平成28年度健康管理講演会(医学研究科等安全衛生委員会主催)を開催しました

医学研究科等安全衛生委員会では、平成21年度から毎年、健康管理をテーマにして、「健康管理講演会」を開催しています。当初は、医学研究科や本学の教職員、学生等が対象でしたが、平成24年度からは一般の来聴も受け入れています。
今年度は、委員長の小泉昭夫教授を講師として、以下のとおり開催しました。

・日 時 3月29日(水)13時15分 ~ 14時30分
・場 所 芝蘭会館2階 稲盛ホール
・演 題 長時間労働の問題を考える
―― 過労死事件にまなぶ
・主 催 医学研究科等安全衛生委員会

〔講演概要〕
講演内容は多岐にわたりました。一部のご紹介になります。
冒頭には、日本企業の伝統的な長時間労働に対して、二つの事案の紹介がありました。

過労自殺で会社(電通)の責任を認める司法判断が下されたのは1991年のことですが、同じく電通で、2015年には、新入社員の高橋まつりさんが自殺し、長時間の過重労働が原因として労災が認められました。この事件は、メディアでも大きく取り上げられました。
また、2017年には、関西電力の管理職(40代の男性社員)が過労自殺しましたが、敦賀労働基準監督署は、管理職であっても健康面に配慮する義務があると、同社に対して指導を行っています。

「なぜ長時間労働になるのか」について、労基法などの法制度からの説明があり、また医学研究科等安全衛生委員会委員長の立場から、医学研究科及び医学・病院構内共通事務部の残業時間の分析が行われました。
また、大学の運営費交付金が漸減していくなかで、競争的資金獲得に費やされる時間・労力が増え、研究時間が減少するなか、成果が求められ、論文数の発表は増加するものの、インパクトのある論文、引用される論文が少なくなるという調査結果について、解説がありました。

社会は、熾烈な過当競争時代を迎え、企業は、個人が自由に使える「仕事」や「活動」へ侵入して、無形の企業財産の拡大へ向かうということですが、個人の人生は、栄養の改善、感染症の減少などにより、平均寿命は延び、人生100年時代を迎えるそうです。
長くなった人生を如何に生きるかということについて、「身体の健康」「精神的な健康」「社会的な健康」という健康の定義(WHO)から、メンタルヘルスに加えて、スピリチュアルヘルスの重要性について示唆がありました。
そして「人生100年の中での仕事とは?」という切り口で、『100年時代の人生戦略』を紹介され、健康寿命を延ばすことが重要となり、これまでの教育・仕事・引退という3ステージから、人生100年に対応するため、更にステージを加えること、就業をライフサイクルの中で位置づけることが必要になるということです。

ご講演を聴いて、長くなった人生に、健康であることは重要ですが、ライフシフトの面から、就業時期を、そのための資産を得る時期として捉え直し、活力資産、変身資産が、長くなった人生を支えるために重要になるということを学びましたが、学生期や仕事期への評価や対応も変わってくるように感じました。一方で、高額医療費や命の格差が生じるなどの問題点についてもご指摘がありましたので、長く、健康的に生きることは殊の外難しいことのようです。

最後に、小泉先生の提言で締めくくらせて戴きます。

〔提言〕
今後間違いなく長命化が起こる。100年ライフの時代となる。現在の職業観・就業形態も変化する。そこで、以下を提言したい:
1.就業をライフサイクルの中で位置づけること
2.人生で3ステージ以上のステージで就業も多様な形態となること
3.活力資産(自己再生産のための資源)として健康や家族は非常に大きいことの評価
4.健康管理による健康寿命の延伸が必要

(文責 安全衛生掛(高橋))