第28回健康科学市民公開講座開催報告

学術委員会委員長 リハビリテーション科学コース 教授 十一 元三

平成27年11月21日(土)に「発達症(発達障害)とこれからの社会・医療」をテーマに第28回健康科学市民公開講座を開催しました。今回は発達症のなかでもとりわけ社会的注目度の高い「自閉スペクトラム症」に焦点を当て、平成26年度に当専攻に設置された発達障害支援医学講座(寄附講座) の紹介と活動報告に加え、自閉スペクトラム症の支援の第一線で活躍しておられる専門家を交えて今後の社会・医療の在り方を探る機会として企画致しました。
定員を上回る230名余りの方々から事前申込を頂き、当日もほぼ満席となる199名のご来場がありました。専攻長の開会挨拶では、自閉スペクトラム症という問題が医療にとどまらず、いかに万人に関わる身近なテーマであるかが述べられました。続いて、発達障害支援医学講座の運営委員長より同講座の概要について、自閉スペクトラム症の研究、専門的人材の育成、社会啓発・貢献の3つの柱を趣旨とするという説明がありました。

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講座の第一部は、発達障害支援医学講座の教員による講演からなり、佐藤弥特定准教授による「臨床脳科学と発達症」、魚野翔太特定助教による「対人認知の心理学と発達症」の2演題のお話がありました。この2講演から、自閉スペクトラム症の脳基盤および認知処理のメカニズムの解明が進んでいる状況がうかがわれました。

 

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第二部のシンポジウムでは、発達障害支援医学講座の特定助教で児童精神科医の義村さや香先生の座長のもと、発達症をめぐる社会・医療の現状について、異なる領域の専門家にお集まり頂いて議論を交わしました。シンポジストとして、京都府発達障害者支援センター(センター長)の竹村忠憲氏、滋賀県心の教育センター(チーフカウンセラー)の生天目聖子氏、当専攻の加藤寿宏准教授(作業療法士、発達領域)および山田純栄講師(作業療法士、精神科領域)の4名にご登壇頂き、義村さや香先生による総論説明に続いて、幼児から成人にわたる支援の現状と問題点を論じて頂きました。そこから、現在の社会における自閉スペクトラム症への支援ニーズは、あらゆるライフステージと生活領域に及んでいることが明確に分かりました。

hs_csr2015_p03sシンポジウム後半では、会場との質疑も合わせた総合討議が行われましたが、ご来場者からの質問を含め、非常に活発な質疑ならびに意見交換のうちに瞬く間に時間が過ぎ、予定より30分ほど延長して閉会に至りました。アンケートでは、テーマについて回答が得られた118名のうち、「大変良かった」が65、「良かった」が45、「ふつう」が7、「良くなかった」が1 という良好な結果でした。また、個別のコメントとして“もっと時間を十分とってほしい”、“各テーマを掘り下げてほしい”という趣旨のものが多く、本テーマへの要望度が高いことが窺われました。このことは、今後要望するテーマへの回答にも表れており、発達症に関するものが29件と他のテーマを大きく上回っていました。このような状況を受け、今後の企画として、発達症についてより特化した内容をテーマの候補として検討するよう、次期学術委員会に引き継いでいきたいと思います。