学術委員会委員長 リハビリテーション科学コース 教授 山田重人

平成30年10月20日(土)に第31回健康科学市民公開講座を開催いたしました。今回取り上げたテーマは「再生医療とロボットが拓く最先端リハビリテーションの未来」です。リハビリテーションの歴史に始まり、その最先端と新しい技術である再生医療およびロボット技術、さらにはその融合に至るまでを、3つの講演およびブース体験により参加者の皆さんに実感していただくことを目的として企画いたしました。

 

講演1:最先端のリハビリテーション
京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻リハビリテーション科学コース教授の青山朋樹講師から、リハビリテーションの歴史的発展、様々な技術との融合技術、そして今回のテーマであるリハビリテーション技術と再生医療およびロボット技術との融合についてご解説いただきました。リハビリテーションの語源に始まり、多彩な内容を分かりやすくお話しいただきました。

 

講演2:脳損傷に対する細胞治療とリハビリテーションの可能性
京都大学iPS細胞研究所研究生の下川能史講師から、脳損傷の発症機序、現在の治療方法、iPS細胞を含む細胞治療の可能性についてご解説いただきました。そして細胞治療にリハビリテーションを組み合わせた際の効果について最新の研究成果をお話しいただきました。リハビリテーション技術と再生医療技術の融合がいかにしてなされているかを学ぶ良い機会になりました。

講演3:脳神経障害に対するロボットリハビリテーション
京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻リハビリテーション科学コース講師の大畑光司講師から世界に先駆けて開発されている日本のアシストロボットの紹介とその運用方法についてご解説いただきました。特に大畑先生が開発に携わっているアシストロボットについては動かない手足を無理やり動かすのではなく、以前に行っていた良い歩行を思い出す、あるいは正しい歩行を身体に記憶するためのツールとしてのコンセプトをお話しいただきました。

ブース体験(脳梗塞モデル脳スライス、三次元プリンタによる三次元組織、ロボットデモ)
今回の健康科学市民公開講座では、参加者の皆さんにも最先端の研究に触れていただくために、バイオ3Dプリンターのデモ、脳梗塞モデルマウスの脳スライスとその組織切片観察、脳梗塞が起きる場所による症状の違い、脳手術の動画、アシストロボット装着体験をしていただきました。最初は恐々遠くから眺めていた参加者の皆さんも次第にさまざまなものを手に取って眺めてみたり、積極的に参加するなど最先端の研究技術に触れていただきました。

 
脳梗塞モデル脳スライス1 脳梗塞モデル脳スライス2
三次元プリンタによる三次元組織 ロボットデモ
 

質疑応答
最後に、15分ほどの時間で、事前に募った質問事項について講師の先生にお答えいただく質疑応答を行いました。多くの質問が寄せられ、時間内に様々な質問を取り上げるのに苦労しましたが、講師の先生方には簡潔かつ的確にご回答いただけました。

今回は80名の方にご参加いただき、アンケートでは「大変よかった」29、「よかった」22、「ふつう」2、「よくなかった」0、「無回答」2と大変好評な評価をいただきました。「講演もすばらしかったですが、体験ブースと質問コーナーもおもしろかったです」、「リハのあり方の再認識ができた」、「最新の技術、研究の“何が良いか”、“どう必要か”ということがよく分かった」などのご意見をいただき、ご参加いただきました方々の理解につながる場となりました。