下さいます。教職員や学生との素晴らしい出会いにも恵まれ、学生の皆さんは、かけがえのない、充実した時間を過ごされることと思います。

医学研究科人間健康科学系専攻の最も重要な使命は、京都大学らしく自由を重んじ、世界をリードする医療人・医学研究者を育てていくことです。木下廣次初代総長は、最初の入学宣誓式で「大学学生に在りては自重自敬を旨とし以て自立独立を期せざるべからず」と述べています。学生の皆さんが、教職員や学生との対話や議論も通して、自らオリジナルの目的や問いを見つけ、自ら求める進路を開拓していかれることを望みます。

本専攻で学んだ学生の皆さんの中から、自らの方法で知識を消化し、最先端医療を担う医療人が育っていただけると思います。臨床現場で活躍する専門職はもちろん、新しい薬剤や医療機器を届ける臨床研究や医療行政に関わる方も生まれてほしいと思います。また、京都大学は全国の医科系大学に教員を輩出する役割も求められていると考えます。学生の皆さんの中から、看護師、理学療法士、作業療法士、臨床検査技師の指導者が輩出されることを望んでいます。一方で、現在の医療では十分な診断や治療が難しい病気に悩む患者さんも少なくありません。自由なアイデアで混沌の中に真理を見いだし、新たな医学領域を開拓する医学研究者が生まれることも願っています。京都大学で医学の基礎を学び、科学的な思考能力を養った学生の皆さんが、生物科学を超えた総合的な人間の学問としての医学を実践し、発展させる医療人・医学研究者として、社会に大きく貢献していくことを期待しています。

2019年1月16日